failure or delayの意味と例文

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英文契約書の不可抗力条項権利放棄条項で使われる表現のfailure or delayについて解説します。例文をとりあげ、要点と対訳と語注をつけました。

1.解説:

1)failure or delayとは

failure or delayは、英文契約書の

Force Majeure(不可抗力条項)

Waiver(権利放棄条項)

で使われる契約表現です。

ちなみに、Force Majeure(不可抗力条項)とは、

当事者の責に帰せられない不可抗力の状況が起きた場合に、契約の履行が不可能となった当事者が免責される

ことについて合意した契約条項です。

また、Waiver(権利放棄条項)とは、

相手方の契約不履行に対して、当事者が契約上の権利を行使しなかった場合であっても、それが権利放棄したことにはならない

ことについて合意する契約条項です。

failure or delay

Force Majeure(不可抗力条項)で使われる場合は、

(義務の)不履行または履行の遅延

という意味で使用されます

Waiver(権利放棄条項)で使われる場合も、

同じく、不履行または履行の遅延という意味なのですが、Waiver(権利放棄条項)が一見して、すこしわかりにくい契約条項なので、

failure or delayの部分は、かみ砕いた表現にして、

~を行わず(=~を怠り)、または~が遅れる

とすると、しっくりします。(次の項目のfailure or delayの使い方で具体的な用例を解説しています。)

なお、failureは、英文契約書で債務の不履行を表す表現のひとつであり、~を怠る~できないという意味があります。

delayは、言うまでもなく遅れるという意味です。

2)failure or delayの使い方

failure or delayは、以下のように使われます。(青字部分)

Force Majeure(不可抗力条項)で:

『義務の不履行または履行の遅延(failure or delay)が合理的な支配の及ばない事情による場合、当事者は免責される。』(下記の英文契約書の例文①をご覧ください)

Waiver(権利放棄条項)で:

『当事者が契約に基づく権利の行使を行わず、または権利の行使が遅れて(failure or delay)、その権利を放棄したとは見なされない』(下記の英文契約書の例文②をご覧ください)

2.failure or delay 例文と基本表現:

(注):上記で解説したfailure or delay青文字で示し、他の基本表現をハイライトしています。

1)failure or delay – 例文①

Force Majeure(不可抗力条項)からです。 契約に定める義務の不履行または履行の遅延が合理的な支配の及ばない事情による場合、いずれの当事者も責任を負いません。

Neither Party shall be liable for failure of or delay in performing obligations set forth in this Agreement, and neither shall be deemed in breach of its obligations, if such failure or delay is due to natural disasters or any causes beyond the reasonable control of such Party. In event of such force majeure, the Party affected thereby shall use reasonable efforts to cure or overcome the same and resume performance of its obligations hereunder.

(訳):

いずれの当事者も、本契約に定められた義務の不履行または履行の遅延が、自然災害または当該当事者の合理的な支配の及ばない原因によるものである場合、かかる義務の不履行または履行の遅延について責任を負わず、いずれもその義務の違反とみなされないものとする。 かかる不可抗力が発生した場合、影響を受けた当事者は、それを是正または克服し、本契約に基づく義務の履行を再び遂行するために、合理的な努力を行うものとする。

(注):

*be liable forは、~に対して責任を負うという意味です。

*set forth in this Agreementは、本契約に定められたという意味です。

*be deemed in breach of its obligationsは、 その義務の違反とみなされるという意味です。

*beyond the reasonable control ofは、~の合理的な支配の及ばないという意味です。詳しくは、beyond the reasonable control の意味と例文をご覧ください。

*use reasonable efforts は、合理的な努力をするという意味です。詳しくは、best effortsとreasonable effortsの意味と例文をご覧ください。

*force majeureは、不可抗力という意味です。

*the Party affected therebyは、the Party affected(影響を受けた当事者)thereby(それによって)の組み合わせで、直訳するとそれによって影響を受けた当事者です。ただし、 thereby(それによって)は、前のsuch force majeure(かかる不可抗力)を指すことが明らかなので、訳していません。

*as soon as reasonably practicableは、実行可能な限り速やかにという意味です。

*cureは、是正するという意味です。

*performance of its obligationsは、義務の履行という意味です。

2)failure or delay – 例文②

Waiver(権利放棄条項)からです。当事者が契約に基づく権利の行使を行わず、または権利の行使が遅れても、その権利を放棄したとは見なされません。(下線部の意味については、注記をご覧ください)

No failure or delay by either Seller or Buyer in exercising any of its rights under this Agreement shall be deemed to be a waiver of that right, and no waiver by either Seller or Buyer of a breach of any provision of this Agreement shall be deemed to be a waiver of any subsequent breach of the same or any other provision.

(訳):

売主または買主が本契約に基づく権利の行使を行わず、または権利の行使が遅れても、かかる権利を放棄したとは見なされず、さらに売主または買主が本契約の条項の違反についての権利を放棄しても、 同じまたは他の条項について、将来の違反についての権利を放棄したとは見なされない。

(注):

exercising any of its rightsは、権利の行使という意味です。 

deemed to beは、見なされるという意味です。くわしくは、deemとconsiderの意味と例文をご覧ください。 

waiverは、権利の放棄という意味です。 

*subsequentは、今後のという意味ですが、将来のと意訳しています。

下線のno waiver by either Seller or Buyer of a breach of any provision of this Agreement shall be deemed to be a waiver of any subsequent breach of the same or any other provision.(売主または買主が本契約の条項の違反についての権利を放棄しても、 同じまたは他の条項について、将来の違反についての権利を放棄したとは見なされない。)の部分が、一見、すこしわかりにくいですが、売主または買主が、相手方に契約の違反があった場合に、不履行責任の追及を怠っても、将来の不履行責任を追及する権利を放棄したことにはしない、ということを意味しています。

 

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