release and dischargeの意味と例文

英文と日本語のビジネス契約書の作成・チェック(レビュー)・翻訳の専門事務所です。(低料金、全国対応)英文契約書で使われる表現のrelease and dischargeについて解説します。例文をとりあげ、要点と対訳と語注をつけました。

1.解説

1)release and dischargeとは

release and dischargeは、

英文契約書では、release and discharge ~ from ~ のフレーズで、

~から~を解放し、免責する

という意味で使われます。

releasedischargeは、同義語を並べた強調表現になっており、どちらも、

解放する、免責する、免除する

という意味です。

2)release and dischargeの使い方

release and discharge ~ from ~は、とくに、以下のような契約の場面で使われます。(青字部分)

和解契約(Settlement Agreement)で:

『和解の対象である紛争について、一方当事者が和解金の支払いを受ける代わりに、あらゆる請求や責任から相手当事者解放し、免責する。

権利放棄・免責契約(Waiver and Release Agreement)で:

『顧客は、サービス会社からサービスの提供を受ける代わりに、いかなる請求や責任も放棄し、これら請求等からサービス会社解放し、免責する』(下記の英文契約書の例文をご覧ください)

*権利放棄・免責契約(Waiver and Release Agreement)とは、イベントやスポーツなど怪我や事故のリスクを伴うサービスを提供する会社が、責任の免責のため、顧客にサインしてもらう契約のことを言います。

3)Release and Dischargeの法的効力と和解における
終局性

release and dischargeという二つの動詞を並列して使用する目的は、当事者が持つ請求権を完全に消滅させ、同時に相手方の将来の義務・責任を完全に免除するという、終局的(Final)な法的効果を最大限に明確にすることにあります。

ア. ReleaseとDischargeの機能の違い

この二重表現は、互いに補完し合う異なる法的機能を担っています。

Release(解放・権利放棄):

主に、請求権者(債権者)の側の行動を指します。

将来、過去の事由に基づいて訴えを提起する権利(claim)を放棄し、その権利から相手を解放する行為です。

Discharge(免責・義務解除):

主に、義務者(債務者)の側の状況を指します。

相手方が負っていた義務(liability)そのものを、もはや存在しない状態、つまり解除・消滅させる行為です。

この二つを併用することで、「もう請求しない」という意思表示(Release)と、「もう責任を負う必要はない」という法的状態の確立(Discharge)両面から免責を担保します。

イ. 和解契約(Settlement)における終局性

特に和解契約において、この表現は極めて重要です。

和解契約の目的は、紛争を完全に過去のものとすることにあります。

目的:

和解金の支払いと引き換えに、当事者は「known and unknown, foreseen and unforeseen」(既知か未知か、予見可能か否かを問わない)一切の請求権を放棄し、紛争を終局的に解決します。

終局性の確保:

release and dischargeを用いることで、和解成立以前の事由に基づく請求について、いかなる将来の訴訟や責任からも相手方を永久に守るという、法的紛争の完全なシャットダウンを意図します。

ウ. 実務上の注意点

release and discharge条項を契約に含める場合、それが適用される「請求権の範囲(from any and all claims and liability)」と、「原因となった事由(arising under or in connection with this Agreement)」を極めて明確に定義する必要があります。

曖昧な表現は、将来、裁判所で「この請求は免責の対象外だ」と主張される法的リスクにつながります。

2.例文と基本表現:

(注):上記で解説したrelease and discharge ~ from ~青文字で示しています。

(注):英文契約書によく出る他の基本表現をハイライトし、語注を付けています。

release and discharge ~ from ~の例文

権利放棄・免責契約(Waiver and Release Agreement)からです。顧客は、契約から生じる一切の請求と責任から、会社を解放し、免責します。

Client does hereby waive, and release and discharge Company from, any and all claims and liability arising under or in connection with this Agreement and the services to be provided hereunder, and agrees that Client shall make no claim against Company for any damage, loss or liability of any kind, whether direct or indirect, incidental, consequential, or punitive, foreseeable or unforeseeable, arising out of or in connection with this Agreement or its termination, the use of the services or any other matter.

(訳): 

顧客は、本契約および本契約に基づき提供されるサービスについて生じる一切の請求および責任これにより放棄し、かかる請求および責任から会社を解放し、免責するものとし、かつ、顧客は、本契約、その終了、そのサービスの使用またはその他の事項に起因し、または関連して生じるいかなる種類の損害、損失または責任について、直接的、間接的、付随的、結果的、懲罰的、予見可能か予見不可能かを問わず、会社に対して請求を行わないことに同意する。

(注):

*herebyは、これ(本契約)によりという意味です。詳しくは、hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafterの意味と例文をご覧ください。

*waiveは、放棄するという意味です。 

*any and all claims and liabilityは、一切の請求および責任という意味です。any and allは、すべての、一切のという意味で、対象物について例外なく全部であることを強調するときに使われる表現です。

*arising under or in connection withは、(本契約)に基づき、または関連して生じるという意味ですが、意訳(ついて生じる)しています。

*the services to be provided hereunderは、本契約に基づき提供されるサービスという意味です。 

*of any kindは、いかなる種類のという意味です。前述のany and all(すべての、一切の)と同じく強調表現で、対象の種類については、例外なくすべてという意味合いがあります。

*whether direct or indirect, incidental, consequential, or punitive, foreseeable or unforeseeableは、直接的、間接的、付随的、結果的、懲罰的、予見可能か予見不可能かを問わずという意味です。 詳しくは、consequential damagesとpunitive damagesの意味と例文をご覧ください。

*arising out of or in connection withは、に起因し、または関連して生じるという意味です。詳しくは、arising out ofとarising fromの意味と例文をご覧ください。

 

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