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今回は、Signature(署名欄)について解説します。
英文契約書は、End of operative provisions (後文)の文言の後、英文契約書のSignature(署名欄)にサインすることで完結します。
なお、Signature(署名欄)やEnd of operative provisions (後文)を含め、英文契約書の全体の構成がどのようになっているのかについては、
英文契約書の構成(structure of contract )
をご覧ください。
(目次)
1)署名欄の一般的なフォーマット
2)署名欄への記入方法
3)署名欄の日付について
4)各ベージへのイニシアルサインについて
5)現代の契約実務における署名の進化と法的有効性
6)別々の場所で署名する場合(Counterparts)
7)まとめ:署名実行時の最終チェックリスト
1)署名欄の一般的なフォーマット :
英文契約書のSignature(署名欄)は、以下のように表記されます。
(紙面の都合により、双方の当事者の会社名を縦に並べてますが、もちろん、横に並べても、どちらでも構いません)
XX Corporation
By:
Name:
Title:
Date:
YY Co., Ltd.
By:
Name:
Title:
Date:
(訳):
XX コーポレーション
署名:
氏名:
役職:
日付:
YY 株式会社
2)署名欄への記入方法
署名欄にどのように記入するのかについて解説します。
① By :
Byとは署名、つまりサインを意味します。
By(署名): の部分は、
Signature :
Signed by :
という表記になっていることもあります。
By(署名): の下線部の上に、双方の契約当事者の代表者がサインします。
サインは、本人確認が目的であるため、英語の代わりに、漢字で書いても構いません。
「By:」の横には、手書きの署名(自筆サイン)を記入します。
これに対し、下の「Name:」はタイピングによる活字体を指します。実務上、どちらに自筆するのか迷う方が多いため、この区別は重要です。
② Name:
Name(氏名): の欄は、第三者が見て分かるように、
名前、姓の順番で、ローマ字の活字体
ではっきりと記入します。
たとえば、Taro Satoというようにです。
③ Title:
Title(肩書)は、Name(氏名)と同様に、ローマ字の活字体で記入します。
たとえば、社長ならPresidentとか、取締役ならManaging Directorいうようにです。
④ Date:
Date(日付)は、
アメリカ英語であれば、
月/日/年の順番(例:Nov/8/2019またはNov 8, 2019 )、
イギリス英語なら、
日/月/年の順番(例:8/Nov/2019または8 Nov, 2019 )
というように記入します。
Signature(署名欄)のDate(日付)の年・月・日の順番は、アメリカ英語、イギリス英語のどちらのやり方でも構いません。
自社が後で署名する場合は、相手当事者が記入している年・月・日の順番に合わせるのが良いでしょう。
3)署名欄の日付について:
Signature(署名欄)のDate(日付)について、留意すべき点がふたつあります。それは、
・月は数字で書かないことと、
・Effective Date(契約の発効日)の日付の順番と合わせる
ことです。以下に、その理由について説明します。
① 月は数字で書かない:
月は数字でなく、NovemberまたはNovというように記入します。数字だと、月と日のどちらを意味するのか分からなくなることがあるからです。
・11/8/2019: ✖
(11月8日と8月11日の区別がしにくい)
・Nov/8/2019またはNov 8, 2019: 〇
② Effective Date(契約の発効日)の日付の順番と合わせる:
英文契約書の日付には、
・Premises (頭書)に記入するEffective Date(契約の発効日)と
・Signature(署名欄)のDate(日付)
のふたつがあります。
Signature(署名欄)のDate(日付)は、
Execution Date(契約締結日)
ともいいます。
Effective Date(契約の発効日)とExecution Date(契約締結日)の違いは、
・Effective Date(契約の発効日):契約の効力が開始する日
・Execution Date(契約締結日) :契約に署名(サイン)した日
となります。
そこで、Signature(署名欄)のExecution Date(契約締結日)の年・月・日の順番 は、
Premises (頭書)に書くEffective Date(契約の発効日)の年・月・日の順番と合わせる
ようにします。
Effective Date(契約の発効日)とExecution Date(契約締結日)は、契約の効力がいつから開始するかに関係します。
年・月・日の順番が異なっていると、Effective Date(契約の発効日)とExecution Date(契約締結日)がおおきくずれてしまう場合があり、契約の開始がいつからなのかが分かりにくくなり、当事者間でもめるおそれがあります。
Effective Date(契約の発効日)とExecution Date(契約締結日)は、同一の日付である必要はありませんが、通常は、前後の近い日付だからです。
(実務上のヒント):
もし署名日が当事者間で大きくズレる場合や、
特定の日から遡及して効力を持たせたい場合は、
Signature欄の日付とは別に、
冒頭(Premises)の日付を “As of [Date]” と表記して調整する
ことが一般的です。
(ご参考):
Effective Date(契約の発効日)については、
the date hereofとthe effective date hereofの意味と例文
の記事をご参考にしてください。
(ご参考):
英文契約書のPremises (頭書)については、
英文契約書の構成(structure of contract )
4)各ベージへのイニシアルサインについて:
英文契約書では、各ページにイニシアルサインを入れることがあります。
各ベージにイニシアルサインをするのは、英文契約書が複数ページにまたがる場合に、ページの差し替えや追加が行われておらず、一つのまとまった契約書であることを示すことが目的です。
やり方ですが、各ページの右下の余白に、契約当事者の代表がイニシアルサインを入れます。
各ベージにイニシアルサインがあれば万全ですが、英文契約書の場合、署名欄にサインして、全ページをホッチキス止めするだけでも問題ありません。
実際、英文契約書では、署名欄へのサインとホッチキス止めだけのやり方も多くなされています。
近年、英文契約書の締結方法も進化しており、従来の紙媒体での署名に加え、電子的な手段が広く利用されるようになりました。
また、署名者の「契約締結権限」の重要性は、形式的な署名方法以上に法的リスクを左右する要素となります。
ア.電子署名(Electronic Signature)とデジタル署名(Digital Signature)
定義と法的有効性:
従来の署名(ウェットインク署名)と同様に、電子署名も法的な有効性が認められる国が増えています。
電子署名(Electronic Signature):
電子的な記録に付されたサイン全般を指し、氏名の手入力、マウスによる手書きサイン、スキャンした署名画像の貼り付けなどが含まれます。
法的には、署名者がその意図を持って電子的な記録に署名したことを証明できれば有効とされることが多いです。
デジタル署名(Digital Signature):
電子署名の一種ですが、暗号技術を用いて署名者の身元と文書の改ざんがないことを証明できる、より高度な技術を指します。
DocuSignやAdobe Signのようなサービスがこれに該当し、法的証拠能力が高いとされています。
実務上の留意点:
電子署名を利用する際は、関係する各国の法律(例:米国のESIGN Act、EUのeIDAS Regulation、日本の電子署名法)を確認することが不可欠です。
すべての種類の契約で電子署名が認められるわけではない
(例:不動産取引や特定の金融契約など)ため、締結する契約の種類や関係法域の要件を事前に確認しましょう。
イ.契約締結権限(Authority to Sign)の確認
用語の定義と機能の明確化:
条項名:
契約締結権限(Authority to Sign / Capacity)
機能:
署名者が法人を代表して契約を拘束する法的能力(Power)を持っていることを保証し、後日の「権限無効」による契約取消リスクを回避する機能。
署名者の「正当な権限」の重要性:
署名欄にサインする個人は、その法人が契約を締結する権限を「正当に与えられた代表者(duly authorized representative)」である必要があります。
たとえ契約書が正しく記入されていても、署名者に会社を法的に拘束する権限がなければ、その契約は無効とされたり、後から取り消されたりするリスクがあります。
これは、契約のvalidity(有効性)とenforceability(強制力)に直接関わる問題です。
確認方法:
特に重要な契約や、初めて取引する相手方の場合、相手方の署名者が本当に権限を持っているかを確認することが実務上推奨されます。
具体的な確認方法としては、以下のようなものがあります。
役職(Title)の確認:
President(社長)、CEO(最高経営責任者)、Director(取締役)、General Counsel(法務部長)などの役職であれば、通常、契約締結権限がある可能性が高いです。
ただし、内部規定で権限が制限されている場合もあるため、役職名だけで判断しない方が賢明です。
権限証明書(Power of Attorney / Corporate Resolution):
相手方に対し、取締役会決議(Board Resolution)の写しや、特定の担当者に契約締結権限を付与する委任状(Power of Attorney)の提出を求めることがあります。
これにより、署名者が確かに会社を代表して契約を締結する権限を持つことを確認できます。
会社定款(Articles of Incorporation)や登記情報:
会社の定款や商業登記情報から、代表取締役などの法的な代表権者を確認することも可能です。
日本企業における注意点:
日本企業の場合、代表取締役や特定の役職者(例:President、Representative Director)が会社を代表する権限を有します。
署名者がこれらの役職ではない場合、社内規程に基づく権限委譲や、上記のような委任状の提示が必要となることがあります。
ウ.「契約印」と法的な意味
日本の印鑑文化:
日本の契約実務では、会社の実印(代表者印)や角印が押印されるのが一般的です。
これは、契約が法人によって有効に締結されたことを示す重要な慣習ですが、欧米の法域では「印鑑」に法的な意味合いや証拠能力はほとんどありません。
英文契約書での対応:
英文契約書には「印鑑」を押す欄はありませんが、日本企業が締結する英文契約書では、署名者の手書きサインの隣に会社の実印や角印を押すケースも多く見られます。
これは、日本側の社内手続きや慣習に沿ったものであり、海外の裁判で直接的な法的証拠となるわけではないものの、日本における契約の有効性を補強する意味で慣習的に行われることがあります。
ただし、欧米の契約相手方からは、印鑑の押印は求められません。
これらの現代的な署名の側面を理解することで、英文契約書の締結プロセスにおいて、より安全かつ効率的な実務を行うことができるでしょう。
6)別々の場所で署名する場合(Counterparts)
現代の国際取引では、当事者が一堂に会して署名することは稀です。そこで重要になるのが、Counterparts(副本/写し)という考え方です。
仕組み:
同じ内容の契約書を2部(あるいは人数分)用意し、それぞれが自分の手元にあるものに署名して、スキャンデータや原本を郵送で交換します。
機能:
全員が「同一の1枚の紙」に署名しなくても、それぞれの署名済みのページを合わせることで、一つの有効な契約が成立したとみなす機能です。
英文契約書の後文(Testimonium Clause)に
“This Agreement may be executed in counterparts…”
という文言が入っていれば、この形式での署名が正式に認められていることを意味します。
英文契約書に署名(サイン)を書き込む直前の最終確認として、以下のチェックボックスをご活用ください。
[ ] By(署名)欄: 自筆のサイン(手書き)を記入しましたか?
[ ] Name(氏名)欄: 署名の横に、タイピングされた活字体で氏名を記載しましたか?
[ ] 日付(Date): 月を「数字」ではなく「Nov / November」などの英単語で書いていますか?
[ ] 整合性: 署名欄の日付の形式は、冒頭(Premises)の表記(米式・英式)と統一されていますか?
[ ] 権限: 署名者は、契約を拘束する正当な権限(Authority)を持っていますか?
[ ] ページ確認: 全ページ揃っているか、必要に応じてイニシャルサインがあるかを確認しましたか?
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