英文契約書の構成とは?例文付き|主要条項と一般条項の違いも

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英文契約書の構成は、取引内容を正確に反映させ、将来のトラブルを防ぐための重要な骨組みです。

この記事では、英文契約書の一般的な構成要素を一つひとつ丁寧に解説し、主要条項(Principal Provisions)と一般条項(General Provisions)の違いについても、実際の契約書の例文を交えながら分かりやすく説明します。

契約書の全体像を理解することで、リーガルチェックや交渉の質が格段に向上します。

※なお、本格的な契約交渉の前に締結される「LOI(意向表明書)」や「MOU(基本合意書)」については、

こちらの [英文契約書のLOI(意向表明書)とMOU(基本合意書)]

をご覧ください。

1.英文契約書の基本的な構成要素と全体像

英文契約書は、以下の7つのパートで構成されているのが一般的です。

Contract Title(表題):
契約書の名称

Premises(頭書):
契約当事者と契約日を特定する部分

Whereas Clause(前文):
契約締結の背景や目的を説明する部分

Operative Provisions(本文):
契約の具体的な権利義務を規定する最も重要な部分

End of Operative Provisions(後文):
契約締結の証拠として締結の意思を示す部分

Signature Block(署名欄):
当事者が署名する部分

Exhibits, Schedulesなど(別紙・添付書類):
契約本体の補足情報

これらの構成要素は、それぞれが重要な役割を担っており、単なる形式的なものではありません。

(実務上のポイント):

英文契約書の構成は、一般的に「過去(背景)から未来(継続的な義務・トラブル発生時のルール)」へと時系列で並んでいます。

この流れを意識することで、どの条項がどのフェーズのリスクを管理しているのかを論理的に把握できるようになります。

以下では、各パートの役割と書き方について詳しく見ていきましょう。

2.各構成要素の役割と見本(例文)

1)Contract Title(表題)

「何のための契約か」を一目でわかるようにする契約書の「顔」です。

法的効力はありませんが、契約書管理のために簡潔で正確な名称をつけます。

例:

Sale and Purchase Agreement(売買契約)

Supply Agreement(供給契約)

Confidentiality Agreement(秘密保持契約)

2)Premises(頭書)

契約当事者と契約の発効日を特定するパートです。

「誰と誰が、いつから契約を結んだのか」を明確にします。

当事者の正式な商号、本店所在地、設立準拠法、法人形態などを正確に記載します。

これにより、将来的な紛争時に当事者の特定や準拠法を判断する際の基礎となります。

見本(例文):

This Distribution Agreement (this “Agreement”) is entered into as of January 1, 2025 (the “Effective Date”) between ABC, Inc., a corporation organized and existing under the laws of Delaware, having its principal office at 123 Main Street, Wilmington, DE 19801 (“Seller”) and XYZ, K.K., a Kabushiki Kaisha organized and existing under the laws of Japan, having its principal office at 4-1 Marunouchi, Chiyoda-ku, Tokyo, Japan (“Distributor”).

訳:

本販売店契約(以下「本契約」)は、2025年1月1日(以下「発効日」)をもって、デラウェア州法に基づき設立された法人であり、主たる事務所を123 Main Street, Wilmington, DE 19801に有するABC, Inc.(以下「売主」)と、日本法に基づき設立された株式会社であり、主たる事務所を東京都千代田区丸の内4-1に有するXYZ, K.K.(以下「販売店」)との間で締結された。

3)Whereas Clause(前文)

「なぜこの契約を締結するのか」という背景や目的を説明する部分です。

法的には必須ではありませんが、契約条項の解釈に迷いが生じた際に、当事者の意図を推し量るための重要な手がかりとなります。

通常、WHEREAS, … and WHEREAS, …という慣用句で始まり、NOW, THEREFORE, …で本文(Operative Provisions)へ繋がります。

見本(例文):

WHEREAS, Vendor desires to engage Service Provider to render after-sale services for the Products; and
WHEREAS, Service Provider desires to accept such engagement.
NOW, THEREFORE, the Parties mutually agree to enter into this Agreement in accordance with the terms and conditions stated herein.

訳:

ベンダーは、製品のアフターサービスを提供するためにサービス会社を業務委託することを希望し、
サービス会社は、当該業務を受託することを希望している。
よって、両当事者は、本契約に定める条件に従って本契約を締結することに相互に合意する。

4)Operative Provisions(本文)

このパートは、契約の核心部分であり、当事者の具体的な権利と義務が詳細に規定されます。

本文は、さらに「主要条項」と「一般条項」に分けられます。

ア.Principal Provisions(主要条項)

契約内容に固有の、取引の主目的を定める条項です。

契約の種類によって内容が大きく異なります。

見本(販売店契約の場合):

Appointment as Distributor(販売店の指定)

Orders and Delivery(注文と納入)

Prices and Payment(価格と支払い)

Term and Termination(期間と解除)

Trademarks and Intellectual Property(商標と知的財産)

イ.General Provisions(一般条項)

どのような種類の契約にも共通して含まれる、一般的な法的条件を定める条項です。

ビジネスの具体的な内容とは直接関係ありませんが、契約の安定性を保つために不可欠です。

見本(一般的に含まれる条項):

Confidentiality(秘密保持)

Indemnification(補償)

Limitation of Liability(責任制限)

Governing Law(準拠法)

Dispute Resolution(紛争解決)

Force Majeure(不可抗力)

5)End of Operative Provisions(後文)

本文の最後に置かれ、「この契約書に両当事者が合意した」ことを宣言するパートです。

通常、IN WITNESS WHEREOF, …という慣用句が使われます。これは、法的拘束力を持たせるための形式的な文言です。

見本(例文):

IN WITNESS WHEREOF, the Parties have caused this Agreement to be executed by their duly authorized representatives as of the Effective Date.

訳:

上記の証として、両当事者は、本契約を発効日をもって、正当な権限を有する代表者により締結させた。

6)Signature Block(署名欄)

契約書が法的に有効であることを示すために、当事者の代表者が署名・記名するパートです。

署名者の氏名、役職、署名日などを明記することで、誰が、どのような権限で契約を締結したかを明確にします。

見本(例文):

IN WITNESS WHEREOF, the Parties hereto have executed this Agreement on the respective dates set forth below.(上記を証するため、両当事者は、以下の日付で本契約を締結した。)

SELLER
By: [署名]
Name: [氏名]
Title: [役職]
Date: [日付]

DISTRIBUTOR
By: [署名]
Name: [氏名]
Title: [役職]
Date: [日付]

7)Exhibits, Schedulesなど(別紙・添付書類)

契約本体の補足として、詳細な情報やリストを記載する書類です。

契約本体に記載するには冗長になる内容(価格表、技術仕様、製品リストなど)をここにまとめます。

Exhibits、Schedules、Annexes、Appendicesなどの呼称がありますが、意味に大きな違いはなく、契約書内で統一して使用することが重要です。

3.英文契約書の構成における実務上の重要点と交渉の視点

英文契約書の構成を理解することは、単に契約書を読むだけでなく、実際のビジネスにおいて交渉やドラフティングを行う上で不可欠です。

ここでは、特に重要な実務上のポイントと交渉の視点について解説します。

1)Premises(頭書)とWhereas Clause(前文)の活用

これらのパートは形式的なものと思われがちですが、契約の解釈に大きな影響を与える可能性があります。

当事者の正確な特定:

国際取引では、当事者の名称や住所、準拠法を正確に記載しないと、将来的に訴訟になった際に管轄権の判断や当事者の特定で問題が生じることがあります。

前文の丁寧な記述:

契約条項の解釈に疑義が生じた場合、裁判所や仲裁機関が当事者の真の意図を推測する際の重要な根拠となります。

特に、複雑な技術提携や合弁事業の契約では、契約の目的や背景を丁寧に記述することが紛争予防に役立ちます。

2)本文(Operative Provisions)のバランスと抜け漏れ
チェック

本文は契約の核心であり、以下の点に注意して確認することが重要です。

主要条項の優先順位:

ビジネス上最も重要な条項(価格、支払い、保証など)を最初に配置し、契約の目的が明確に反映されているかを確認します。

一般条項の網羅性:

主要条項だけでなく、責任制限、準拠法、紛争解決といった一般条項が、自社のリスクを適切に管理できる内容になっているかをチェックします。

特に、自社に不利な条項がないか、あるいは必要な条項が抜けていないかを確認しましょう。

用語の定義の統一:

契約書全体で用語の定義が一貫しているか確認します。

特に「this Agreement」「Parties」「Products」などの重要用語は、冒頭のDefinitions条項で明確に定義し、それに従って使用することで解釈のブレを防ぎます。

3)別紙(Exhibits)の活用と法的効力

別紙は、契約本体の簡潔さを保ちつつ、詳細な情報を効率的に管理するために有効です。

契約本体との一体性:

「as set forth in Exhibit A(別紙Aに定める通り)」といった明確な参照文言を契約本体に含めることで、別紙が法的に契約の一部として扱われることを保証します。

改訂プロセスの規定:

価格表など、頻繁な更新が予想される内容は別紙に記載し、その更新プロセスを契約本体で定めておくと便利です。

例えば、「別紙の変更は両当事者の書面による合意によってのみ有効とする」といった文言を入れます。

4)Signature Block(署名欄)の確認

署名欄は、契約の有効性を左右する最後のチェックポイントです。

署名権限の確認:

署名者がその法人を代表する正当な権限(duly authorized representative)を持っているかを必ず確認します。

役職(Title)や、必要に応じて取締役会決議書(Board Resolution)などを確認することも重要です。

電子署名の有効性:

電子署名による契約締結が増えていますが、国際契約では各国の電子署名関連法規を確認する必要があります。

英文契約書の構成は、単なる形式ではなく、それぞれのパートに深い法的・実務的意味が込められています。

この構造を正確に理解することで、契約書をより深く読み解き、自社の利益を守るための交渉を進めることができるようになります。


英文契約書の各パーツ(署名欄や別紙など)には、それぞれ特有のルールや法的リスクが存在します。

構成の全体像を把握した後は、以下の各重要項目の詳細解説を併せて確認し、より実践的な知識を深めてください。

🌟 英文契約書の基礎知識:主要コンテンツ目次

A. 契約書の基本構造と形式 (基礎知識・形式)

B. 契約当事者と用語の基礎 (基礎知識・定義)

C. 紛争解決と準拠法 (専門条項・紛争)

D. リスクと責任の分配条項 (専門条項・リスク管理)

E. 履行義務と不履行時の救済 (専門条項・履行確保)

 

 

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