person

訳:

個人(自然人)

意味合い:

person(個人(自然人))は:
英文契約書において、権利義務の主体となる生身の人間(自然人)を指します。通常、データ保護条項やセキュリティ関連規定において、法的主体としての企業(entity)や組織と区別し、アクセス権や情報開示の対象となる「個人の人間」を網羅的かつ特定的に指し示す定型表現として登場します。

法的解釈:

person(個人(自然人))は:
契約上の義務履行において、直接その行為を行う、あるいは情報の受け手となる生身の人間に対する法的拘束力の範囲を画定します。本規定において「権限のない個人(unauthorized person)」と指定された者に情報が渡った場合、法人の管理体制に関わらずその事象がそのまま直ちに情報漏洩(秘密保持義務違反)を構成し、相手方に契約解除や損害賠償請求を認める法的な基本要件を形作ります。

実務のヒント:

person(個人(自然人))は:
実務上、個人データや機密情報の取り扱いを制限する際、法人(entity)だけでなくその内部にいる従業員一人ひとりの「個人」を視野に入れる必要があります。特にプライバシー法域(GDPR等)においては、情報へのアクセス権をどの「個人」に付与するかを厳格に管理することが求められるため、単に組織としてのアクセス制限だけでなく、権限のない従業員を含むすべての「個人」への開示を禁じる多層的な防御策を講じることが、実務上最大の紛争予防策となります。

類似・関連する用語との違い:

  • individual(個人、一個の主体)との違い:
    individualは、文脈を問わず完全に一人の生身の人間のみを厳密に特定する言葉です。これに対してpersonは、英米法の解釈や契約内の定義(Definition条項)の置き方によっては法人(legal person)を含む場合があるため、本項のように明確に「自然人のみ」を対象とする場合は、文脈において「employees(従業員)」などの自然人を例示して範囲を限定するという違いがあります。
  • entity(法人、組織体)との違い:
    entityは、会社、組合、政府機関など、法律によって権利能力を認められた組織としての主体を指します。これに対してpersonは、本項の文脈ではその組織の傘下にいる、あるいは独立した生身の人間そのものを指します。法的な相違点として、組織としての責任(entity)を追及する規定に対し、実際にアクセスする人間の動線(person)を縛るという、対象の捉え方における明確な違いがあります。
  • third party(第三者)との違い:
    third partyは、契約の当事者以外のすべての存在を法人・個人問わず一括して指す言葉です。これに対してpersonは、本項の文脈において、当事者の内部(従業員など)にいる生身の人間であっても、正式なアクセス権限がなければ開示対象から排除されるべき「個々の人間」に焦点を絞って指定する言葉です。法的な関係として、契約の外側を広く規制する前者に対し、後者は情報の直接の受け手となる人間の資格を個別に審査・制限するという機能的な違いがあります。

用法:

person(個人(自然人))は:
主にConfidentiality(秘密保持条項)データ保護規定で使用されます。

  • (文脈):個人データや機密情報の漏洩を防ぐため、アクセスを許可されていない不特定の人間に対して情報を開示・伝達することを厳格に禁止する文脈です。
  • (例文での役割):事前の同意なく、自社の従業員であっても権限を持たない「個人」に対してデータを引き渡すことを厳格に制限するとともに、適切な安全管理措置を講じる義務を宣言する役割を果たしています。

例文  person(個人(自然人)):

【Confidentiality(秘密保持条項)より】
The Receiving Party shall ensure that any personal data under this Agreement shall not be disclosed to any unauthorized person, including but not limited to its employees, without prior written consent, and shall implement appropriate security measures to protect such data from any unauthorized access or disclosure.

(日本語訳)
受領当事者は、本契約に基づく個人データを、事前の書面による同意なしに、その従業員を含むがこれに限定されない権限のない個人に対して開示しないものとし、かつ、当該データを不正アクセスや不正開示から保護するために適切なセキュリティ対策を講じるものとします。

例文の注記:

  • shall ensure that(~を確実にするものとする)は: 単なる努力義務に留まらず、対象となる結果を何が何でも100%実現することを当事者に強いる、実務上極めて強い義務付け表現です。
  • unauthorized person(権限のない個人)は: 組織内において特定のデータにアクセスする正式な資格や業務上の必要性を付与されていない生身の人間を指し、漏洩の対象を明確にする法的な拠点を確定させます。
  • including but not limited to(~を含むがこれに限定されない)は: 例外や漏れを防ぐために代表例(従業員)を挙げつつも、それ以外の第三者をも包括的に網羅するための定型文言です。
  • implement appropriate security measures(適切なセキュリティ対策を講じる)は: 抽象的な約束ではなく、暗号化やアクセスログの取得など、具体的な安全管理措置をシステム・運用の両面で実行することを義務付ける表現です。