• audit

    訳:

    ①監査、検査(名詞)
    ②監査する、検査する(動詞)

    意味合い:

    相手方が契約(特に支払義務や秘密保持義務)を正しく遵守しているかを確認するため、帳簿や記録、施設などを公式に調査することを指します。ロイヤリティ支払いの計算根拠が正しいか、セキュリティ基準が守られているかを検証するための強力な権利です。

    用法:

    主に 監査権条項(Audit Clause)支払い確認条項(Payment Verification Clause) で使用されます。

    1. (監査の実施:名詞用法): 契約遵守を確認するため、事前に通知した上で帳簿の監査を実施できる権利を定める。(例文1)
    2. (監査を行う権利:動詞用法): 一定の頻度(例:年に1回)で、相手方の帳簿を監査する権限を持つことを定める。(例文2)

    例文1(名詞用法:監査権条項から):

    Upon reasonable prior notice, Buyer may conduct an audit of Seller’s relevant books and records to verify compliance with the terms of this Agreement.

    (訳) 合理的な事前の通知を行うことにより、買主は、本契約の条件への遵守状況を確認するため、売主の関連する帳簿および記録の監査を実施することができる。

    例文2(動詞用法:監査権条項から):

    The Licensor shall have the right to audit the Licensee’s books and records once per calendar year upon providing thirty (30) days’ prior written notice.

    (訳) ライセンサーは、30日前に書面で通知することにより、暦年につき一回、ライセンシーの帳簿および記録を監査する権利を有するものとする。

    【注記】

    • conduct an audit: 監査を実施する。名詞として使われる代表的なフレーズです。
    • verify compliance: 遵守状況を確認(検証)する。監査の主な目的です。
  • attractive nuisance

    訳:

    誘因的危険物(の法理)

    意味合い:

    英米法(不法行為法)における法理の一つで、子供を惹きつけるような魅力的なもの(プール、工事現場の重機、廃墟など)が、同時に危険を孕んでいる場合、所有者はたとえ子供が不法侵入者であっても、適切な安全対策を講じていなければ損害賠償責任を負うという考え方です。土地の利用や施設の管理が絡む契約において、このリスクを誰が負うかを明確にするために使われます。

    用法:

    主に 補償条項(Indemnification Clause)責任負担条項(Liability Clause) において、特定の土地(サイト)での事故リスクを分担する際に使用されます。

    1. (事故の補償範囲): ライセンス対象地で発生した事故について、この誘因的危険物の法理に基づく請求も補償対象に含めることを定める。

    例文(補償条項から):

    The Licensee shall indemnify the Licensor against any claims arising from personal injury, including claims based on the doctrine of attractive nuisance, occurring at the Licensed Site.

    (訳) ライセンシーは、ライセンス対象サイトにおいて発生した身体傷害に起因するあらゆる請求(誘因的危険物の法理に基づく請求を含む)に対して、ライセンサーを補償するものとする。

    【注記】

    • nuisance: 公害、迷惑行為、不法妨害。ここでは子供に対する「危険な誘惑物」というニュアンスです。
    • doctrine: 法理、原則。
  • attorney’s fees

    訳:

    弁護士費用、弁護士報酬

    意味合い:

    紛争解決のために弁護士に支払われる報酬や実費のことです。英米法(特に米国)では、原則として各当事者が自らの費用を負担する「アメリカン・ルール」がありますが、契約にこの条項を置くことで、「勝訴した側が、敗訴した側から弁護士費用を回収できる」ようにルールを変更できます。訴訟への抑止力として極めて重要な役割を持ちます。

    用法:

    主に 紛争解決条項(Dispute Resolution Clause)勝訴当事者条項(Prevailing Party Clause) で使用されます。

    1. (費用の回収): 訴訟等が発生した場合、勝訴した当事者が、支出した合理的な弁護士費用を相手方に請求できる権利を定める。

    例文(紛争解決条項から):

    In the event of any legal action between the Parties, the prevailing Party shall be entitled to recover its reasonable attorney’s fees and costs.

    (訳) 当事者間に訴訟が発生した場合、勝訴当事者は、合理的な範囲の弁護士報酬(費用)および費用を回収(相手方に請求)する権利を有するものとする。

    【注記】

    • reasonable: 合理的な。かかった費用を無制限に請求できるわけではなく、裁判所が妥当と認める範囲に限定されるのが一般的です。
    • prevailing Party: 勝訴当事者。
  • Attorney-in-fact

    訳:

    任意代理人、委任状による代理人

    意味合い:

    委任状(Power of Attorney)によって、特定の事項について本人に代わって行為する権限を与えられた人物を指します。名称に “Attorney” と付いていますが、必ずしも「弁護士(Attorney-at-law)」である必要はありません。M&Aのクロージングや不動産取引など、本人が物理的に出席できない場合に、法的な署名権限を代行する重要な役割を担います。

    用法:

    主に 委任条項(Authorization Clause) や、個別の 委任状(Power of Attorney) において使用されます。

    1. (署名権限の代行): クロージング書類を執行するために、本人に代わる任意代理人を指名することを定める。(例文1)
    2. (代理行為の拘束力): 任意代理人が委任状の範囲内で行った行為は、本人(Principal)に対して直接その効力が及ぶことを確認する。(例文2)

    例文1(クロージング条項から):

    The Seller may appoint an attorney-in-fact to execute the closing documents on its behalf.

    (訳) 売主は、売主に代わってクロージング書類を執行させるため、任意代理人を指名することができる。

    例文2(委任条項から):

    The actions of the attorney-in-fact within the scope of the Power of Attorney shall be binding on the Principal.

    (訳) 委任状の権限の範囲内において任意代理人が行った行為は、本人に対してその効力を生ずるものとする。

    【注記】

    • Principal: 本人(委任者)。代理人を立てる側の人。
    • Power of Attorney (POA): 委任状。これによって attorney-in-fact としての権限が付与されます。
  • Attestation Clause

    訳:

    認証条項、証人署名条項

    意味合い:

    契約書の末尾において、証人の立ち会いのもとで正当に署名がなされたことを記述した定型的な一文を指します。通常は “Signed, sealed and delivered…” で始まる格調高い表現が使われ、その契約が単なる合意ではなく、厳格な手続きを経て「交付」されたことを宣言する役割を持ちます。

    用法:

    契約書の最終部分、署名欄(Execution Block / Testimonium Clause) の直前または直後に配置されます。

    1. (署名・交付の宣言): 特定の人物の立ち会いのもとで、署名捺印のうえ有効に交付されたことを認証文言として記述する。

    例文(認証条項から):

    Signed, sealed and delivered by the said [Taro Tanaka] in the presence of : [Hanako Sato]

    (訳) 上記[田中 太郎]により、次の証人[佐藤 花子]の立会いのもとで、署名捺印のうえ交付された(認証された)。

    【注記】

    • Signed, sealed and delivered: 「署名され、捺印され、交付された」という伝統的なフレーズです。現代では実際の「印(Seal)」がなくても、この文言自体が法的効力を強める役割を果たします。
    • in the presence of: 〜の立ち会いのもとで。認証において必須の要件です。
  • attestation

    訳:

    証明、認証、目撃証言

    意味合い:

    文書の署名が本人の手によって真正になされたことを、第三者(証人:witness)が立ち会って確認し、その旨を署名等で示すことを指します。契約が偽造されたものではないことを担保するための「儀式的な証明」としての役割を果たします。特に捺印証書(Deed)や遺言書、あるいは一部の州法・国法で求められる重要な手続きです。

    用法:

    主に 署名欄(Execution Block) や、公証が必要な場合の記録において使用されます。

    1. (署名の真正性): 各当事者の署名に対し、その正当性を裏付ける証人による認証(立ち会い署名)を付すべきことを定める。

    例文(署名の真正性に関する規定から):

    The signature of each Party shall be followed by the attestation of a witness.

    (訳) 各当事者の署名には、証人による認証(目撃証言の署名)を付すものとする。

    【注記】

    • Attestation vs. Certification: attestation は「目の前で署名したことの目撃」に重点があり、certification は「内容が正しいことの証明」に重点があります。
    • witness: 証人。日本の公証役場での手続きに近い役割を、民間の証人が担う文化です。
  • attempt to

    訳:

    ~するよう試みる、~しようとする、〜するよう努める

    意味合い:

    結果を100%保証する(shall)のではなく、その結果を達成するために最大限の努力をする(努力義務)ことを指します。特に紛争の解決や、第三者からの承諾取得など、自らのみではコントロールしきれない事象について使用されます。

    用法:

    主に 紛争解決条項(Dispute Resolution Clause)協力義務条項(Cooperation Clause) で使用されます。

    1. (円満解決への努力): 紛争が生じた際、即座に裁判等に訴えるのではなく、まずは誠実な交渉による解決を試みる(努力する)ことを義務付ける。

    例文(協力義務条項から):

    The Parties shall attempt to resolve any dispute arising under this Agreement through good faith negotiation.

    (訳) 両当事者は、本契約に関して生じる一切の紛争について、誠実な交渉を通じて解決するよう試みる(努める)ものとする。

    【注記】

    • shall attempt to: 達成できなかったとしても、誠実に努力したプロセスがあれば契約違反を問われにくいという「努力義務」のニュアンスを含みます。
    • good faith negotiation: 誠実な交渉。
  • attachment

    訳:

    (契約の)別紙、添付書類、付属文書

    意味合い:

    契約書本体(Main Agreement)とは別に作成され、後方に綴じられる補足的な文書のことです。製品の具体的な仕様、価格表、詳細な作業範囲(SOW)など、技術的・事務的な詳細を記述するために使用されます。

    用法:

    製品仕様条項(Product Specification Clause) などで参照されるほか、優先順位条項(Order of Precedence Clause) で本体との矛盾を解決するために記述されます。

    1. (詳細の参照): 製品の具体的な仕様を、本体ではなく別紙(添付書類)に定める。(例文1)
    2. (矛盾時の優先順位): 本体と別紙の内容に矛盾がある場合、どちらが優先するかを定める。(例文2)

    例文1(製品仕様条項から):

    The specifications of the Products are provided in Attachment A to this Agreement.

    (訳) 本製品の仕様は、本契約の別紙(添付書類)Aに定めるものとする。

    例文2(優先順位条項から):

    In the event of any conflict between the terms of this Agreement and any attachment hereto, the terms of this Agreement shall prevail.

    (訳) 本契約の規定と本契約の別紙との間に矛盾が生じた場合は、本契約の規定が優先するものとする。

    【注記】

    • Exhibit / Schedule / Annex: attachment と同様に別紙を指す言葉ですが、契約書のスタイルにより使い分けられます。
    • shall prevail: 優先するものとする。複数の文書がある契約では、この優先順位の指定が不可欠です。
  • at the time of receipt

    訳:

    受領時に、受取時に

    意味合い:

    通知や書類が、相手方の手元に届いた(受領した)瞬間を指します。英文契約では、通知が「発送された時(Dispatch)」に効力が生じるのか、それとも「届いた時(Receipt)」に生じるのかが重要であり、後者を明確にするために使われます。

    用法 :

    主に 通知条項(Notice Clause) において、通知の効力発生時期を規定する際に使用されます。

    1. (通知の有効性): 通知が相手方に届いた(受領した)時点で、正式に通知がなされたものとみなす(到達主義)。

    例文(通知条項から):

    Any notice shall be deemed to have been duly given at the time of receipt by the designated recipient.

    (訳) いかなる通知も、指定された受領者による受領時に、有効に通知されたもの(届いたもの)とみなされる。

    【注記】

    • deemed to have been duly given: 有効に(適切に)与えられたものとみなされる。
    • at the time of receipt: 電子メールの場合は「サーバーへの到達時」などを指すよう別途定義することもあります。
  • at the time of delivery

    訳:

    引渡し時に、納入時に

    意味合い:

    売主から買主へ物品が物理的または法的に引き渡される、「引渡し」の瞬間を指します。この時点は、単なる荷物の受け渡しだけでなく、「所有権の移転」や「危険負担の移転」の基準点として、契約実務上の最重要ポイントの一つとなります。

    用法:

    主に 所有権移転条項(Passing of Title Clause)引渡条項(Delivery Clause) で使用されます。

    1. (所有権の移転): 製品の所有権が、売主から買主へ引渡し(納入)が行われた瞬間に移転することを定める。

    例文(所有権移転条項から):

    Title to and ownership of the Products shall pass from the Seller to the Buyer at the time of delivery.

    (訳) 本製品の権原および所有権は、引渡し時に売主から買主に移転するものとする。

    【注記】

    • Title and ownership: 権原および所有権。
    • pass from A to B: AからBへ移転する。この移転のタイミングを逃すと、倒産時の差し押さえリスクなどに影響します。