• balance

    訳:

    残高、残額、未払残高

    意味合い:

    合計金額から一部の支払いが終わった後に残っている未払いの残金額を指します。分割払いや、納品時の最終的な精算(ファイナル・ペイメント)の文脈でよく使われる言葉です。

    用法:

    主に 支払い条項(Payment Clause)精算条項(Settlement Clause) で使用されます。

    1. (残額の支払い): 手付金(頭金)などを差し引いた残りの金額(残高)を、業務完了時などの特定のタイミングで支払うことを定める。

    例文(支払い条項から):

    The Company shall pay the remaining balance of the consulting fee upon the completion of the project.

    (訳) 会社は、プロジェクトの完了時に、コンサルティング料の残りの残高(残額)を支払うものとする。

    【注記】

    • remaining balance: 残りの残高。実務上は単に balance とだけ言うことも多いですが、remaining を付けることで「最終的な未払分」であることを強調します。
    • upon the completion: 完了時に。
  • Background IP (Background Intellectual Property)

    訳:

    背景知的財産、バックグラウンド知的財産

    意味合い:

    本契約やプロジェクトの開始前(またはプロジェクトとは無関係)に、各当事者が既に所有していた、あるいは独自に開発した知的財産を指します。本契約によって生み出される成果物(Foreground IP)と区別し、「所有権は移転せず、元の持ち主に留まる」ことを明確にするために極めて重要な概念です。

    用法 :

    主に 知的財産権条項(Intellectual Property Clause) で使用されます。

    1. (成果物への混入): プロジェクトの成果に、両当事者が元々持っていた背景知的財産が含まれることを確認する。(例文1)
    2. (権利の不移転): 背景知的財産の所有権は移転せず、利用のためのライセンスのみが付与されることを定める。(例文2)

    例文(知的財産権条項から):

    No ownership of Background IP is transferred under this Agreement; only a limited license for its use is granted to the extent necessary for the Project.

    (訳) 本契約に基づき、背景知的財産の所有権が移転することはない。プロジェクトに必要な範囲において、その利用に関する限定的なライセンスのみが許諾されるものとする。

    例文2(ライセンス条項から):

    No ownership of Background IP is transferred under this Agreement; only a limited license for its use is granted.

    (訳) 本契約に基づき、背景知的財産の所有権が移転することはない。その利用に関する限定的なライセンスのみが許諾されるものとする。

    【注記】

    • incorporate: 組み込む、包含する。成果物の中に既存の技術(Background IP)が混ざることを指します。
    • limited license: 限定的なライセンス。所有権を渡さない代わりに、本契約の目的の範囲内だけで使って良いという「利用権」を付与する際に使われます。
    • Intellectual Property Clause: 知的財産権条項。既存の権利(Background)と新規の権利(Foreground)を峻別し、それぞれの所有権の帰属と利用権限を明確に定義することが、紛争回避の要となります。務上の最重要ポイントの一つです。
  • available

    訳:

    1. 認められる(法的に行使可能である)
    2. 利用可能な(物理的に存在する、入手できる)

    意味合い:

    文脈により「権利が行使できる状態(認められる)」か、「物が存在する状態(利用可能)」かを指し分けます。

    1. 法的な権利: 法律や衡平法によって提供されている(認められている)救済手段。
    2. 実体的なもの: 手元にある資料や、現在提供可能な製品。

    用法:

    意味に応じて、以下の条項で使用されます。

    1. (救済手段の累積): 契約に定める以外に、法律上認められるあらゆる手段を行使できることを確認する。(例文1)
    2. (情報の提供): 相手方に対して、現在保有している(利用可能な)すべての情報を提供する義務を課す。(例文2)

    例文1(救済措置条項:Remedies Clause から):

    The remedies provided in this Section are in addition to any other remedies available at law or in equity.

    (訳) 本条に定める救済手段は、法律上または衡平法上認められるその他の救済手段に加えて提供されるものであり、それらを排除するものではない。

    例文2(情報開示条項:Disclosure Clause から):

    The Seller shall provide the Buyer with all documentation available to it concerning the Assets.

    (訳) 売主は、本資産に関して保有する(利用可能な)すべての資料を買主に提供するものとする。

    【注記】

    • at law or in equity: 法律上または衡平法上。英米法における伝統的な二体系の救済を網羅する表現で、これにより「ありとあらゆる法的手段」を指すことになります。
    • available to it: 「その当事者が利用できる(入手可能な)」という意味。持っていないものまで出せとは言われないという限定になります。
  • availability of

    訳:

    ~の利用、~の可否、〜の可用性

    意味合い:

    サービスやシステムが、必要な時に中断することなく利用できる状態にあることを指します。ITサービス(SLA)においては、単なる「利用」ではなく、稼働率(Uptime)としての「可用性」を意味することが多いです。

    用法:

    主に サービスレベル合意(SLA:Service Level Agreement)保証条項(Warranty Clause) で使用されます。

    1. (サービス提供の保証範囲): サプライヤーが、サービスの中断なき利用(可用性)をどの程度保証するか(またはしないか)を定める。

    例文(保証条項から):

    The Supplier makes no warranty regarding the uninterrupted availability of the Service and its operation shall be subject to scheduled maintenance.

    (訳) サプライヤーは、本サービスの中断なき提供(利用)について何ら保証するものではなく、定期的な保守点検のためにその運営を一時停止する場合があるものとする。

    【注記】

    • uninterrupted availability: 中断なき利用(可用性)。100%の稼働を保証させたい買主側と、免責したい売主側で交渉のポイントになります。
    • subject to: 〜を条件とする、〜に従う。
  • automatically renewable

    訳:

    自動的に更新される、自動更新の

    意味合い:

    契約期間の満了に際し、当事者が「更新しない」という意思表示をしない限り、前回と同じ(またはあらかじめ定めた)期間、契約がそのまま継続することを指します。SaaSの利用規約や継続的な売買契約で一般的です。

    用法:

    主に 契約期間条項(Term and Termination Clause) で使用されます。

    1. (期間の更新): 期間満了の一定期間前までに通知をしない限り、契約が1年ごとに自動更新されることを定める。

    例文(契約期間条項から):

    The term of this Agreement shall be three (3) years and shall be automatically renewable for successive one-year periods unless either Party provides written notice of non-renewal.

    (訳) 本契約の有効期間は3年とし、いずれかの当事者が更新しない旨を書面で通知しない限り、その後は一年ごとに自動的に更新されるものとする。

    【注記】

    • successive: 連続する、次々の。一度だけでなく、何度も繰り返し更新されることを示します。
    • unless … provides notice: 通知をしない限り。自動更新を止めるための「解約予告」の条件として併記されます。
  • Automatic Acceleration

    訳:

    期限の利益の自動喪失

    意味合い:

    債務者が破産などの重大な事態に陥った際、債権者が通知や催告を行うまでもなく、当然に(自動的に)すべての債務の弁済期が到来することを指します。これにより、債権者は直ちに全額の回収や相殺の手続きに入ることが可能になります。

    用法:

    主に 期限の利益喪失条項(Acceleration Clause)債務不履行条項(Event of Default Clause) で使用されます。

    1. (倒産による自動喪失): 借主が破産を申し立てた際、通知なしで直ちに全額の支払い義務が生じることを定める。(例文1)
    2. (治癒不能な違反): 重大な違反が一定期間内に解消されない場合、借入金の期限の利益を自動的に喪失させる。(例文2)

    例文1(期限の利益喪失条項から):

    In the event of the Borrower’s filing for bankruptcy, the entire outstanding principal amount and all accrued interest shall become immediately due and payable without notice, pursuant to this Automatic Acceleration clause.

    (訳) 借主について破産手続開始の申立てがあったときは、本条項に基づき、借主は通知を要することなく当然に期限の利益を失い、元金残高全額および全ての発生済みの利息は、直ちに弁済期が到来するものとする。

    例文2(債務不履行条項から):

    Any material default not cured within 30 days shall trigger Automatic Acceleration of all amounts owed under this Loan Agreement.

    (訳) 本借入契約に基づく重大な義務違反が30日以内に治癒されないときは、本借入契約に基づき負担する一切の債務について当然に期限の利益が失われ、直ちに弁済期が到来するものとする。

    【注記】

    • Acceleration: 英語で「加速・繰り上げ」を意味し、契約実務では「期限の利益の喪失」(将来の支払期限を今に繰り上げること)を指す専門用語です。
    • outstanding principal amount: 元金残高。まだ返済されていない元本の額を指します。
    • without notice: 通知を要することなく。これが「Automatic」の核心であり、債権者が迅速に債権回収に動くための強力な武器となります。
  • authorized and empowered

    訳:

    (正当な)権限を付与されている

    意味合い:

    authorized(許可された・権限のある)と empowered(力を与えられた・能力のある)を重ねた、法律英語特有の表現(二語反復)です。単に「許可されている」だけでなく、「その行為を行うための法的・実質的な能力と資格を、正当な手続きを経て完全に備えている」ことを強調します。

    用法:

    主に 表明保証条項(Representations and Warranties Clause) において、契約の執行能力を最大限に強調する際に使用されます。

    1. (契約執行の完全な権限): 本契約の締結・交付、およびその後の義務履行について、疑いようのない正当な権限を持っていることを表明する。

    例文(表明保証条項から):

    The Party has been duly authorized and empowered to execute and deliver this Agreement and to perform its obligations hereunder.

    (訳) 当該当事者は、本契約を締結および交付し、ならびに本契約に基づく自己の義務を履行するための正当な権限を付与されている。

    【注記】

    • duly authorized and empowered: 慣用的なセットフレーズです。法人が取締役会等で正式に決裁したことを法的に強く主張する表現です。
    • execute and deliver: 締結および交付する。契約が有効に成立するための二段階の手続きを指します。
  • authorize

    訳:

    ~を許可する、~を認める、〜に権限を付与する

    意味合い:

    一方の当事者が他方(または第三者)に対し、本来は制限されている行為やアクセスを「行っても良い」と法的に認めることを指します。単に許可するだけでなく、その行為に伴う法的資格を与えるというニュアンスが含まれます。

    用法:

    主に アクセス権限条項(Access Rights Clause)代理権付与条項 で使用されます。

    1. (システムへのアクセス許可): サービスの遂行に必要な範囲で、顧客が業者に対し自社システムへのアクセスを許可(権限付与)する。

    例文(アクセス権限条項から):

    The Client hereby authorizes the Service Provider to access its systems for the purpose of performing the agreed services.

    (訳) クライアントは、合意されたサービスを遂行することを目的として、サービスプロバイダに対し、自己のシステムへアクセスする権限を付与(許可)する。

    【注記】

    • hereby authorizes: 本契約(または本書)により許可する。この言葉によって許可の効力が発生します。
    • for the purpose of…: 〜の目的のために。許可される範囲を限定する際に併用されます。
  • authorization

    訳:

    認可、許可、承認;権限(付与された力)

    意味合い

    1. 認可・許可: 政府機関や上位組織から得られる公式な「お墨付き」。
    2. 権限: 組織内部で特定の行為を行うために認められた資格。 いずれも、「勝手に行うのではなく、しかるべきステップを経て認められていること」に焦点があります。

    用法:

    意味に応じて、以下の条項で使用されます。

    1. (政府の認可取得): 事業を行うために必要な政府機関の認可や承認を、自らの責任で取得することを定める。(例文1)
    2. (法人としての権限): 本契約の締結が、会社自身の定款や規則による権限の範囲内であることを表明する。(例文2)

    例文1(法令遵守条項:Compliance Clause から):

    The Licensee shall be solely responsible for obtaining all necessary governmental authorizations, permits, and approvals.

    (訳) ライセンシーは、必要なすべての政府機関の認可、許可および承認の取得について、単独で責任を負うものとする。

    例文2(表明保証条項:Representations and Warranties Clause から)

    The execution of this Agreement is within the corporate authorization of the Party.

    (訳) 本契約の締結は、当事者の法人格上の権限(承認)の範囲内で行われる。

    【注記】

    • governmental authorization: 政府認可。ビジネスの適法性を維持するために不可欠な要素です。
    • within the authorization: 権限の範囲内で。
  • Authority Clause

    訳:

    権限条項

    意味合い:

    契約の当事者がその契約を締結する正当な権利(法人としての決定権や署名権限)を有していることを確認し、表明する条項です。後で「あの署名者には権限がなかったから契約は無効だ」という主張(越権行為の主張)を封じるための重要な防衛策となります。

    用法:

    主に 表明保証条項(Representations and Warranties Clause) の冒頭や、独立した確認規定として置かれます。

    1. (義務履行の権限): 各当事者が、契約に基づく義務を果たすための十分な権限を持っていることを保証する。(例文1)
    2. (署名権限の確認): 実際にペンを持って署名する人物が、会社から正当に委任されていることを確認する。(例文2)

    例文1(表明保証条項から):

    Each Party represents and warrants that it has the full corporate power and authority to enter into and perform its obligations under this Agreement.

    (訳) 各当事者は、本契約を締結し、かつ本契約に基づく義務を履行するための完全な法人としての能力および権限を有することを表明し、保証する。

    例文2(権限確認規定から):

    This Authority Clause confirms that the signatory is duly authorized to execute this Agreement on behalf of the Company.

    (訳) 本権限条項は、署名者が、会社を代表して本契約を締結する正当な権限を付与されていることを確認するものである。

    【注記】

    • duly authorized: 正当に権限を与えられた。手続き(取締役会決議など)が正しく完了していることを示唆します。
    • on behalf of: 〜を代表して、〜に代わって。