foreseeableの意味と例文

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英文契約書のLimitation of Liability(責任制限条項)で使われる用語のforeseeableについて解説します。例文をとりあげ、要点と対訳と詳しい語注をつけました。

1.解説:

1)foreseeableとは

英文契約書においてforeseeableは、通常、

予見可能な、予見できる

という意味で使われます。

foreseeableは、 Limitation of Liability(責任制限条項)でよく使われる用語です。

なお、Limitation of Liability(責任制限条項)とは、

契約違反がおきた場合に、高額な賠償請求に備えるため、当事者が直面する賠償責任を制限する

ことを規定した契約条文です。

2)foreseeableの使い方

Limitation of Liability(責任制限条項) において、以下のように使われます。(青字部分

『当事者は、特別損害賠償については、foreseeable(予見可能な)かどうかに関わらず、責任を負わない 』

予見可能な特別損害賠償の意味については、次に続く解説3)と例文をご覧ください。

3)責任制限条項と予見可能な特別損害

Limitation of Liability(責任制限条項)は、上記1)で解説したように、

契約違反がおきた場合に、当事者が負うことになる賠償責任を制限する

ための規定です。

英米法(コモンロー)において、当事者は、

通常損害と、予見可能なforeseeable)特別損害賠償については賠償責任を負います

しかし、予見できない(unforeseeable)特別損害賠償については賠償責任を負いません。

そして、Limitation of Liability(責任制限条項)で定められる賠償責任の内容は、大きく、二通りのタイプに分けられます。

一つは、英米法(コモンロー)の原則に従った責任制限条項です。

このタイプの責任制限条項 は、いずれの当事者も、

『相手方が被った予見可能なforeseeable特別損害賠償については賠償責任を負う。

しかし、予見できない(unforeseeable特別損害賠償については賠償責任を負わない。』

とする内容の条文になります。

二つ目は、賠償範囲の制限をより厳格にした責任制限条項です。

このタイプの責任制限条項は、いずれの当事者も、

特別損害賠償については、foreseeable(予見可能な)であるかどうかに関わらず、責任を負わない(相手方は賠償請求できない)

とするものが代表的です。(下記の例文をご覧ください)

2.例文と基本表現:

(注):上記で解説したforeseeableは、青文字で示しています。

(注):英文契約書によく出る他の基本表現をハイライトし、語注を入れています。

foreseeable予見可能な)– 例文

Limitation of Liability(責任制限条項)からです。製造者は、予見可能であるかどうかに関わらず、特別損害賠償は責任を負いません。

Under no circumstances and in no event will Manufacturer be liable to Purchaser or any third party for any of the following classes, categories or types of damages: indirect, incidental, punitive, special, exemplary, multiplied,consequential, or liquidated damages of any kind, including without limitation any loss of use, profits, revenue or production,whether based upon warranty, contract, strict liability, tort (including negligence) or any other cause of action, regardless of whether such damages were foreseeable and whether or not Manufacturer had been advised of the possibility of such damages, and notwithstanding the failure of any agreed or other remedy of its essential purpose.

(訳):

いかなる状況においても、製造者は、次の種類の損害賠償のいずれについても、買主または第三者に対して責任を負わない:(保証、契約、厳格責任不法行為過失を含む)もしくは他の訴訟原因に基づくかどうか、損害賠償が予見可能であるかどうか、製造者が損害賠償の可能性について知らされていたかどうか、および基本目的について合意した救済策もしくは他の救済策に不履行があるかどうかにかかわらず、使用、利益、収益または生産の損失を含み、これらに限定されない間接的、付随的、懲罰的、特別、多重的、結果的損害賠償、またはあらゆる種類の予定損害賠償

(注):

*Under no circumstances and in no eventは、ここでは、いかなる状況においても~しないという意味です。

Under no circumstances(いかなる状況においても~しない)In no event(いかなる場合も~しない)を並べた強調表現です。この二つの表現について、詳しくは、In no eventとUnder no circumstancesの意味と例文をご覧ください。

*be liable toは、~に対して責任を負うという意味です。詳しくは、liable forの意味と例文をご覧ください。

third partyは、(契約の当事者以外の)第三者、サードパーティという意味です。

*classes, categories or typesは、ここでは、種類という意味です。類語による強調表現です。

*indirect, incidental, punitive, special, exemplary, multiplied, consequential, or liquidated damagesは、間接的、付随的、懲罰的、特別、重畳的、結果的損害賠償、または予定損害賠償という意味です。

これらの種類の損害賠償は、以下の特徴があります。

これらはいずれもdirect damages (直接損害賠償 を超えた範囲の損害賠償です。その損害の発生を証明できる場合、損害の賠償額が高額になる可能性があります

・exemplary damageは、punitive damageとも呼ばれ、懲罰的損害賠償といわれるものです。懲罰的損害賠償制度のある米国で認められており、損害の賠償額が非常に高額になる可能性があります。

・liquidated damagesは、予定損害賠償あるいは損害賠償額の予定と呼ばれ、これに合意すると、契約違反の事実さえあれば、実際の損害金額の証明をしなくても、これを根拠に損害賠償の金額を請求できる制度です。

*of any kindは、あらゆる種類のという意味です。

*including without limitationは、を含むが、これらに限定されないという意味です。詳しくは、including, but not limited to/including, without limitationの意味と例文をご覧ください。

*strict liabilityは、厳格責任、無過失責任という意味です。 

*tortは、不法行為という意味です。詳しくは、tortの意味と例文をご覧ください。 

*negligenceは、過失という意味です。

*actionは、訴訟、法的措置という意味です。 

*regardless of whetherは、~かどうかにかかわらずという意味ですが、意訳しています。

*notwithstandingは、~にもかかわらずという意味です。詳しくは、notwithstandingの意味と例文をご覧ください。 

*the failure ofは、に不履行があると意訳しています。failureは、~を怠る~できないという意味です。

*remedy of its essential purposeは、基本目的についての救済策と訳しています。

 

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