訳:
~以外の、~を除いて
意味合い:
other than(~以外の、~を除いて)は:
契約書内である特定の範囲や原則を広く規定した後に、「ただし、〇〇だけは例外として除外する」という明確な【例外】をピンポイントで指定するために使用される重要な除外表現です。禁止行為や義務の範囲を広く網羅しつつ、実務上どうしても認めなければならない特定の対象だけを適法に救済する(逃げ道を作る)目的で使用されます。
法的解釈:
other than(~以外の、~を除いて)は:
法解釈において、一般的な原則規定に対する「例外(Exception)」を画定する効果を持ちます。この表現によって指定された対象は、その条項が課している厳しい制限や義務(例:第三者への開示禁止)から法的に完全に免除されます。そのため、何が除外されるのかを曖昧に記述すると、条項全体の拘束力がなし崩しに破壊されるリスクがあるため、除外対象は極めて限定的に記述される必要があります。
実務のヒント:
other than(~以外の、~を除いて)は:
秘密保持条項(Confidentiality)における「情報の開示範囲」のコントロールにおいて最も頻出します。実務上、第三者への秘密漏洩は一律禁止ですが、業務を遂行するためには「自社の担当従業員(employees)」にだけは情報を共有せよ、という現実的な要請があります。そこで、other than its employees(自社の従業員以外の~には開示禁止)という形でピンポイントに例外を設定し、ビジネスの遂行と情報漏洩の防止を両立させるのが実務の鉄則です。
類似・関連する用語との違い:
- except for(~を除いて)との違い:
except forは文頭や文末に置かれて「〜は例外として」と、条文全体にかかる例外を大きく提示する際によく使われます。これに対して、other thanは名詞の直後に置かれて「〇〇以外の第三者」という形で、特定の言葉を直接後ろから修飾・限定するニュアンスが強いです。 - excluding(~を除く)との違い:
excludingはリストや計算、範囲の列挙において「〇〇を算入しない・除外する」というニュアンス(例:費用から特定の税金を除くなど)で使われます。other thanは「それ以外の存在すべて」という、より包括的な除外・対比に用いられます。 - including(~を含む)との違い:
includingは範囲を「広げる・例示する」ための真逆の言葉です。other thanは範囲を「狭める・除外する」ための言葉であり、契約の拘束力を特定の対象から外すという、正反対の法的なベクトルを持っています。
用法:
other than(~以外の、~を除いて)は:
主にConfidentiality(秘密保持条項)で使用されます。
- (文脈): 受領した秘密情報を外部のあらゆる第三者へ開示することを厳格に禁止しつつ、実務の評価や遂行のためにどうしても情報を知らせる必要がある内部の人間を適法に救済する文脈で使用されます。
- (例文での役割): 「第三者(any third party)」という広大な禁止対象から、正当な必要性のある「自社の従業員(its employees)」だけをピンポイントで除外(other than)し、違反にならない適法な情報共有の限界線を引く核心のキーワードとして機能しています。
例文 other than(~以外の、~を除いて):
【Confidentiality(秘密保持条項)より】
The Receiving Party shall use the Confidential Information solely for the Purpose, and shall not disclose or permit the disclosure of any Confidential Information to any third party other than its employees who have a legitimate need to know such information in connection with the evaluation or performance of the Purpose.
(日本語訳)
受領当事者は、秘密情報を「目的」のためにのみ使用するものとし、当該「目的」の評価または遂行に関連して当該情報を知る正当な必要性がある自社の従業員以外のいかなる第三者に対しても、秘密情報を開示せず、また開示を許可しないものとする。
例文の注記:
- solely for the Purpose(「目的」のためにのみ使用するものとし)は: 提示された秘密情報を、あらかじめ契約内で合意した特定のビジネス(検討中のプロジェクトなど)以外のために使うことを100%禁止し、自社の内職や他社への転用に使われるリスクを根絶する強力な限定表現です。
- permit the disclosure(開示を許可しない)は: 受領当事者が自分自身の口から直接秘密を漏らす行為(disclose)だけでなく、不注意で書類を机に放置して他人に盗み見させたり、下請け業者に勝手に見せたりするような「間接的な漏洩の許容・放置」までを同罪として厳しく禁止しています。
- legitimate need to know(知る正当な必要性がある)は: 同じ会社の従業員(employees)であれば誰にでも秘密を話してよいわけではなく、そのプロジェクトに直接タッチしており、その情報を知らなければ業務が進まない特定の担当者だけに限定して情報を絞り込ませる実務的な縛りです。
- in connection with the evaluation or performance(の評価または遂行に関連して)は: 秘密情報にアクセスすることが許される正当な理由の範囲を「今回の目的の検討(evaluation)または実際の実行(performance)」に関係するシーンだけに限定し、目的外の興味本位での閲覧を法的にブロックしています。