• controlling

    訳:

    ①(言語・法律・規定が)優先する、決定的な、正文となる ②支配している、管理している、統制している

    意味合い:

    • ①優先・正文: 複数の言語(例:日英併記)や規定がある場合に、矛盾が生じた際の「最終的な基準」となることを指します。
    • ②支配・管理: ある法人の議決権を多数保有するなど、その経営を実質的に「支配」している状態を指します。

    ※ Legal Interpretation:

    • ①のケース: 裁判所は controlling version(正文)を唯一の根拠として解釈を行います。翻訳版に誤りがあっても、この語で指定された言語が絶対的な効力を持ちます。
    • ②のケース: 「支配株主(controlling shareholder)」のように、法的な責任主体や関連会社の範囲を特定する際に不可欠な概念です。

    💡 Practical Tip: 契約実務において最も頻出するのは①の「言語の優先」です。一方、M&Aやコンプライアンスの文脈では②の「支配」が重要になります。読者がどちらの文脈でこの語に出会っても迷わないよう、両方の側面を理解しておく必要があります。

    用法:

    1. (正文の指定): 言語条項(Language Clause)優先順位条項で、解釈の基準となる言語を特定する。
    2. (支配関係の定義): 定義条項(Definitions Clause)支配権変更条項で、企業の支配主体を特定する。

    例文1(言語条項:Language Clause から:①優先・正文の意味):

    This Agreement is prepared in English and Japanese. In the event of any discrepancy, the English language version shall be controlling.

    (訳) 本契約は英語および日本語で作成される。解釈に相違(不一致)がある場合は、英語版が優先(基準)するものとする。

    例文2(定義条項:Definitions Clause から:②支配・管理の意味):

    “Parent” means any entity that owns a controlling interest in the voting securities of the Company.

    (訳) 「親会社」とは、会社の議決権を有する証券(株式)の支配的な利害関係(支配株)を所有する法人を意味する。

    【注記】

    • discrepancy: 相違、不一致。
    • shall be controlling: 優先するものとする、支配的な効力を持つものとする。
    • controlling interest: 支配的利害(支配権)。通常は50%超の議決権を指します。
    • voting securities: 議決権のある証券(株式など)。
  • Control Clause

    訳:

    支配条項、支配権変更条項(Change of Control Clause)

    意味合い:

    契約当事者の経営権や株主構成に重大な変化(買収、合併、主要株主の交代など)が生じた場合の扱いを定める条項です。

    ※ Legal Interpretation:

    • Change of Control (CoC): 経営主体が変わることで、契約相手が「予期せぬ第三者(ライバル企業など)」と取引を継続せざるを得なくなるリスクを防ぐための規定です。通常、通知義務と、他方当事者による「解除権」の付与がセットになります。

    💡 Practical Tip: M&Aが活発な業界では、この条項の有無が買収価格やスキームに影響を与えることがあります。相手方が「Change of Control」を解除事由に入れたがる場合、自社が買収された際でも契約を維持できるよう、解除権ではなく「事前承認制」に留めるなどの交渉が行われます。

    用法:

    主に 支配権変更条項(Change of Control Clause)一般条項 で使用されます。

    1. (経営権変更時の解除権): 当事者に支配権の変更が生じた際、相手方に解除の選択肢を与える。

    例文(支配条項:Change of Control Clause から):

    If a Change of Control occurs with respect to a party, the other party may terminate this Agreement upon written notice.

    (訳) いずれかの当事者について経営権の変更(支配権の変更)が生じた場合、他方当事者は、書面による通知をもって本契約を解除することができるものとする。

    【注記】

    • with respect to: ~に関して。
    • upon written notice: 書面による通知をもって(通知次第)。
  • control

    訳:

    ①(名詞)支配、支配権、コントロール ②(動詞)支配する、管理する、統制する

    意味合い:

    ある者が、他の方針や経営を決定できるほどの権限や影響力を持っている状態を指します。法的には、議決権(voting rights)の50%超の所有や、取締役の過半数を任命する権利などがこれに該当します。

    ※ Legal Interpretation:

    • Affiliate(関連会社)の定義: 英文契約において「関連会社」を定義する際、この control という概念が核となります。直接・間接を問わず、相手を支配しているか、支配されているか、あるいは共通の支配下にあるかで関連性の有無を判断します。

    💡 Practical Tip: 「支配権の変更(Change of Control)」条項は極めて重要です。契約相手がライバル企業に買収され、経営主体(Control)が変わってしまった場合に、契約を終了させることができるようにするための防衛手段となります。

    用法:

    主に 定義条項(Definitions Clause)支配権変更条項(Change of Control Clause) で使用されます。

    1. (支配の定義): 経営や方針を指図する権限(支配)の定義を明確にする。
    2. (関連会社の定義): 支配関係の有無によって関連会社の範囲を定める。

    例文1(定義条項:Definitions Clause から:①名詞用法):

    Control” means the possession of the power to direct the management and policies of a person, whether through ownership of voting securities or otherwise.

    (訳) 「支配」とは、議決権を有する証券の所有によるか否かを問わず、ある者の経営および方針を指図する権限を有することをいう。

    例文2(定義条項:Definitions Clause から:②動詞用法):

    “Affiliate” means any entity that directly or indirectly controls, is controlled by, or is under common control with the subject entity.

    (訳) 「関連会社」とは、対象の法人を直接間接を問わず支配し、支配され、又は共通の支配下にある法人を意味する。

    【注記】

    • possession of the power: 権限を有すること。
    • voting securities: 議決権のある証券(株式など)。
    • directly or indirectly: 直接または間接に。
  • contravention

    訳:

    (法律・規則・命令などへの)違反、抵触、反抗

    意味合い:

    単なる契約違反(breach)よりも、「公的な法律、規制、政府の命令などへの抵触」というニュアンスが強い言葉です。

    ※ 比較解説(実務的深掘り):

    • Breach との比較: Breach は当事者間の「約束(契約)」を破ることを指しますが、Contravention は社会の「ルール(法規)」を破ることを指す際によく使われます。
    • In contravention of: 「~に違反して」という熟語として頻出します。

    💡 Practical Tip: コンプライアンス条項や解除条項において、相手方が法令違反(Contravention of laws)を犯した場合、ビジネス上のレピュテーションリスク(評判リスク)を避けるため、直ちに契約を解除できるように規定しておく必要があります。

    用法:

    主に 契約解除条項(Termination Clause)コンプライアンス条項 で使用されます。

    1. (法令違反による解除): 相手方が公的な規制に抵触した場合に即時解除を可能にする。

    例文(契約解除条項:Termination Clause から):

    Either party may terminate this Agreement immediately if the other party acts in contravention of any applicable laws, rules, or government regulations.

    (訳) いずれの当事者も、相手方が適用ある法令、規則または政府規定に抵触(違反)する行為を行った場合、直ちに本契約を解除することができる。

    【注記】

    • applicable laws: 適用ある法令。
    • government regulations: 政府規定、行政規制。
  • contrary to public policy

    訳:

    公序良俗に反する、公の秩序または善良の風俗に反する

    意味合い:

    社会一般の道徳や公共の利益に反しているため、私人間(しじんかん)の契約であっても法的に無効とされる状態を指します。

    ※ Legal Interpretation:

    • Unenforceability: 契約自体は成立していても、裁判所が「その内容は社会的に許容できない」と判断した場合、unenforceable(執行不能・強制できない)となります。
    • 競業避止との関係: 例文2のように、個人の職業選択の自由を過度に制限する内容は、この contrary to public policy を理由に無効とされる代表例です。

    💡 Practical Tip: 分離条項(Severability)において、ある条項がこの「公序良俗違反」などで無効になったとしても、他の健全な条項までは道連れにしない(有効に存続させる)ためのセーフティネットとして機能します。

    用法:

    主に 分離条項(Severability Clause)競業避止条項(Non-compete Clause) で使用されます。

    1. (一部無効の宣言): 条項が公序良俗に反するとされた場合の他条項への影響を限定する。
    2. (過度な制限の警告): 範囲が広すぎる制限が公序良俗違反として無効になる可能性を指摘する。

    例文1(分離条項:Severability Clause から):

    If any provision of this Agreement is held to be invalid or contrary to public policy by a court of competent jurisdiction, the remaining provisions shall remain in full force and effect.

    (訳) 本契約のいずれかの条項が、管轄裁判所によって無効であるか公序良俗に反すると判断された場合でも、残りの条項は完全に効力を有するものとする。

    例文2(競業避止条項:Non-compete Clause から):

    A non-compete clause that is excessively broad in scope or duration may be deemed contrary to public policy and unenforceable.

    (訳) 範囲または期間において過度に広範な競業避止条項は、公序良俗に反するとみなされ、執行不能とされる場合がある。

    【注記】

    • court of competent jurisdiction: 管轄裁判所。
    • deemed: ~とみなされる。
    • unenforceable: (法的に)執行不能な。
  • contractual relationship

    訳:

    契約関係

    意味合い:

    当事者間に有効な契約が存在している状態、またはその法的つながりを指します。

    ※ Legal Interpretation:

    • Privity of Contract: 「契約の相対性」とも呼ばれ、この contractual relationship がある当事者間でのみ、契約に基づく請求が可能であるという原則です。
    • Survival of Obligations: 例文のように、この「関係」が終わった後(契約終了後)も一定の義務を存続させる場合、その範囲を明確に規定する必要があります。

    💡 Practical Tip: 勧誘禁止条項(Non-solicitation)において、「契約関係がある間」だけでなく「終了後○年間」という文言を加えるのが実務上の定石です。これにより、ビジネス上のつながりを利用して優秀な人材を引き抜かれるリスクを防止します。

    用法:

    主に 勧誘禁止条項(Non-solicitation Clause)一般条項 で使用されます。

    1. (不当な引き抜きの禁止): 顧客との契約関係がある期間中、従業員への勧誘行為を禁止する。

    例文(勧誘禁止条項:Non-solicitation Clause から):

    The Company agrees that during the present contractual relationship with Customer, not to recruit, solicit, or induce, or attempt to recruit, solicit, or induce, any employee of Customer to terminate their relationship with Customer.

    (訳) 会社は、顧客との現行の契約関係の存続期間中、顧客の従業員に対し、当該従業員と顧客との関係を終了させるよう、直接または間接を問わず、勧誘、募集もしくは誘引を行わず、またこれらを試みないことに同意する。

    【注記】

    • recruit, solicit, or induce: 募集、勧誘、または誘引する。(引き抜き行為を網羅する表現)
    • terminate their relationship: (ここでは従業員と顧客との雇用)関係を終了させる。
  • contractual obligation

    訳:

    契約上の義務

    意味合い:

    契約書の条項から直接発生する法的な義務を指します。

    ※ 比較解説(実務的深掘り):

    • Statutory Obligation との比較: 法令によって当然に課される「法的義務(Statutory)」に対し、contractual はあくまで当事者間の合意によって自発的に引き受けた義務を強調します。
    • Fundamental Contractual Obligation: 例文にある「基本的な(根幹的な)契約上の義務」とは、それが履行されないと契約の目的が達成できないような重要な義務を指し、その違反は重大な責任問題(損害賠償や解除)に直結します。

    💡 Practical Tip: 責任制限条項(Limitation of Liability)において、「いかなる場合も責任を負わない」と書いてあっても、この fundamental contractual obligation(根幹的義務)の違反については、公序良俗の観点から責任を免れることができないとするのが一般的です。

    用法:

    主に 責任制限条項(Limitation of Liability Clause)損害賠償条項 で使用されます。

    1. (重大な違反に対する責任): 契約上の義務に対する故意・過失がある場合の責任の所在を定める。

    例文(責任制限条項:Limitation of Liability Clause から):

    In the event of willful or negligent breach of contractual obligations, Company shall be liable according to the statutory laws.

    (訳) 基本的な契約上の義務に対する故意または過失による違反が生じた場合、会社は、法令の定めに従い責任を負うものとする。

    【注記】

    willful or negligent: 故意または過失による。

    statutory laws: 制定法、法令。

  • contractor

    訳:

    受託者、受託業者、請負業者

    意味合い:

    契約に基づき、特定の業務や工事を引き受ける当事者を指します。主に サービス提供契約(Service Agreement)業務委託契約 において、委託者(Client / Company)に対する反対当事者として登場します。

    ※ Legal Interpretation:

    • Independent Contractor: 契約書ではしばしば Independent Contractor(独立した請負人)として定義されます。これは、受託者が委託者の「従業員」ではなく、独立した事業主であることを明確にし、委託者が受託者の社会保険料や不法行為責任を負わないようにするための重要な法概念です。

    💡 Practical Tip: Contractor」という語を使う場合、その業務範囲が「請負(結果の完成を約束する)」なのか「準委任(善良な管理者の注意をもって業務を行う)」なのかによって、負うべき責任の重さが変わります。解除条項では、この Contractor の義務違反が解除のトリガーとして明記されます。

    用法:

    主に 解除条項(Termination Clause)業務委託の基本規定 で使用されます。

    1. (義務違反による解除): 受託者が契約条項を遵守しなかった場合の解除権を規定する。

    例文(契約解除条項:Termination Clause から):

    The Company reserves the right to terminate the Contract in the event that the Contractor fails to comply with any of the above clauses.

    (訳) 会社は、受託者が上記条項のいずれかに違反した場合、本契約を解除する権利を留保する。

    【注記】

    • reserves the right to: ~する権利を留保する。
    • fails to comply with: ~を遵守しない、~に違反する。
  • contracting party

    訳:

    契約当事者、締約者

    意味合い:

    契約を締結し、その契約に基づく権利を享受し、義務を負う主体(個人または法人)を指します。

    ※ 比較解説(実務的深掘り):

    • the parties との比較: 文中では the parties と略されることが多いですが、contracting party は「契約を締結する主体そのもの」という法的なアイデンティティを強調する際に使われます。

    💡 Practical Tip: 補償条項などで「各当事者が~」と書く際、Each contracting party とすることで、「契約のサインをした責任ある主体として」というニュアンスが強まります。また、第三者が契約に関与する場合に、本来の当事者を区別するためにも有効です。

    用法:

    主に 補償条項(Indemnification Clause) 当事者表示 で使用されます。

    1. (相互補償): 契約当事者が、自らの違反によって相手に与えた損害を補償することを定める。

    例文(補償条項:Indemnification Clause から):

    Each contracting party shall indemnify and hold the other party harmless from any claims arising out of its breach of this Agreement.

    (訳) 各契約当事者は、自らの本契約違反から生じるあらゆる請求について、他方の当事者を補償し、損害を与えないようにするものとする。

    【注記】

    • indemnify and hold harmless: 補償し、損害を与えないようにする。(補償条項の定型セット)
    • arising out of its breach: 自らの(契約)違反から生じる。
  • contract price

    訳:

    契約価格、約定代金

    意味合い:

    契約書において合意された、商品やサービスの提供に対する対価としての金額を指します。

    ※ 比較解説(実務的深掘り):

    • Price / Fee / Consideration との比較: Price は物品売買、Fee は役務提供によく使われますが、contract price は「本契約で確定した金額」という重みを持たせる表現として、大規模な工事請負や製造物供給契約で好まれます。

    💡 Practical Tip: 見積段階の「見積価格(Estimated price)」と区別し、「最終的に合意され、法的な支払い義務が生じる金額」を特定するために重要です。税金(VAT/消費税)や配送料がこの contract price に含まれるのかどうかは、常に実務上の争点となります。

    用法:

    主に 支払い条項(Payment Clause) 価格条項 で使用されます。

    1. (支払義務の確定): 合意された契約価格をいつまでに支払うかを規定する。

    例文(支払い条項:Payment Clause から):

    The Buyer shall pay the contract price to the Seller in full within thirty days after the receipt of the invoice.

    (訳) 買主は、売主に対し、請求書の受領後30日以内に本契約価格の全額を支払わなければならないものとする。

    【注記】

    • in full: 全額、一括で。
    • receipt of the invoice: 請求書の受領。