訳:
個人または法人
意味合い:
person or entity(個人または法人)は:
英文契約書において、権利義務の主体となり得るすべての自然人(生身の人間)と法人(会社、組合、団体など)を組み合わせた包括的な表現を指します。通常、譲渡禁止条項(Assignment)や第三者への権利付与を制限する規定において、どのような法的な形態をした第三者であっても網羅的に捕捉するための定型フレーズとして登場します。
法的解釈:
person or entity(個人または法人)は:
契約の当事者以外のあらゆる法的主体に対して、契約上の権利や義務が勝手に移転することを阻止する包括的な法的拘束力を有します。本規定に違反して、個人または法人のいずれに対しても譲渡の試みがなされた場合、その事象がそのまま直ちに当該行為の効力を完全に否定し、無効(null and void)とする法的な基本要件を形作ります。
実務のヒント:
person or entity(個人または法人)は:
実務上、契約上の地位や権利を第三者に引き渡す行為を禁止する際、相手が「個人(ライバル企業の経営者個人など)」であるか「法人(競合他社など)」であるかを問わず、あらゆる漏れをなくす必要があります。単に「第三者(third party)」とだけ書くよりも、この「person or entity」を併記することで、法律上の主体を網羅し、形態を悪用した潜脱行為(個人名義での迂回譲渡など)を防ぐことが、実務上最大の紛争予防策となります。
類似・関連する用語との違い:
- third party(第三者)との関係:
third partyは、契約の当事者(Signatory)以外のすべての存在を指す大まかな言葉です。これに対してperson or entityは、そのthird partyの中身を「自然人」と「法人格を持つ組織」という法律上の2大主体に分解して精密に表現したものです。法的な関係として、解釈の曖昧さをなくし、どのような存在であっても網羅することを強調する具体化の関係にあります。 - legal person(法人)との違い:
legal personは、法律によって人と同じような権利義務の主体となることを認められた会社などの「法人」のみを指します。これに対してperson or entityは、生身の人間(natural person)と組織(entity)の画像・形態を問わずすべて網羅するため、対象範囲を法人だけに限定せず、個人による引き受けも含めて等しく規制の対象とするという明確な相違点があります。 - Affiliate(関連会社、関係企業)との違い:
Affiliateは、当事者によって直接または間接的に支配されている子会社や親会社などの「資本関係のある特定の法人組織」のみを指す言葉です。これに対してperson or entityは、そうした資本関係の有無を一切問わず、世の中に存在するあらゆる独立した個人や会社、団体を広く包括して捕らえる言葉です。法的な相違点として、グループ内の身内を例外として扱うために用いられる前者に対し、後者は外側にあるすべての第三者を一網打尽に禁止対象とするために用いられるという目的の違いがあります。
用法:
person or entity(個人または法人)は:
主にAssignment(譲渡条項)で使用されます。
- (文脈):契約上の権利や義務が、当事者のあずかり知らぬところで全く別の第三者(形態を問わない)へと勝手に譲渡・移転されるのを厳格に防止する文脈です。
- (例文での役割):相手方の事前の書面同意を得ることなく、いかなる個人または法人に対しても権利の譲渡や処分を行うことを包括的に禁止し、違反行為を最初から無効と宣言する役割を果たしています。
例文 person or entity(個人または法人):
【Assignment(譲渡条項)より】
Neither party shall assign, transfer, or otherwise dispose of any rights or obligations under this Agreement to any third-party person or entity without the prior written consent of the other party, and any attempted assignment or transfer in violation of this provision shall be deemed null and void.
(日本語訳)
いずれの当事者も、相手方の事前の書面による同意なしに、本契約に基づく権利または義務を第三者である個人または法人に譲渡し、移転し、またはその他の方法で処分することはできないものとし、本規定に違反して行われた譲渡または移転の試みは、無効とする。
例文の注記:
- Neither party shall(いずれの当事者も~してはならない)は: 双方の当事者に対して例外なく特定の行為を全面禁止する、実務上最も厳格な禁止表現です。
- assign, transfer, or otherwise dispose of(譲渡し、移転し、またはその他の方法で処分する)は: 売却、譲渡、担保設定など、権利を手放すあらゆる法的な行為を網羅し、解釈の抜け道を完全に塞ぐ表現です。
- attempted assignment(譲渡の試み)は: 実際に譲渡が完了した時点だけでなく、譲渡を行おうと契約を結んだり手続きを開始したりした段階(未遂の段階)から厳格に差し止める効果を持ちます。
- deemed null and void(無効とみなされる)は: 違反行為に対して法律上の効力を一切認めず、最初から存在しなかったものとして扱う、実務上極めて強力な法的なペナルティ表現です。