訳:
履行保証
意味合い:
performance guarantee(履行保証)は:
主にプラント建設契約、システム開発契約、または国際的な大型売買取引において、契約当事者(売主や受託者)が「契約上の義務(製造や工事など)を期日通りに、かつ所定の仕様で完全にやり遂げること」を、親会社や銀行などの第三者が法的にバックアップし、担保することを指します。主債務者が万が一途中で倒産したり、能力不足で履行を放り出したりした場合に、発注者が被る経済的・実務的リスクをカバーする強力なセーフティネットです。
法的解釈:
performance guarantee(履行保証)は:
主債務者が契約不履行(Breach)を起こした場合、保証人(Guarantor)に対して、主債務者に代わってその義務を「現物で履行(完成)」させるか、あるいは不履行によって相手方が被った一切の損害を金銭的に「補償(代位弁済)」させる、従たる強力な法的義務を成立させます。多くの場合、主債務の消滅に伴って保証債務も消滅するという法的な従属性(付従性)を持ちますが、契約書内では「無条件かつ取消不能(unconditionally and irrevocably)」と規定され、主債務者の抗弁を封じる形で強力な独立性を持たせることが一般的です。
実務のヒント:
performance guarantee(履行保証)は:
実務上、保証を提供する側(親会社など)としては、保証の総額(通常は契約金額の10%〜20%程度など)に明確な上限(Cap)を設定すること、およびプロジェクトが一定の進捗(マイルストーン)を達成するごとに保証額が段階的に自動減額される仕組みを入れておくことが、過大な財務リスクを避けるための必須の防衛策となります。逆に発注者側としては、保証の文面が「遅滞なく、かつ言い訳なしに(strict and punctual performance)」履行される内容になっているかを厳格に審査する必要があります。
類似・関連する用語との違い:
- Performance Bond(履行保証金、履行保証証券)との違い:
Performance Bondは、保険会社や銀行などの金融機関(Surety / Issuer)が発行する、具体的な金銭的枠組み(保証証券・証書)そのものを指します。これに対してperformance guaranteeは、義務を最後までやり遂げることを担保するという「法的な保証の仕組み・概念全体」を広く指します。法的な関係として、performance guarantee(履行保証)という大枠の目的を達成するための、実務上最も一般的かつ具体的な「金融ツール(実物書類)」としてPerformance Bond(履行保証状)が発行・利用されるという、概念と実体の関係にあります。 - Payment Guarantee(支払い保証)との違い:
Payment Guaranteeは、主として買主や発注者側が、商品の代金や工事の中間報酬を「期日通りにきちんと支払うこと」を銀行等に保証させる、金銭債務に特化した保証を指します。これに対してperformance guaranteeは、売主や受託者側が、工事を完成させたり仕様通りのものを納品したりするという「業務の実行(非金銭債務)」を保証するものです。法的な関係として、一つの大型プロジェクトにおいて、発注者側の支払いリスクを防ぐPayment Guaranteeと、受託者側の工事放り出しリスクを防ぐperformance guaranteeが、互いのリスクを相殺し合う両輪(対極)の関係として同時に契約内に組み込まれるという関係にあります。 - Indemnity(補償、免責、損害補償)との違い:
Indemnityは、特定の不測の事象や第三者からのクレームによって生じた「実際の損害や費用」を、後からそっくりそのまま埋め合わせる(損害を補填して当事者を無傷にする)という第一次的な直接義務を指します。これに対してperformance guaranteeは、あくまで主債務者の「契約履行(行動)」を前提とし、それが崩れた場合に第二次的に機能する保証義務です。法的には、Indemnityの方が「主債務の有効性にかかわらず損害そのものをカバーする」ため強力であり、guaranteeは主債務の枠組みに法的に従属するという、責任の独立性の有無における明確な違いがあります。
用法:
performance guarantee(履行保証)は: 主にPerformance Guarantee(履行保証条項)で使用されます。
- (文脈):契約当事者の信用力や履行能力を補強するため、その最終親会社(ultimate parent company)などに対して、正式な書面形式での履行保証書(親会社保証)の差し入れを義務付ける文脈。
- (例文での役割):売主が本契約に基づく供給・引渡義務を万が一怠った場合に備え、親会社がそれを「無条件かつ取消不能」な形で代わりに担保・実行する法的な責任関係を構築する役割。
例文 performance guarantee(履行保証):
【Performance Guarantee(履行保証条項)より】
The Seller shall procure that its ultimate parent company executes and delivers a formal written performance guarantee in the form attached hereto, under which the parent company shall unconditionally and irrevocably guarantee the strict and punctual performance of all supply and delivery obligations of the Seller under this Agreement.
(日本語訳)
売主は、その最終親会社をして、本契約の添付様式による正式な書面形式の履行保証書を作成・交付させるものとする。当該保証書において、当該親会社は、本契約に基づく売主のすべての供給および引渡義務の厳格かつ適時の履行を、無条件かつ取消不能な形で保証するものとする。
例文の注記:
- shall procure that(〜をさせるものとする/〜を手配するものとする)は: 契約の当事者ではない第三者(ここでは親会社)に対して、当事者である売主が責任を持ってその行為を行わせる(義務付けを約束する)という、実務上非常に重い結果責任を伴う法務フレーズです。
- ultimate parent company(最終親会社)は: グループ企業の頂点に位置する、資本力と社会的信用が最も高い最上階層の親会社を指します。これにより、実体を持たないペーパーカンパニーの子会社と契約する際のリスクを完全にヘッジします。
- unconditionally and irrevocably(無条件かつ取消不能な形で)は: 保証人が「主債務者が先に弁済すべきだ」といった抗弁(法律上の言い訳)を一切主張できず、また一度与えた保証を途中で勝手に撤回することもできないという、発注者を最大限に保護する最も強力な保証文言です。
- strict and punctual performance(厳格かつ適時の履行)は: 契約内容の仕様変更(strict)や、納期の遅延(punctual)を1日たりとも許さず、文字通り完璧なタイミングとクオリティで義務を実行することを意味します。