pay in full

訳:

全額を支払う

意味合い:

pay in full(全額を支払う)は:
提示された請求額や契約金額に対して、一部の未払いや分割払い、あるいは一方的な減額を行うことなく、その「総額すべてを不足なく完全に支払う(完済する)」ことを明示する強い決済表現です。

法的解釈:

pay in full(全額を支払う)は:
債務者が自らの都合や相殺(set-off)の主張、あるいは源泉徴収(withholding)などを理由にして、支払うべき金銭の一部を差し引くことを法的に禁止する効力を持ちます。この表現に「without any deduction… for any reason whatsoever(いかなる理由による控除もなく)」という包括的な拒絶文言を付随させることで、債務の完全な履行を一方的に強制する効果があります。

実務のヒント:

pay in full(全額を支払う)は:
実務上、商品の引き渡し後に売主(Seller)が確実に満額のキャッシュフローを回収するための防御手段として支払条件条項(Payment Terms Clause)に組み込まれます。実務では、正式な検収書(formal written acceptance)の発行日を支払期限のカウントダウンの起点(within thirty days following the date of…)に設定した上で、検収が完了した以上はクレームを理由にした支払いの留保を一切認めず、まずは満額(total aggregate amount)を決済させるために活用されます。

類似・関連する用語との違い:

  • pay an invoice(請求書に基づき支払う)との関係:
    pay an invoiceは、請求書というビジネス上の手続き(書面)に沿って支払うアクションを指します。pay in fullは、その支払う金額が「100%満額であること」を要求するものであり、手続きと金額の完全性という観点において補完的な関係にあります。
  • pay in installments(分割で支払う)との違い:
    pay in installmentsは、全体の支払総額を複数回に分けて定期的に決済していく方法を指します。一括で全額を即座に完済することを求める pay in full とは、資金回収のスピードと回数において対照的な関係にある言葉です。
  • default in payment(支払不履行)との違い:
    default in paymentは、期限までに必要な金額を支払わなかったという違反状態を指します。金額のすべてを完全にクリアする pay in full は、この支払不履行(default)の状態を完全に解消・回避した正常な債務消滅の状態を意味するという違いがあります。

用法:

pay in full(全額を支払う)は:
主にPayment Terms(支払条件条項)で使用されます。

  • (文脈): 納品物の検収が正式に完了した後に、買主に対して、いかなる理由(相殺や控除など)があっても請求書の総額を一括で完全に支払わせる義務を課す文脈で使用されます。
  • (例文での役割): 請求書に記載された総額(total aggregate amount)を主語の目的語とし、いかなる理由による差し引きも認めずに全額を支払う(shall pay in full… without any deduction)という厳格な支払義務を、検収完了後30日以内という期限とともに確定させる役割を果たしています。

例文 pay in full(全額を支払う):

【Payment Terms(支払条件条項)より】
The Buyer shall pay in full the total aggregate amount specified in each invoice issued by the Seller, without any deduction, withholding, or set-off for any reason whatsoever, within thirty days following the date of the formal written acceptance of all the licensed products and related technical documentations.

(日本語訳)
買主は、すべてのライセンス製品および関連する技術文書が正式に書面をもって検収された日から30日以内に、売主が発行した各請求書に記載された総額を、いかなる理由による控除、源泉徴収、または相殺も行うことなく、全額を支払うものとする。

例文の注記:

  • shall pay in full(全額を支払うものとする)は: 分割や内金を認めず、債務の一括完済を法的に義務付ける表現であり、売主側の確実な資金回収を強力にサポートする文言です。
  • total aggregate amount(総額、合計金額)は: 諸費用や税金などを含めた請求書の「一番下の最終合計値」を指し、一部の項目だけを抜き出して支払いを拒絶することを防ぐ網羅的な表現です。
  • without any deduction, withholding, or set-off(控除、源泉徴収、または相殺も行うことなく)は: 実務上頻出する「源泉税の差し引き」や、「別件のトラブルの損害賠償金と勝手に相殺して差し引く行為」を契約上あらかじめ完全に禁止するための防衛フレーズです。
  • following the date of the formal written acceptance(正式に書面をもって検収された日の後)は: 口頭での「受け取った」という曖昧な表現を排除し、双方のサインが入った正式な「検収書」という確実な証拠書類が出た日を基準に支払サイト(30日)をスタートさせる実務的な厳格化です。