訳:
最初の1ドルからの補償
意味合い:
損害賠償額がある一定の基準額を超えた場合、その基準額を差し引くことなく、1ドル目(全額)から補償の対象とする方式を指します。
法的解釈(Legal Interpretation):
主にM&Aの表明保証義務(Indemnification)において、「Tipping Basket(しきい値)」という仕組みと共に使われます。軽微な請求を排除するための「ハードル」を設けますが、一度そのハードルを超えれば、損害の全額を遡って請求できるという法的構成です。
類似する用語との違い:
First-dollarとDeductible(免責額)の違い:
Deductibleは、常に一定額(例:1万ドル)が損害から差し引かれ、超過分のみが支払われます。対してFirst-dollar(Tipping Basket方式)は、損害が基準額(例:1万ドル)を超えた瞬間に、1ドル目から全額が支払われます。権利者にとっては、基準額さえ超えれば全額回収できる「First-dollar」の方が圧倒的に有利な条件となります。
実務のヒント(Practical Tip):
M&A交渉において、売主は「Deductible(免責額)」を主張し、買主は「Tipping Basket(First-dollar)」を主張するのが一般的です。契約書に「from the first dollar」という文言があるかどうかで、最終的な受取額が基準額分(数千万円単位になることもあります)変わるため、非常に重要な交渉ポイントです。
用法:
主に、株式譲渡契約(Stock Purchase Agreement)の補償(Indemnification)条項で使用されます。
- (補償範囲の拡大):損害額が一定のしきい値(Basket Amount)に達した際に、全額を補償対象とするために規定されます。(Indemnity Provision)
例文(最初の1ドルからの補償:株式譲渡契約(SPA)の補償(Indemnification)条項):
If the aggregate amount of all claims for indemnification exceeds the Basket Amount of $100,000, the Seller shall be liable for the full amount of such claims from the First-dollar.
(日本語訳)
補償請求の合計額が10万ドルのバスケット額(免責基準額)を超える場合、売主は、当該請求の全額について最初の1ドルから責任を負うものとする。
例文の注記:
- aggregate amount:合計額。個別の損害は小さくても、積み上げて基準額を超えるかどうかを判定します。
- Basket Amount:バスケット額(しきい値)。
be liable for:~に対して責任(賠償義務)を負う。