FOB

訳:

FOB(Free on Board)
① 本船渡し
② 指定地点渡し

意味合い:

貿易取引における費用負担とリスク移転のタイミングを定める条件(定型取引条件)です。

① 本船渡し: インコタームズ(Incoterms)に基づく定義。
② 指定地点渡し: 改正米国貿易定義(1941年版)(Revised American Foreign Trade Definitions, 1941)に基づく定義。

法的解釈(Legal Interpretation):

インコタームズと米国定義では、同じ「FOB」でも「どこでリスクが移るか」が決定的に異なります。 現在の国際標準はインコタームズですが、契約書にどちらの定義を適用するかを明記しないと、解釈の齟齬から多額の損害賠償問題に発展する恐れがあります。

FOBとFCAの違い:

インコタームズにおいて、FOBは「海上および内陸水路輸送」に限定されます。コンテナ輸送のように船に積み込む前に運送人に引き渡す場合は、現代の実務ではFCA(運送人渡し)が推奨されます。

実務のヒント(Practical Tip):

単独で「FOB Tokyo」と書くのではなく、必ず FOB Tokyo Port (Incoterms 2020) のように、どの定義を採用するかを併記してください。特に米国企業との取引では、相手が1941年定義を前提にしている場合があるため注意が必要です。

用法:

主に、売買契約(Sales Agreement)や供給契約(Supply Agreement)の価格(Price / Payment)または配送(Delivery / Shipping)条項で使用されます。

例文1(FOB:①本船渡し):

The Unit Price of the Goods shall be USD 10,000 per unit, FOB Tokyo Port (Incoterms 2020), inclusive of all export duties and loading charges.

(日本語訳)
本製品の単価は、1台あたり10,000米ドル(東京港本船渡し、インコタームズ2020)とし、これにはすべての輸出関税および積込費用が含まれるものとする。

例文2(FOB:②指定地点渡し):

The Purchase Price shall be USD 50,000, FOB Factory (Revised American Foreign Trade Definitions 1941), and the Buyer shall bear all subsequent transportation costs.

(日本語訳)
購入価格は50,000米ドル(工場内指定地点渡し、1941年改正米国貿易定義)とし、それ以降のすべての輸送費用は買主が負担するものとする。

例文の注記:

  • inclusive of:~を含めて。価格の構成要素を明確にし、輸出関税や積込費などの付随費用をどちらが負担するかについての事後的な紛争を防ぐための限定表現です。
  • bear all subsequent transportation costs:それ以降のすべての輸送費用を負担する。指定地点(FOB地点)を境界線として、運送コストと貨物の滅失・毀損リスクが売主から買主に完全に移転したことを確定させる機能があります。