Optional Acceleration

訳:

期限の利益の選択的喪失

意味合い:

Optional Acceleration(期限の利益の選択的喪失)は:
金融取引や分割払いの契約において、債務者(借主)に金務不履行(支払遅延など)が発生した際、債権者(貸主)の「選択(裁量)」によって、本来は将来支払うはずであった未払いの元本や利息の全額を、一括して「直ちに支払え」と請求できる権利、またはその措置を指します。

法的解釈:

Optional Acceleration(期限の利益の選択的喪失)は:
法的な効果として、債務者が持っていた「期限の利益(支払期日まではお金を返さなくてよいという法的な猶予)」を、債権者の一方的な意思表示によって剥奪します。ただし、不履行があった瞬間に自動的に一括返済義務が生じる(Automatic Acceleration)のではなく、債権者が「権利を行使します」という通知を債務者に届けて初めて、全額の弁済期が直ちに到来したとみなされる点に重要な法的特徴があります。

実務のヒント:

Optional Acceleration(期限の利益の選択的喪失)は:
ローン契約、社債、または継続的な商品の売買における代金回収(Event of Default)条項の最重要の救済措置です。債権者(貸主)側としては、債務者に軽微な違反があったからといって即座に自動失効させるのではなく、相手の財務状況を見極めながら、「猶予を与えて交渉するか、あるいは本権利を使って一気に全額回収に動くか」を自社の裁量でコントロールできるため、実務上の柔軟な交渉カードとして重宝されます。

類似・関連する用語との違い:

  • Automatic Acceleration(期限の利益の自動的喪失)との違い:
    Automatic Acceleration は、債務者が倒産や破産手続きに入った場合など、事態が深刻で一刻を争う際、債権者からの通知や催告を一切必要とせず、違反の発生と同時に「法律上当然に」一括返済期日が到来する仕組みです。これに対して Optional Acceleration は、債権者が通知を送るというアクションを起こすまでは期限の利益が維持される点に、明確な違いがあります。
  • Event of Default(期限の利益喪失)との関係:
    Event of Default は、支払遅延や担保価値の低下など、期限の利益を失わせる原因となる「具体的な違反イベントのリスト」そのものを指します。Optional Acceleration は、そのリストに載っているイベントが発生したことを引き金にして、債権者が繰り上げ一括請求という「刀を抜く行為(救済手段)」を指します。
  • immediate due and payable(直ちに弁済期が到来する)との関係:
    immediate due and payable は、期限の利益が失われた結果として、すべての債務が「今すぐ支払うべき状態になった」という、法律上の支払義務のステータスを表します。Optional Acceleration は、その状態を自らの意思で「選択して引き起こす権利の行使」を指します。

用法:

Optional Acceleration(期限の利益の選択的喪失)は: 主にEvents of Default(期限の利益喪失条項)で使用されます。

  • (文脈):借主に重大な契約違反や不履行(支払いの滞りなど)が生じた際、貸主が自身のビジネス判断に基づき、これ以上の猶予を与えるのをやめて、残債のすべてを今すぐ一括で返済させるための手続きを進める文脈で使用されています。
  • (例文での役割):一括請求のトリガーとして「貸主の意思による書面通知」が必要であることを確定させ、貸主に不履行後の対応の主導権と柔軟な選択肢を与える役割を果たしています。

例文  Optional Acceleration(期限の利益の選択的喪失):

【Events of Default(期限の利益喪失条項)より】
Upon the occurrence of any Event of Default specified in Section 8, the Lender may, at its sole discretion, exercise its right of Optional Acceleration by delivering a written notice to the Borrower, declaring the entire unpaid principal balance and all accrued interest immediately due and payable without further demand.

(日本語訳)
第8条に定めるいずれかの債務不履行事由が発生した場合、貸主は、その独自の裁量により、借主に対して書面による通知を行うことで、期限の利益の選択的喪失の権利を行使し、未払元本残高の全額および発生済みの全利息について、別途の請求を要することなく直ちに支払うべき旨を宣言することができる。

例文の注記:

  • at its sole discretion(その独自の裁量により): 相手方の意見を聴いたり、裁判所の許可を得たりする必要がなく、自社だけの都合や判断で完全に物事を決定してよいという強い裁量権を表すフレーズです。
  • declaring the entire unpaid principal balance(未払元本残高の全額を宣言する): 分割払いの残りのうち、まだ相手方から回収できていない元本の全額を、これ以上据え置くことなく回収対象として確定させる行為です。
  • all accrued interest(発生済みの全利息): 前回の支払期日から、この権利を行使したまさにその当日までの間に、日割りなどで新しく発生・蓄積している利息のすべてを指します。
  • without further demand(別途の請求を要することなく): 「早く返せ」という催促や確認の手続きをこれ以上重ねる必要はなく、通知が届いた瞬間に一発で法的な支払義務が確定することを意味します。