訳:
パートナーシップ、共同事業
意味合い:
partnership(パートナーシップ)は:
英文契約および英米法においては、単なる「親密な協力関係」という抽象的な概念ではなく、2人以上の独立した当事者が利益の獲得を目的として、共同で事業(business in common)を営むために結成する、法律上の具体的な「組合組織(または合名会社に類似した事業体)」そのものを指します。
法的解釈:
partnership(パートナーシップ)は:
各構成員(パートナー)が、その事業から生じるすべての負債や損害賠償について、個人または自社全体の財産をもって「無限連帯責任(joint and several liability)」を負うという、非常に重い法的性質を持ちます。そのため、通常の売買や委託契約において、この partnership の成立(または成立しているとみなされること)は法的に徹底して否定されます。これが認められてしまうと、相手方の不祥事や借金の支払いの矛先が、自社に対してダイレクトに向けられるという法的な連帯破滅リスクを負うためです。
実務のヒント:
partnership(パートナーシップ)は:
実務上、独立当事者条項(Independent Contractors Clause)の冒頭において、当事者間の基本属性を規定するために厳格にコントロールされます。実務では、The parties are independent contractors(両当事者は独立した契約者である)という大前提のポジショニングを最初に叩き込んだ上で、nothing in this agreement shall be deemed to constitute a partnership(本契約のいかなる規定もパートナーシップを構成するものとみなされない)という直截的な否定文を配置することで、どれほど大規模な共同プロジェクトであっても、法的な運命共同体(組合)には絶対に変質しないという実務上の安全弁を完全に固定します。
類似・関連する用語との違い:
- fiduciary relationship(受託者関係、信認関係)との違い:
fiduciary relationshipは、医師と患者、弁護士と依頼人のように、一方が他方を「高度に信頼し、自己の利益を委ねている」関係において、相手方に対して極めて高い誠実義務(自己利益の追求禁止など)を課す法的な関係です。partnershipが対等な事業運営と金銭的な連帯責任に焦点があるのに対し、fiduciary relationshipは信頼に基づいた一方的な「忠実義務の発生」に焦点があるため、独立当事者条項では双方の発生を個別に排除するという違いがあります。 - employment agreement(雇用契約)との違い:
employment agreementは、一方が労働を提供し、他方がその労働を指揮命令下に置いて給与を支払うという、明確な「上下(主従)の労働関係」を成立させる契約です。独立した事業者間の取引において、相手方の作業員から「実質的に雇用されていた(労働者である)」と主張されて労働法上の保護や未払残業代を請求される実務上のリスクを排除するため、partnership と並んで排除される違いがあります。 - corporation(株式会社、法人)との違い:
corporationは、出資者が自分が投資した金額の範囲内でのみ責任を負う「有限責任(limited liability)」が法律で強力に保障された組織形態です。これに対し、一般的な partnership は構成員の「無限責任」が原則であるため、出資者の個人資産や親会社の財産を守るための安全性のレベルが根本的に異なるという違いがあります。
用法:
partnership(パートナーシップ)は:
主にIndependent Contractors(独立当事者条項)で使用されます。
- (文脈): 当事者同士が対等な立場でビジネスを行う際、相手方の事業上の失敗や発生させた第三者への損害について、自社が連帯して金銭的な責任を背負わされる関係(組合関係)を根底から完全に排除する文脈で使用されます。
- (例文での役割): 契約によって生じる関係性から「パートナーシップ(partnership)」という法的事業体の結成を明示的に否定(nothing… shall be deemed to constitute)し、当事者がお互いに自立した存在(independent contractors)であることを法的に宣言する役割を果たしています。
例文 partnership(パートナーシップ):
【Independent Contractors(独立当事者条項)より】
The parties are independent contractors, and nothing in this agreement shall be deemed to constitute a partnership, fiduciary relationship, or employment agreement between them, nor shall it authorize either party to incur any liability or obligation on behalf of the other party for any purpose whatsoever.
(日本語訳)
両当事者は独立した契約者であり、本契約のいかなる規定も、両当事者間にパートナーシップ、受託者関係、または雇用契約が成立するものとはみなされず、また、いずれの当事者にも、いかなる目的であれ相手方を代理して責任または義務を負う権限を付与するものではない。
例文の注記:
- The parties are independent contractors(両当事者は独立した契約者であり)は: この契約におけるお互いの立ち位置が、上司と部下でもなく、組合の仲間でもなく、あくまで「対等なプロの事業者同士の距離感」であることを一文目で明確に定義する、実務上最も重要な宣言文です。
- shall be deemed to constitute(〜が成立するものとはみなされず)は: 当事者がどのようなつもりでいようとも、法律上・裁判上、そうした関係の成立を「強制的に認めない(みなさない)」という、事後的な解釈の余地を一切残さない強力な表現です。
- nor shall it authorize either party(また〜権限を付与するものではない)は: 否定語のnorを用いることで、前の関係性否定に続けて「さらに、以下の権利も一切与えない」という二重の防御壁を構築する、英文契約の定番の否定接続フレーズです。
- incur any liability or obligation on behalf of the other party(相手方を代理して責任または義務を負う)は: 相手方が勝手に外でサインしてきた借用書や注文書について、自社がそのお金を代わりに支払う義務(liability)や、代わりに作業を行う義務(obligation)を負わされる実務上の大損害リスクを、入り口で完全に防止する効果を持っています。