substantive law

訳:

実体法

意味合い:

substantive law(実体法)は:
当事者の権利、義務、責任の発生や消滅、範囲など「法的権利義務の実体そのもの」を定める法律の体系を指す名詞句です。裁判の手続や管轄、法の適用ルールを定める手続法(procedural law)や国際私法(conflict of laws)と対となる概念です。

法的解釈:

substantive law(実体法)は:
準拠法条項において、紛争が発生した際にどの法域の「実質的な法律ルール(民法・商法・契約法等)」に基づいて法的判断を下すかを指定することを明確にする機能があります。州や国の国際私法原則(抵触法原則)が排除され、指定された特定の法域の実体法が直接適用される法的効果をもたらします。

実務のヒント:

substantive law(実体法)は:
国際取引の準拠法条項において、「without regard to its conflict of laws principles(法の抵触原則を考慮せず)」という文言と組み合わせて指定することが不可欠です。この指定を行わない場合、選定した法域の国際私法が作動し、結果的に意図しない他国の法律が再指定されるリスク(反致の発生)を排除できます。

類似・関連する用語との違い:

  • procedural law(手続法)との違い:
    procedural lawは訴訟の起訴手順や証拠提出、裁判手続などの「権利を実現するための手続」を定める法です。これに対し、substantive lawは契約違反の成立要件や損害賠償額など「権利義務の中身」を定める点に違いがあります。
  • governing law(準拠法)との関係:
    governing lawは契約に適用される「指定された法域の法律全体」を指します。実務上、substantive lawはその準拠法の中で実際に権利義務を裁定する「実体法部分」を特定して適用させる関係にあります。
  • conflict of laws(国際私法・法の抵触)との違い:
    conflict of lawsは複数の法域が関与する紛争で「どの国の法律を適用すべきかを選択する手続的ルール」です。これに対し、substantive lawはその適用選択の結果として最終的に当てはめられる実体ルールである点に違いがあります。

用法:

substantive law(実体法)は:
主に、英文契約書のGoverning Law(準拠法条項)などで使用されます。

  • (文脈): 国際契約や州を跨ぐ取引において、紛争解決の際に適用される法体系の性質を明確にし、他国の法の介入を遮断する文脈で使用されます。
  • (例文での役割): ニューヨーク州法を準拠法として選定した上で、単なる手続法や国際私法ルールではなく「ニューヨーク州の契約法などの実体ルールそのもの」を適用することを確定させる役割を果たしています。

例文  substantive law(実体法):

【Governing Law(準拠法条項)より】
This Agreement shall be governed by, and construed and enforced in accordance with, the laws of the State of New York, without regard to its conflict of laws principles, meaning that the substantive law of New York shall apply to the resolution of any dispute arising out of this Agreement.

(日本語訳)
本契約は、ニューヨーク州の法の抵触に関する原則にかかわらず、同州の法に準拠し、同法に従って解釈および執行されるものとする。すなわち、本契約に起因する紛争の解決には、ニューヨーク州の実体法が適用されるものとする。

例文の注記:

  • shall be governed by, and construed and enforced in accordance with(~の法に準拠し、同法に従って解釈および執行されるものとする)は: 契約の効力発生、解釈基準、強制力行使のすべてを指定法域に委ねる準拠法条項の標準的な公式宣言です。契約全体の法的基盤を一本化する機能を持ちます。
  • without regard to its conflict of laws principles(法の抵触に関する原則にかかわらず)は: 指定法域の国際私法ルールによる他国法の引き戻し(反致)を未然に排除する定型文言です。当事者が意図した指定法の直接適用を確定させる効力を発揮します。
  • meaning that the substantive law of New York shall apply(すなわち、ニューヨーク州の実体法が適用されるものとする)は: 準拠法適用の意味合いを再確認し、実体法ルールの直接適用を念押しする解釈限定文言です。手続法や国際私法との混同を防ぎ、裁定基準を明確にする作用を果たします。
  • to the resolution of any dispute arising out of this Agreement(本契約に起因する紛争の解決には)は: 指定された実体法が適用される対象範囲を特定する表現です。本契約から派生するあらゆる法的争いを網羅して解決基準に含める効果をもたらします。