restraint of trade

訳:

取引制限、営業の自由の制限

意味合い:

restraint of trade(取引制限、営業の自由の制限)は:
事業活動、職業の自由、または当事者間の自由な取引競争を制限・阻害する契約上の約束や取り決めを指す法概念です。過度に広範な競業避止義務や事業制限が公序良俗や反トラスト法(独占禁止法)に違反し、無効とされるか否かを判断する際の重要な比較概念となります。

法的解釈:

restraint of trade(取引制限、営業の自由の制限)は:
英米法上の「取引制限の法理(Doctrine of Restraint of Trade)」に基づき、合理的な範囲を超える制限約款を無効とする法的判断の基準となります。契約で事業制限を設ける際、それが「正当な事業利益の保護のために合理的な範囲内か」を画定し、不当な競争制限として無効化されるリスクを管理・回避する法的機能を担います。

実務のヒント:

restraint of trade(取引制限、営業の自由の制限)は:
競業避止(Non-Compete)や秘密保持(Confidentiality)などの制限条項において、その制限の効力を維持するための確認文言として挿入されます。実務上は、制限の期間・地域・対象範囲を限定したうえで、「本制限は違法なrestraint of tradeには該当しない」旨を契約文言上で当事者に相互確認させ、裁判等での無効主張を事前に防ぐ設計を行います。

類似・関連する用語との違い:

  • non-compete restriction(競業避止制限)との違い:
    non-compete restrictionは退職者や取引相手が競合事業を行うことを直接禁止する具体的・個別的な条項です。これに対し、restraint of tradeは競業避止を含む「事業や取引の自由を制限する行為全般」を指す、より広範な法概念である点に違いがあります。
  • monopolization(独占)との違い:
    monopolizationは市場支配力を利用して他者を排除し、市場全体を排他的に支配する行為を指します。これに対し、restraint of tradeは市場全体に限らず、当事者間の契約上の自由や事業活動を不当に縛る約款全般を指す点に違いがあります。
  • undue restriction(不当な制限)との関係:
    undue restrictionは正当な理由がなく過度になされる制限を意味します。実務上、restraint of tradeが「undue restriction(不当な制限)」に該当する場合は法的に無効とされる、という相補的な関係にあります。

用法:

restraint of trade(取引制限、営業の自由の制限)は:
主に、英文契約書のSeverability(分離可能性条項)Non-Compete(競業避止条項)などで使用されます。

  • (文脈): 契約に定める競業避止や秘密保持などの制限規定が、適用法上の違法な取引制限に該当せず有効であることを合意・確認する文脈で使用されます。
  • (例文での役割): 契約内の競業避止等の義務が事業上の正当な利益保護のために合理的なものであることを確認させ、不当な取引制限として将来無効と判断されるリスクを未然に防ぐ役割を果たしています。

例文  restraint of trade(取引制限、営業の自由の制限):

【Severability(分離可能性条項)より】
The parties hereby expressly agree and acknowledge that the non-compete restrictions and confidentiality obligations contained within this Agreement are reasonably necessary for the protection of legitimate business interests and shall not be deemed an unlawful restraint of trade or an undue restriction on the business operations under any applicable laws.

(日本語訳)
両当事者は、本契約に定められる競業避止制限および秘密保持義務が、正当な事業上の利益を保護するために合理的に必要であること、ならびに、これらがいかなる適用法の下においても、違法な取引制限または事業運営に対する不当な制限とはみなされないことを、ここに明示的に合意し、かつ確認する。

例文の注記:

  • reasonably necessary for the protection of legitimate business interests(正当な事業上の利益を保護するために合理的に必要である)は: 競業避止等の制限が法的保護に値する合理的な目的を持つことを裏付ける文言です。裁判等において制限の有効性を立証するための重要な根拠として作用します。
  • shall not be deemed an unlawful restraint of trade(違法な取引制限とはみなされないものとする)は: 当事者間で設定した制限が反トラスト法や公序良俗に反するものではないことを明示する規定です。契約条項全体が無効化されるリスクを防止する機能を果たします。
  • undue restriction on the business operations(事業運営に対する不当な制限)は: 相手方の事業活動を過剰かつ不当に阻害する制限を指す表現です。自社の設定した約款がこの不当な制限に当たらないことを当事者間で再確認させる役割を持ちます。
  • under any applicable laws(いかなる適用法の下においても)は: 本規定の有効性主張が、準拠法を含む適用法令全般において妥当することを期する文言です。法的解釈の揺らぎをなくし、合意の効力を強固にする機能を果たします。