訳:
~ということに基づき、~という前提で
意味合い:
on the basis that(~ということに基づき、~という前提で)は:
当事者がその契約を締結する、あるいは特定の重大な義務を引き受けるに至った「決定的な動機」や「大前提となる事実・主調」を指し示す表現です。その前提(事実)が正しいことを信じたからこそ取引に踏み切ったという、因果関係の根底を契約書内に明文化する役割を持ちます。
法的解釈:
on the basis that(~ということに基づき、~という前提で)は:
後続の事実が契約成立の「基礎(basis)」または前提条件であることを法的に規定します。したがって、もしその前提(例:相手方が特別な技術を持っていること、一定の資格を有していることなど)が、最初から虚偽であったり後に重大な不正確さ(material inaccuracy)が判明したりした場合、前提を信頼した当事者は、契約の重大な違反(material breach)を理由とする解除や、錯誤・欺罔による契約の取消、損害賠償請求などを提起するための強力な法的足がかりを得ることになります。
実務のヒント:
on the basis that(~ということに基づき、~という前提で)は:
相手方の「看板(実績やノウハウ)」を信頼して高額な発注を行う業務委託において、無能なベンダーから自社を保護する最大の防御策となります。単なる主観的な不満(成果物が気に入らない等)だけでは中途解約時の損害賠償リスクを負うことがありますが、この文言で「ベンダーが〇〇の技術と遂行体制を有していること」を契約の土台(基礎)として埋め込んでおけば、それが虚偽や能力不足であった場合に、本例文のように「即時解除(terminate immediately)」をノーリスクで突きつけることが可能になります。
類似・関連する用語との違い:
- based on(~に基づいて)との違い:
based on も「〜に基づく」という意味ですが、多くは「名詞 + based on 〇〇」の形で、計算の根拠(例:fees based on the usage)や判断の資料を指すのによく使われます。これに対して on the basis that は、後ろに「that + 主語 + 動詞」の完全な文章(節)を従え、契約の背景にある「抽象的な前提事実や基本理念そのもの」を広く宣言する点で構造と役割が異なります。 - under the assumption that(~という仮定のもとで)との違い:
under the assumption that は、将来の不確定な要素や「もし〜であれば」という仮定の状況に基づいて条件を設定するニュアンスがあります。on the basis that は、契約締結時点で「(相手方が能力を有しているという)確実な事実や表明」を取引の土台として据えるため、事実の確実性の度合いがより強くなります。 - provided that(~を条件として)との違い:
provided that は、特定の義務を発生させたり免除させたりするための直接的な「法的な条件(条件句)」を構成します。on the basis that は、直接的な条件というよりも、契約全体や特定の合意を成立させるための「基礎となる認識・動機」を指し示すため、文脈上の役割に違いがあります。
用法:
on the basis that(~ということに基づき、~という前提で)は:
主にRecitals(前文)で使用されます。
- (文脈):顧客がサービス会社と本契約を締結する決断をしたのは、当該サービス会社が業務遂行に不可欠な専門的技術や十分なキャパシティを有しているという明確な事実・前提を信頼したからである、という取引の根本動機を記載する文脈で使用されています。
- (例文での役割):契約の前提となった事実に重大な不適合や虚偽があった場合に、顧客側が引きずられることなく直ちに契約関係を終わらせることができる法的な正当性を、前提と解除権の連動によって確保する役割を果たしています。
例文 on the basis that(~ということに基づき、~という前提で):
【Recitals(前文)より】
The Parties hereby agree to enter into this Agreement on the basis that the Service Provider possesses the necessary specialized technical expertise and operational capacity to perform the Services, provided that the Client may terminate this Agreement immediately if any such representations are subsequently found to be materially inaccurate.
(日本語訳)
両当事者は、サービス会社が本サービスを遂行するために必要な専門的技術知識および業務遂行能力を有しているという前提で、本契約を締結することに合意する。ただし、当該表明のいずれかが後に重大な点で不正確であることが判明した場合、顧客は直ちに本契約を解除することができる。
例文の注記:
- enter into this Agreement(本契約を締結する): 契約の当事者となり、法的な拘束力を受け入れる意思表示の手続きを完了させることです。
- possesses(有している): 現在進行形でその能力や資格、権利を確実に保持・所有しているという客観的事実を指します。
- operational capacity(業務遂行能力): 人員、設備、体制など、委託された業務を滞りなく最後までやり遂げるための組織的な実務キャパシティのことです。
- materially inaccurate(重大な点で不正確である): 取引の意思決定に影響を与えるほどの大きな誤りや虚偽、見込み違いがある状態を意味し、軽微なミスと区別される法的な基準です。