訳:
明示的に
意味合い:
specifically(明示的に)は:
契約書において、曖昧さや推測の余地を残さず「具体的かつ明確に文面で指定する」状態を表す副詞です。当事者の意図や合意内容を書面上で明白に確定させる目的で用いられます。
法的解釈:
specifically(明示的に)は:
黙示の合意や口頭による口約束、過去の取り決めなどを排斥し、書面に直接記載された条項のみを法的拘束力のある合意として確定させる効力を生み出します。契約解釈上の争いが生じた際に、明確な文言以外の解釈を排除する作用を果たします。
実務のヒント:
specifically(明示的に)は:
完全合意条項や免責条項、権利放棄条項において極めて頻繁に使用されます。「書面で明示的に定められていない事項は効力を持たない」と規定することで、後からの「そんな約束をしたはずだ」という口頭合意の主張を未然に防ぐ作成上の工夫として機能します。
類似・関連する用語との違い:
- expressly(明確に・明示的に)との関係:
expresslyとspecificallyは実務上ほぼ同義で用いられますが、specificallyは「具体的かつ特定して」というニュアンスが強く、特定の項目を具体指名して明示する文脈に適合する関係にあります。 - impliedly(黙示的に)との違い:
mpliedlyは当事者の態度や取引慣行から「暗黙のうちに示される」状態を指します。これに対し、specificallyは「書面等で明確かつ具体的に記述されている」状態を指す点に違いがあります。 - in writing(書面にて)との関係:
in writingは「記載する媒体・形式」を指定する表現です。specificallyは「その記載内容が具体的で明確であること」を求める表現であり、specifically set forth in writing(書面にて明示的に規定された)のように組み合わせて使用される関係にあります。
用法:
specifically(明示的に)は:
主に、Entire Agreement(完全合意条項)などで使用されます。
- (文脈): 口頭での説明や事前の交渉経緯ではなく、契約書の文言として直接かつ明確に記載された内容のみを効力のある合意として特定する文脈で使用されます。
- (例文での役割): 事前の協議や口述において言及された可能性のある表明・保証のうち、契約書上に直接かつ具体的に記載されていないものを効力対象から外す役割を果たしています。
例文 specifically(明示的に):
【Entire Agreement(完全合意条項)より】
This Agreement constitutes the entire agreement between the parties regarding the subject matter hereof and supersedes all prior discussions. The parties acknowledge that they have not relied on any representation or warranty that is not specifically set forth in writing herein, and no amendment shall be effective unless executed in writing.
(日本語訳)
本契約は、本契約の対象事項に関する当事者間の完全な合意を構成し、従前のすべての協議に優先する。当事者は、本契約において書面により明示的に規定されていない表明または保証には依拠していないことを認め、書面により締結されない限り、いかなる変更も効力を有しないものとする。
例文の注記:
- constitutes the entire agreement between the parties(当事者間の完全な合意を構成する)は: 契約書以外の過去の覚書や協議事項を効力から外す完全合意の基本定型文です。取引の最終合意内容を本契約書に一元化する重要機能を発揮します。
- supersedes all prior discussions(従前のすべての協議に優先する)は: 契約締結前になされた一切の口頭説明、メールやり取り、提案書などを上書きして無効化する効力をもたらします。
- have not relied on any representation or warranty(〜表明または保証には依拠していない)は: 契約締結にあたり相手方の契約外の発言等を信用して判断したわけではないことを双方で相互に確認し、後からの口頭詐術等の主張を封じる役割を果たします。
- no amendment shall be effective unless executed in writing(書面により締結されない限り、いかなる変更も効力を有しない)は: 契約変更の手続を厳格な書面手続き限定とし、口頭や担当者レベルでの安易な変更主張を排除する機能を持ちます。