premises and covenants

訳:

前提と約定事項

意味合い:

premises and covenants(前提と約定事項)は:
契約書の冒頭(前文・Recitals)に述べられた「契約締結に至る背景や前提事実(premises)」と、これから本文中で具体的に約束される「各当事者の法的な義務・合意内容(covenants)」を組み合わせた包括的な定型表現です。

法的解釈:

premises and covenants(前提と約定事項)は:
前文(Recitals)から本文(Body)へと移行する結びの言葉(約因文言)の中で用いられ、前文の「事実の記述」と本文の「義務の約束」の双方が合意の不可欠な要素であり、契約全体を成立させるための正当な対価(consideration)を構成していることを法的に確認する効力を持ちます。

実務のヒント:

premises and covenants(前提と約定事項)は:
実務上、Clause(条項)の内部ではなく、前文の最後を締めくくる NOW,THEREFORE…で始まる定型文においてセットで登場します。この表現を通過することで、前文の内容(背景事実)が本文の約定と同等に双方を法的に縛る基礎となるため、前文に不正確な背景や過大な期待を記載してはならない、という実務上の重要な注意点につながります。

類似・関連する用語との違い:

  • terms and conditions(条件、諸条件)との違い:
    terms and conditionsは、契約本文に並んでいる「個々の条項や細かな契約条件」の全体を指す言葉です。これに対して、premises and covenantsは、契約の構成を意識した言葉であり、「前文に書かれた背景事情(premises)」と「本文でこれから約束する義務(covenants)」の2つの大要素を明確に対比・包含して指すものであるという違いがあります。
  • representations and warranties(表明および保証)との違い:
    representations and warrantiesは、契約締結時において、当事者が特定の事実(財務状況や権利の適法性など)が真実かつ正確であることを表明し保証する条項を指します。これに対して、premises and covenantsは、過去から現在に至る取引の経緯(premises)と、将来に向けて履行すべき義務(covenants)の全体を指すため、対象とする事実の性質や時間軸が異なるという違いがあります。
  • recitals and agreements(前文および合意事項)との違い:
    recitals and agreementsは、契約書の形式的な「章の見出し」に近いニュアンスで、背景を語る部分(recitals)と合意された条文(agreements)を指します。これに対して、premises and covenantsは、それらをさらに法律上の「契約を有効に成立させるための対価の根拠(約因)」として捉え、背景事実と約束の内容の双方が法的に不可欠な価値を持っていることを強調する法的な響きが強い表現です。

用法:

premises and covenants(前提と約定事項)は:
主に、Recitals(前文)から本文への移行部で使用されます。

  • (文脈): 契約書の前文(WHEREAS条項など)の記述を終え、これから具体的な条文(本文)へと移るにあたり、これまでの前提事実とこれからの約定のすべてに双方が合意することを宣言する文脈です。
  • (例文での役割): 前文に記載された前提事実と、本文に含まれる誓約事項のすべてを約因(対価)として認め、双方が法的に拘束される意思を持って合意を成立させる中心的機能です。

例文 premises and covenants(前提と約定事項):

【Recitals(前文)より】
NOW, THEREFORE, in consideration of the foregoing premises and covenants contained herein, and for other good and valuable consideration, the receipt and sufficiency of which are hereby acknowledged, the parties hereto, intending to be legally bound, hereby agree to all terms and conditions set forth below.

(日本語訳)
以上の本契約に定める前提と約定事項、ならびにその受領および十分性がここに確認されるその他の正当かつ価値ある対価を約因として、法的に拘束される意思を有する両当事者は、以下に定めるすべての条件に合意する。

例文の注記:

  • in consideration of the foregoing premises and covenants(以上の前提と約定事項を約因として)は: ここまでに述べてきた契約の背景事実(premises)と、これから本文で誓約する義務(covenants)の2つを、契約を法的に成立させるための正式な対価関係(約因)に据えることを宣言する重要な表現です。
  • for other good and valuable consideration(その他の正当かつ価値ある対価)は: 契約書に直接金銭の授受が明記されていない場合であっても、法律上、契約が有効に成立するために必要な「何らかの価値ある対価のやり取り」が確かに存在していることを確認する、英米法特有の包括的な防衛文言です。
  • intending to be legally bound(法的に拘束される意思を有する)は: 単なる紳士協定や意向表明(LOI)ではなく、裁判所で強制執行ができるレベルの「正式な法的義務」を自発的に引き受ける意思が双方にあることを明確に表示する役割を持っています。
  • receipt and sufficiency of which are hereby acknowledged(その受領および十分性がここに確認される)は: 契約が一度成立した後に、どちらかの当事者が「対価が不十分だった」とか「受け取っていない」などと主張して、契約の効力を事後的にひっくり返そうと試みるのを法的に封じる機能を持っています。