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英文契約書の請求・支払いに関係する表現であるdue and payableについてです。いくつかの例文に訳もつけています。例文中の他の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1) due and payable とは
due and payableの表現は、以下のような、ふたつの状況において、使われます。
①ひとつは、契約で定めた代金支払い期日が到来している状況です。
この場合は、due and payable は、
支払い期限となる、支払い義務が生じている
という意味になります。(下記の例文①と例文②をご覧ください。)
②もうひとつは、当事者の契約違反、支払い不能、破産などにより、events of default(債務不履行事由)が生じている状況です。
この場合は、immediately due and payableという表現になり、
直ちに支払い義務が生ずる、期限の利益が喪失している
という意味になります。(下記の例文③と例文④をご覧ください。)
これは、本来の支払期日を待たずに、債務全額の支払義務が発生することを意味します。
(ご参考):dueの意味については、due(支払い期限が到来する)の解説と例文をご覧ください。
(ご参考):期限の利益喪失の意味については、Acceleration(期限の利益喪失条項)をご参考にしてください。
2)契約レビューの重要ポイント:Due and Payable条項の解釈と戦略
due and payable 条項は、契約における金銭的義務がいつ、どのような状況で発生するかを明確にする、極めて重要な規定です。
特に、”immediately due and payable” という表現は、相手方の「期限の利益(Benefit of Term)」を剥奪し、直ちに全額の支払いを求めることを意味するため、その影響は甚大です。
契約レビューにおいては、以下の点を細心の注意を払って確認することが不可欠です。
ア.支払義務発生の条件の明確性
なぜ問題になるのか?:
支払義務が発生する条件が曖昧だと、双方で支払期日や支払義務の有無について認識の齟齬が生じ、紛争の原因となります。
特に、”immediately due and payable” となる条件が不明確だと、意図しないタイミングで多額の支払いを求められるリスクがあります。
確認すべきポイント:
通常の支払期日: 請求書の受領から何日後か(例文①)、月の何日か(例文②)、特定のイベント発生から何日後かなど、具体的な日付や期間、またはトリガーとなる事象が明確に定義されているかを確認しましょう。
「直ちに支払うべき」となる条件:
債務不履行事由(Events of Default)の特定:
契約違反、破産、支払い不能、担保権の実行など、どのような事由が発生した場合に「直ちに支払い義務が生ずる」のか(例文③、例文④)が、具体的にリストアップされているかを確認しましょう。
リストにない事由で「直ちに支払え」と言われるリスクを防ぐため、事由の限定性も重要です。
通知の要否:
「upon demand(要求に応じて)」(例文④)のように、債権者からの通知や要求がなければ支払い義務が生じないのか、あるいは通知なしに自動的に支払い義務が生じるのか(without presentment, or grace period – 例文④)を確認しましょう。
通知なしに自動的に発生する場合、債務者側は予期せぬ債務を負うリスクが高まります。
債権者の選択権(at the option of the party A):
債務不履行事由が発生した場合に、債権者側が期限の利益喪失を「選択できる」のか(例文④)、それとも自動的に喪失するのかを確認しましょう。
選択権がある場合、債権者には柔軟性が生まれますが、債務者にとっては不安定要素となります。
イ.債務不履行事由(Events of Default)との連動
なぜ問題になるのか?:
“immediately due and payable” は、多くの場合、債務不履行事由(Events of Default)と連動しています。
債務不履行事由の定義自体が広範すぎたり、軽微な違反も含まれる場合、些細なことで期限の利益を喪失させられるリスクがあります。
確認すべきポイント:
債務不履行事由の定義の厳格性:
債務不履行事由が、重大な違反や事業継続に影響を与えるような事由に限定されているかを確認しましょう。
軽微な事務処理ミスなどで全額支払いを求められないよう、「Material Breach(重大な違反)」などの限定がされているか、または「Cure Period(是正期間)」が設けられているか(期間内に是正すれば債務不履行とはならない)を確認しましょう。
クロスデフォルト条項:
他の契約における債務不履行が、本契約の債務不履行事由となる「クロスデフォルト条項」の有無も確認が必要です。
これにより、間接的に”immediately due and payable” のトリガーとなる可能性があります。
ウ.「即時利用可能な資金(immediately available funds)」の
要求
なぜ問題になるのか?:
例文①のように、”immediately available funds”(即時利用可能な資金)での支払いを要求されることがあります。
これは、銀行振込であれば着金確認後すぐに出金できる資金を指し、小切手や手形のように決済に時間がかかるものは認められないという意味です。
この要求に応えられない場合、契約違反となる可能性があります。
確認すべきポイント:
自社の資金管理体制において、「即時利用可能な資金」での支払いが常に可能かを確認しましょう。
特に国際送金では、着金までのタイムラグが生じる可能性も考慮に入れる必要があります。
エ.通知、提示、猶予期間の要否
なぜ問題になるのか?:
債務不履行時に「要求に応じて、提示なしに、または猶予期間なしに」支払い義務が生じる(例文④)とされている場合、債務者側は一切の準備期間や交渉の余地なく、直ちに全額の支払いを迫られることになります。
これは債務者にとって極めて厳しい条件です。
確認すべきポイント:
債務者側としては、「upon demand」(要求に応じて)や「with prior written notice」(事前の書面通知をもって)などの条件を付与したり、「grace period」(猶予期間)を設けるよう交渉することで、不測の事態に対応するための時間的余裕を確保することが重要です。
due and payable 条項、特に immediately due and payable 条項は、契約における金銭的な義務と、それを怠った場合の法的帰結を明確にする上で非常に重要です。
債務者側は、この条項が自社に過度なリスクを課していないかを慎重に検討し、必要に応じて是正期間や通知の要件を交渉することで、予期せぬ財務的打撃を避けるための防御策を講じるべきです。
2.例文と基本表現:
(注):due and payableは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1)due and payable(支払い期限となる)の例文①
契約の代金支払いの期限が到来しています。
Subject to the other provisions of this Article 10, each Monthly Invoice provided for under Section 10.1 is due and payable by the company ABC by wire transfer in immediately available funds within thirty (30) days after receipt by the company of such Monthly Invoice.
(訳):
第10条のその他規定に従い、第10.1項に基づき発行される各月の請求書に対し、会社ABCは、当該請求書を受領してから30日以内に即時利用可能な資金を電信送金にて支払うものとする。
(注):
*Subject to は、~に従ってという意味です。詳しくは、subject toの意味と例文をご覧ください。
*by wire transferは、電信送金にてという意味です。
*immediately available fundsは、即時利用可能な資金という意味です。
2) due and payable(支払い期限となる)の例文②
同じく、契約代金支払い期限が到来しています。
Each payment shall be due and payable on the tenth (10th) day of the month for the current month’s Covered Services. In the event the tenth (10th) day of the month is not a business day, the payment shall be due and payable on the next business day following the tenth (10th) day of the month.
(訳):
各代金支払いは、当月の対象サービスの月の10日目を支払期日とする。 月の10日が営業日でない場合、代金支払いはその月の10日の翌営業日を支払期日とする。
(注):
*the current month’s Covered Servicesは、the current month’s(当月の)とCovered Services(対象サービス)で、当月の対象サービスという意味です。
3) immediately due and payable(支払い期限となる)の例文③
events of default(債務不履行事由)により、直ちに支払い義務が生じています。
If this Agreement is terminated in accordance with Article 6.1 or if a Party is subject to any of the circumstances listed in Article 6.2, any amounts owed by the breaching/Insolvent Party to the other Party hereunder shall become immediately due and payable, regardless of the original due date.
(訳):
本契約が第6.1項に従って解除される場合、または当事者が第6.2項に記載される状況のいずれかに該当する場合、違反/支払不能当事者が本契約に基づき相手方当事者に支払うべき金額について、元の支払い期日に関わらず、直ちに支払い義務が生ずるものとする。
(注):
*in accordance withは、に従ってという意味です
*any amounts owedは、支払うべき金額という意味です。
*the breaching/Insolvent Partyは、違反/支払不能当事者という意味です。
*regardless of the original due dateは、regardless of(に関わらず)とthe original due date(元の支払い期日)で、元の支払い期日に関わらずという意味です。
4)immediately due and payable(支払い期限となる)の例文④
同じく、events of default(債務不履行事由)により、直ちに支払い義務が生じています。
The occurrence of any of the following events of default shall, at the option of the party A, make all sums of principal and interest then remaining unpaid hereon and all other amounts payable hereunder immediately due and payable, upon demand, without presentment, or grace period.
(訳):
以下の債務不履行事由の発生は、当事者Aの選択により、本契約におけるすべての元本および利息の未払いの合計額及び本契約に基づく他のすべての請求額は、要求に応じて、提示なしに、または猶予期間なしに、直ちに支払い義務が生ずるものとする。
(注):
*all sums of principal and interest then remaining unpaidは、all sums of(の合計額)とprincipal and interest(元本および利息)とthen remaining unpaid(未払いとなっている)で、すべての元本および利息の未払いの合計額という意味です。
*upon demand, without presentment, or grace periodは、要求に応じて、提示なしに、または猶予期間なしにという意味です。
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