訳:
認められた開示範囲の条項
意味合い:
Permitted Disclosures Clause(認められた開示範囲の条項)は:
英文契約書において、秘密保持義務の原則的な禁止規定に対する例外として、情報を開示することが適法に許可される対象者や、その具体的な条件・範囲を包括的に定めた独立した条項そのものを指します。受領当事者が日々の業務遂行において、秘密情報を具体的に「誰に対して、どのような手順で開示してよいか」という適法な行動範囲を画定する骨組みとなる規定です。
法的解釈:
Permitted Disclosures Clause(認められた開示範囲の条項)は:
原則として開示が禁じられている秘密情報について、例外的に開示を認める法的な免責(許容範囲)を設定する効果を有します。本条項に記載された条件(知る必要性、同等以上の義務の遵守など)を満たさない開示がなされた場合、その事象は秘密保持条項の例外とならず、直ちに秘密保持義務違反(Breach of Confidentiality)を構成し、相手方に損害賠償請求や差止請求を認める法的な根拠となります。
実務のヒント:
Permitted Disclosures Clause(認められた開示範囲の条項)は:
実務上、この条項をドラフトする際は、開示対象となる「代表者(Representatives)」の定義に弁護士、会計士、顧問、あるいは子会社の従業員などが含まれるかを明確にし、かつ「情報を知る必要のある者(need to know basis)」に限定することが不可欠です。また、開示先に対しても大元と同等以上の秘密保持義務を負わせ、万一開示先が漏洩した場合には「受領当事者が一切の責任を負う」という連帯責任(または代位責任)の仕組みを組み込むことが、実務上最大の紛争予防策となります。
類似・関連する用語との違い:
- exceptions to confidentiality(秘密保持の例外)との違い:
exceptions to confidentialityは、公知の事実となった情報や、開示を受ける前から保有していた情報など、秘密保持義務そのものが最初から免除される「情報の性質」に着目した規定全般を指します。これに対してPermitted Disclosures Clauseは、情報は秘密のままであることを前提としつつ、特定の目的のために「特定の人物へ開示する行為」を例外的に合意する条項です。法的な関係として、情報のステータスを争う前者に対し、後者は秘密性を維持したまま組織的に活用するための開示手続きをパッケージ化したものであるという機能的な違いがあります。 - Confidentiality Clause(秘密保持条項全般)との違い:
Confidentiality Clauseは、いかなる秘密情報も外部に漏らしてはならないという包括的な禁止義務を宣言する条項そのものを指します。これに対してPermitted Disclosures Clauseは、その厳格な禁止の枠組みの中に、ビジネスを現実的に動かすための「適法な抜け穴(開示してよい例外の窓口)」を限定的に作り出す役割を持ちます。法的な関係として、原則(開示禁止)を定めるConfidentiality Clauseに対し、その原則を破綻させずに運用するための具体的な許容条件を定めるのがPermitted Disclosures Clauseであるという、原則と例外の関係にあります。 - Compelled Disclosure(強制開示、法令に基づく開示)との違い:
Compelled Disclosureは、裁判所の命令や政府機関の要請など、法律上の強制力によって情報の開示を「義務付けられた」場合の例外規定を指します。これに対してPermitted Disclosures Clauseは、当事者が自らのビジネス上の都合や判断(弁護士への相談や子会社への指示など)によって自主的に開示を「許可された」場合の規定を指します。法的な相違点として、国家権力による不可抗力的な開示を扱う前者に対し、後者は当事者間の合意に基づく実務的な裁量の範囲を扱うという動機・性質における違いがあります。
用法:
Permitted Disclosures Clause(認められた開示範囲の条項)は:
そのまま独立した出典条項(Permitted Disclosures Clause(認められた開示範囲の条項))として、秘密保持契約(NDA)や、M&A・業務提携契約における秘密保持規定で広く一般的に使用されます。
- (文脈):秘密保持義務の適用から特定の人物を除外するとともに、その例外的な情報開示が許容される範囲と責任の帰属を厳格に確定させる文脈です。
- (例文での役割):受領当事者の代表者に対する開示の条件として「知る必要性」と「同等以上の義務による拘束」を課し、万一の違反時には受領当事者が引き続き全責任を負うことを明確にして契約実行を結びつける役割を果たしています。
例文 Permitted Disclosures Clause(認められた開示範囲の条項):
【Permitted Disclosures Clause(認められた開示範囲の条項)より】
The Receiving Party may disclose the Confidential Information to its Representatives who need to know such information for the permitted purpose, provided that such Representatives are bound by confidentiality obligations no less restrictive than those contained herein, and the Receiving Party remains liable for any breach by them.
(日本語訳)
両当事者間で書面による別段の合意がない限り、受領当事者は、認められた目的のために当該情報を知る必要のある自らの代表者に対し、秘密情報を開示することができる。ただし、当該代表者は本契約に定めるものと同等以上の制限を課す秘密保持義務を負うものとし、受領当事者は、当該代表者によるいかなる違反についても引き続き責任を負うものとする。
例文の注記:
- need to know(知る必要性)は: 役職や地位に関わらず、本契約の目的を遂行するためにその情報をどうしても知る必要があるという実務上の必要性を客観的に限定する基準です。
- provided that(ただし~を条件として)は: 前文で認められた権利や許可に対して、必ず満たさなければならない厳格な前提条件を付加する、実務上必須の条件規定表現です。
- bound by(拘束される)は: 契約の内容や法律上の義務に従うべき法的な強制力の下に置かれている状態を指し、違反時に直接の責任を追及するための法的な拠点を確定させます。
- no less restrictive than(~と同等以上の制限を課す)は: 第三者に課す義務のレベルが、大元の契約当事者が負う義務と比較して一切緩められていないことを保証する、実務上極めて強い義務付け表現です。
- remains liable for(~について引き続き責任を負う)は: 手を離れた先の第三者が起こした違反行為であっても、大元の当事者がその全責任を肩代わりして引き受け続けることを明確にする機能があります。