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英文契約書の締結や修正などの場面で使われる表現であるduly authorized representativesについて、とりあげます。 併せて、例文に要点と対訳と語注をつけました。
1.解説:
1)duly authorized representativesとは
duly authorized representativesは、英文契約書の締結や修正などの場面で使われる表現です。
duly authorized representativesは、正当に権限が与えられた代表者という意味になります。
2)duly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)が使われる場面
duly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)は、たとえば、英文契約書の以下のような場面で用いられます。
・英文契約書のEnd of operative provisions (後文):
英文契約書のEnd of operative provisions (後文)では、『duly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)により、本契約が締結された』というように使われます。(下記の例文①をご覧ください)
・Amendment and Alteration(修正・変更条項):
Amendment and Alteration(修正・変更条項)では、『本契約の修正や変更は、当事者のduly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)の署名により有効となる』というように使われます。 (下記の例文②をご覧ください)
Audit Rights(監査権条項)では、『相手当事者の内部記録等のaudit(監査)は、duly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)によって行われる』というように使われます。(下記の例文③をご覧ください)
3)duly authorized representativesが持つ法的意味と
企業統治上の重要性
duly authorized representativesという表現は、単なる「権限のある代表者」という以上に、法的な有効性と企業のガバナンスにおいて極めて重要な意味を持ちます。
この言葉は、契約の有効性、企業のリスク管理、そして内部統制の観点から深く理解されるべきです。
ア.契約の有効性確保における重要性
代理権の明確化と契約の拘束力:
法人が契約を締結する際、物理的に法人そのものが署名するわけではなく、その法人を代表する個人が署名します。
この際、署名者が「正当に権限を与えられた代表者」であることが、契約がその法人にとって有効かつ法的に拘束力を持つための絶対条件となります。
もし署名者が適切な権限を持っていなかった場合、その契約は無効となったり、後に取り消されたりするリスクがあります。
duly authorizedという言葉は、署名者が、その契約を締結するために必要な社内手続き(取締役会決議、稟議、上長承認など)をすべて経て、法的に有効な代理権(authority)を付与されていることを保証するものです。
相手方への保証:
契約書に「by their duly authorized representatives」と記載することは、署名者が自社を法的に拘束する権限を確実に有していることを、相手方当事者に対して明示的に保証する意味合いがあります。
これにより、相手方は、契約の有効性について疑念を抱くことなく、安心して取引を進めることができます。
イ.企業統治(ガバナンス)およびリスク管理上の意義
内部統制の遵守:
duly authorized representativesという文言は、企業が定める内部統制手続き(internal control procedures)が適切に遵守されていることの表れでもあります。
企業の規模が大きくなればなるほど、契約締結プロセスにおける権限委譲のルールは複雑になりますが、この文言は、その複雑な社内ルールに則って権限が付与されていることを示唆します。
権限の濫用防止と責任の所在:
特定の業務や金額に応じた権限規定は、権限の濫用を防ぎ、適切な担当者に責任を集中させるための企業統治上の重要な仕組みです。
duly authorized representativesという表現は、契約締結や重要事項の承認が、正しい権限を持つ人物によって行われたことを外部に示すことで、内部統制の健全性をアピールします。
紛争時の立証責任:
万が一、契約の有効性が争点になった場合、「duly authorized representatives」による署名であるという事実が、その契約が適法に締結された強力な証拠となります。
これは、当事者間の信頼関係を維持し、法的紛争を回避または解決する上で極めて重要です。
ウ.実務上の留意点
権限の確認(Verification of Authority):
契約締結に際しては、自社の署名権限者がduly authorizedであることはもちろん、相手方当事者の署名権限者が真にduly authorizedであるかを確認することが重要です。
特に重要な契約や相手方が海外企業の場合は、権限証明書(Power of AttorneyやBoard Resolution)の提出を求めることもあります。
署名欄の工夫:
署名欄(Signature Block)には、署名者の役職(Title)を明記することで、その人物が組織内でどのような権限を有しているかをある程度示すことができます。
例えば、「Director」や「General Counsel」などの役職は、契約締結権限を持つ可能性が高いことを示唆します。
デジタル署名と権限:
近年、デジタル署名(digital signature)や電子署名(electronic signature)が普及していますが、
これらの署名方法においても、署名を行った個人がduly authorized representativesであることの確認プロセスは引き続き重要です。
技術的な有効性だけでなく、権限付与の法的側面にも注意が必要です。
duly authorized representativesという言葉は、契約書の署名欄に記載される単なる定型句ではありません。
それは、契約の法的有効性、企業の内部統制、そしてリスク管理の基盤を支える、極めて重要な法的表現であると理解すべきです。
2.例文と基本表現:
(注):duly authorized representativesは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1)duly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)– 例文①
契約の後文(IN WITNESS WHEREOFで始まる部分)からです。duly authorized representativesにより契約が締結されます。
IN WITNESS WHEREOF, the Parties have caused this Agreement to be executed as of the date of this Agreement by their duly authorized representatives.
(訳):
上記の証として、両当事者は、正当に権限を与えられた代表者により、本契約の日付にて本契約を締結した。
(注):
*IN WITNESS WHEREOF は、上記の証として(これを証するため)の意味です。詳しくは、英文契約書の構成(structure of contract )をご覧ください。
*have caused this Agreement to be executedは、本契約を締結したという意味です。契約書の慣用表現です。
2)duly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)– 例文②
Amendment and Alteration(修正・変更条項)からです。契約の修正や変更は、duly authorized representativesの署名により有効となります。
Any provisions amending or additional to the provisions set out in this Agreement shall be of no effect unless they are in writing and signed or otherwise duly executed by duly authorized representatives of both the Company and the Client.
(訳):
本契約に定められた条項を修正又は追加する条項は、書面で署名されているか、当社とクライアントの両方の正当に権限を与えられた代表者によって正式に締結されない限り、有効とはならない。
(注):
*set outは、規定する、定めるという意味です。set forthと同じです。
*are in writing and signedは、書面で署名されているという意味です。
*or otherwiseは、又はその他の方法での意味ですが、意訳しています。詳しくは、or otherwiseの意味と例文をご覧ください。
3)duly authorized representatives(正当に権限が与えられた代表者)– 例文③
Audit Rights(監査権条項)からです。duly authorized representativesは、相手方の内部記録等の監査を行うことができます。
Purchaser’s duly authorized representatives shall have access at all reasonable times to all records, documents, files, and personnel necessary to audit and verify Seller’s charges to Purchaser for Goods.
(訳):
買主の正当に権限を与えられた代表者は、商品の買主に対する売主の料金を監査並びに確認するために、必要なあらゆる記録、文書、ファイル及び要員に、妥当な時間に随時アクセスできるものとする。
(注):
*at all reasonable timesは、妥当な時間に随時という意味です。
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