thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinの意味と例文

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今回は、英文契約書でよく使われるthereto, thereof, thereafter, thereby, therein について解説します。例文をとりあげて対訳をつけ、例文中の他の基本表現には注記を入れました。

(目次)
1.解説:
 1)thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinとは
 2)なぜ英文契約書でthere-系単語が使われるのか?
2.例文と基本表現
 1)例文 – thereto
 2)例文 – thereof
 3)例文 – thereafter
 4)例文 – thereby
 5)例文 – therein

1.解説:

1)thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinとは

thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinは、堅苦しい言い回しで日常生活ではほとんど使われません。

しかし、海外、特に英米圏から送られてくる英文契約書では当たり前のように使われています。

これらが分かるようになると英文契約書に親しみを感じるようになります。(使えるようになると翻訳式英語からの脱却です)

それではその意味をみてみます。

thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinは、

thereにそれぞれ、前置詞のto, of, after, by, inが接続している関係です。

つまり、there +前置詞( to, of, after, by, in )の組み合わせの関係となります。

thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinのそれぞれについて、順番にみてみます。

まず、thereが、that を意味します。

theretoは、to that(それに、その)という意味になります。
(下記の例文①をご覧ください)

thereof は、of that(それの、その)という意味になります。
(下記の例文②をご覧ください)

thereafter は、after that(その後)という意味になります。
(下記の例文③をご覧ください)

thereby は、by that(それによって)という意味になります。
(下記の例文④をご覧ください)

therein は、in that(その中に、その)という意味になります。
(下記の例文⑤をご覧ください)

そして、that が何かについては、

契約書のその前に出てきた語句や文節を指すことになります。

thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinが具体的に契約書の前のどの部分にかかるかについては、次の例文のパートの(注2)と(注3)をご参照ください。

2)なぜ英文契約書でthere-系単語が使われるのか?

thereto, thereof, thereafter, thereby, therein といったthere-系単語は、日常会話や一般的なビジネス文書ではあまり使われませんが、英文契約書では頻繁に登場します。

これは、英文契約書の持つ「法的正確性」「簡潔性」「形式性」という特性に深く関連しています。

これらの単語を使用することで、以下の利点が得られます。

ア.曖昧さの排除と法的正確性

指し示す対象の明確化:

契約書において、「それ」「その」といった指示語(it, its, them, theirなど)を使用すると、文脈によっては複数の解釈が生じる可能性があります。

例えば、「それは重要だ」と書かれた場合、「それ」が何を指すのかが曖昧になることがあります。

これに対し、there-系単語は、直前の特定の 名詞句や文節を指すことを法的に厳密に定義します。

例えば、thereto(to that)は「その特定の契約に」という意味を明確にし、他の一般的な「それ」との混同を避けます。

これにより、条項の解釈における曖昧さを排除し、法的紛争のリスクを低減します。

イ.簡潔性と重複の回避

冗長な表現の回避:

英文契約書は、可能な限り簡潔に、しかし必要な情報はすべて盛り込むことを目指します。there-系単語を使用することで、同じ名詞句や長い文節を繰り返すことなく、内容を簡潔に表現できます。

例えば、「the terms of this Agreement」を複数回繰り返す代わりに、「the terms thereof」とすることで、文章量を減らしつつ、正確な意味を伝えることができます。

これは、契約書全体の可読性を向上させ、無駄な言葉を省くという英文契約書のスタイルに合致しています。

ウ.形式性と伝統的な表現

契約書の文体維持:

英文契約書には、歴史的に培われた特定の文体と語彙が存在します。

there-系単語は、この伝統的な契約書の形式性を維持する上で重要な役割を果たします。

これらの単語を使用することで、契約書としての信頼性と権威性が高まると考えられています。

現代では、より平易な英語を使用する契約書も増えていますが、特に国際的な取引や複雑な契約においては、依然としてthere-系単語が標準的に用いられており、これらを理解していることが、英文契約書を適切に読み解くための必須スキルとなっています。

これらの理由から、there-系単語は英文契約書の「お決まり」の表現として定着しており、その意味と指し示す対象を正確に理解することは、英文契約書を読み、作成する上で不可欠な能力と言えるでしょう。

2.例文と基本表現:

(注1):thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinは、青字で示し、その他の基本表現を黒字でハイライトしています。

(注2):例文中の英文の下線部は、thereto, thereof, thereafter, thereby, therein が、それぞれ指している前の部分です。

(注3):thereto, thereof, thereafter, thereby, therein が、それぞれ、何にかかっているのかについて、訳文の( )の中の注記でも示しました。(青字部分

1) theretoの例文①:

Attached as Exhibit “C” is a list of all material contracts to which the Company is a party, as of the Closing Date, including all amendments thereto.

(訳):

別紙「C」として添付されているのは、クロージング当日の、当社が当事者である、その(= to all material contracts to which the Company is a party:当社が当事者であるすべての重要な契約の)すべての改定を含む一切の重要な契約のリストである。

(注):

*Exhibitは、別紙という意味です。詳しくは、exhibitとappendixの意味と例文をご覧ください。

*materialは、重大な、重要なという意味です。material breachの意味と例文をご参考にしてください

*the Closing Dateは、クロージング当日と訳されます。資産譲渡契約などの取引実行日(資産の受け渡し日)のことを意味します。詳しくは、ClosingとClosing Dateの意味と例文をご覧ください。

2)thereofの例文②:

If Licensor approves such subcontractor, then, for purposes of such sublicense only, the Territory for the license hereunder shall be deemed to include the country or sub-division thereof in which the manufacturing will be performed, as mutually agreed to by the Parties.  

(訳):

ライセンサーが、かかる下請事業者を許可する場合は、サブライセンスの目的のみとし、本契約に基づくライセンス対象の地域は、両当事者が相互に合意したとおり、製造が実施される国又はその(=of the country: 製造が実施される国の)一部の地域を含むものとみなされる。

(注):

subcontractorは、下請事業者という意味です。

*be deemedは、みなされるという意味です。詳しくは、deemとconsiderの意味と例文をご覧ください。

*sub-divisionは、ここでは、一部の地域という意味です。

*hereunderは、本契約に基づくを意味します。詳しくは、hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafterの意味と例文をご覧ください。

3)thereafterの例文③:

The failure at any time of either Party to enforce or require strict compliance with any provision of this Agreement shall in no way be construed as a waiver of such provision nor in any way be construed to affect the right of such Party to thereafter enforce that or any other provision of this Agreement. 

(訳):

各当事者が本契約の条項を常に厳格に履行しない、又は要求しない場合でも、本契約の当該条項の権利放棄解釈されることはなくその後 after the failure at any time of either Party to enforce or require strict compliance with any provision of this Agreement:各当事者が本契約の条項を常に厳格に実施又は要求しない後)、本契約の当該条項又は他の条項を履行する当事者の権利に影響を及ぼすと決して解釈されるものではない。

(注):

failure toは、~を怠る~できないという意味です。詳しくは、failureの意味と例文をご覧ください。

*enforceは、ここでは、履行するという意味です。

*provisionは、条項という意味です。詳しくは、article, clause, provision, stipulation, covenantの意味をご覧ください。

*in no wayは、一切~ない、決して~ないという意味です。

*be construedは、解釈されるという意味です。詳しくは、be construedの意味と例文をご覧ください。

*waiver は、権利放棄の意味です。詳しくは、waiver(権利放棄条項)をご覧ください

in any wayは、ここでは、決して(~でない)という意味です。

4)therebyの例文④:

In the event that a court or other tribunal of competent jurisdiction at any time holds that any provision of this Agreement is illegal or unenforceable, such provision shall be severed from this Agreement, and the remainder of this Agreement shall not be affected thereby and shall continue in full force and effect.  

(訳):

裁判所又は管轄権のある他の紛争解決機関が、本契約の条項が違法であり、または執行不能判示した場合、当該条項は本契約から切り離され、本契約の残りの部分は、それによって (=by such provision:当該条項によって) 影響を受けず引き続き有効とする。

(注):

*other tribunal of competent jurisdictionは、管轄権のある他の紛争解決機関という意味です。

*any provision of this Agreementは、本契約の条項という意味です。provisionについては、詳しくは、article, clause, provision, stipulation, covenantの意味をご覧ください。

*holdsは、ここでは、判示するという意味です。

*unenforceableは、執行不能(=執行できない)という意味です。

*severed fromは、から切り離されるという意味です。

*continue in full force and effectは、引き続き有効であるという意味です。詳しくは、in forceとin effectの意味と例文をご覧ください。

5)thereinの例文⑤

Articles XX survive the expiration or termination of this Agreement for so long as the subject matter therein is relevant.   

(訳):

条項XXは、その(in Aricles XX=XX条項の)主題が関係する期間は、本契約の満了または解除後も存続する

(注):

*surviveは、存続するという意味です。

*the subject matter は、主題、主要事項を意味します。詳しくは、subject matterの意味と例文をご覧ください。

 

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