patent infringement

訳:

特許侵害

意味合い:

patent infringement(特許侵害)は:
正当な権限やライセンス(許諾)を得ることなく、他人が特許権を持っている技術や発明を商業的に無断で使用、製造、販売、または輸入する行為を指します。英文契約、特にテクノロジー取引やライセンス契約においては、提供された技術が第三者の特許を侵害しているとして訴訟を起こされるリスク(知的財産侵害リスク)を表す専門表現です。

法的解釈:

patent infringement(特許侵害)は:
補償条項における損害賠償および防御の義務(Indemnification)を発動させる法的な要件(事由)としての効力を持ちます。この言葉が条項に配置されることで、提供された技術を使ったライセンシーが第三者から「特許侵害だ」として訴えられた場合、その裁判費用や最終的な損害賠償金を、元々の技術提供者(ライセンサー)に法的に全額肩代わりさせる(補償させる)という法的な救済関係が成立します。

実務のヒント:

patent infringement(特許侵害)は:
実務上、補償条項(Indemnification Clause)において、技術の買い手(ライセンシー)が、第三者からの特許訴訟による巨額の金銭的リスクから自社を守るための最優先の防衛策として活用されます。実務では、The Licensor shall defend, indemnify, and hold harmless the Licensee against any and all claims… arising out of or resulting from any alleged patent infringement(ライセンサーは、特許侵害の申立てに起因するあらゆる請求からライセンシーを防御し、補償し、免責する)と規定することで、訴訟の初期費用(弁護士費用)の支払いから、最終的な判決金・和解金の負担にいたるまで、すべてのリスク負担をライセンサー側に一元化する実務上の体制を確立します。

類似・関連する用語との違い:

  • alleged patent infringement(特許侵害の申立て)との関係:
    patent infringementは、裁判等で現実に特許侵害の事実が確定した状態を指します。これに対し、alleged patent infringementは、第三者から「そちらの技術は自社の特許を侵害している」と「クレームをつけられた(申立てられた)段階」を指します。実務では、裁判の判決を待たず、警告書が届いた初期段階から補償義務を発動させるため、alleged(侵害の申立て)という文言をセットで配置するのが定石であるという違いがあります。
  • wilful infringement(故意の侵害)との違い:
    wilful infringementは、他人の特許が存在すること、および自社の行為がその特許を侵害することを知りながら、あえて無断で行った「悪質な特許侵害」を指します。英米法の裁判では、これが認められると損害賠償額が最大3倍に跳ね上がる(懲罰的損害賠償)という性質があり、通常の過失による patent infringement とは、法的なペナルティの重さにおいて明確な違いがあります。
  • indemnification(補償、免責)との関係:
    indemnificationは、特定のトラブルによって生じた損害や費用を「肩代わりして補填してあげること」という救済手段そのものを指す言葉です。patent infringementは、その補償(indemnification)を相手に要求するための「原因・引き金(トリガー)」となる関係にあります。

用法:

patent infringement(特許侵害)は:
主にIndemnification(補償条項)で使用されます。

  • (文脈): ライセンスされた技術や購入した製品が、第三者の固有の特許を侵しているとして、ユーザーや買い手が法的トラブル(特許訴訟)に巻き込まれた際、その金銭的損害を製造元・ライセンサー側に引き取らせる文脈で使用されます。
  • (例文での役割): 補償の対象となるリスク原因として「特許侵害(patent infringement)」を特定し、その使用に関連して発生した請求や費用について、ライセンサー側が全責任を負ってライセンシーを防御・補償する(shall defend, indemnify, and hold harmless)という、実務上極めて影響力の大きいリスク移転の役割を果たしています。

例文  patent infringement(特許侵害):

【Indemnification(補償条項)より】
The Licensor shall defend, indemnify, and hold harmless the Licensee against any and all claims, damages, liabilities, or expenses arising out of or resulting from any alleged patent infringement related to the use of the licensed technology in accordance with the specific terms and conditions set forth in this Agreement.

(日本語訳)
ライセンサーは、本契約に定める特定の条件に従ったライセンス技術の使用に関連して生じる、特許侵害の申立てに起因または結果として生じるあらゆる請求, 損害, 責任, または費用について、ライセンシーを防御し、補償し、かつ免責するものとする。

例文の注記:

  • shall defend, indemnify, and hold harmless(防御し、補償し、かつ免責するものとする)は: 英文契約における補償条項の最も重要な定番フレーズです。自ら弁護士を雇って裁判を戦う義務(defend)、発生した損害金を填補する義務(indemnify)、相手方に一切の法的責任を及ぼさない義務(hold harmless)の3つを網羅しています。
  • any and all claims, damages, liabilities, or expenses(あらゆる請求、損害、責任、または費用)は: 相手方の請求金額(claims)や現実に被った損害(damages)だけでなく、裁判にかかった高額な弁護士費用や実費(expenses)にいたるまで、金銭的な支出のすべてを漏れなく補償対象に含めるための網羅的表現です。
  • arising out of or resulting from(に起因または結果として生じる)は: 特許侵害という出来事と、発生した損害との間に直接・間接の因果関係が認められるものをすべて包括し、責任の範囲を広く設定するための法的な接続フレーズです。
  • in accordance with the specific terms and conditions(特定の条件に従った)は: ライセンサーが補償を引き受ける前提として、ライセンシーが契約で決められた「正しい方法・目的」で技術を使っていた場合に限定し、ライセンシーが勝手に技術を改造して特許侵害を起こしたような場合の巻き添え責任を回避する実務上の防衛文言です。