wholly-owned subsidiaryの意味と例文

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英文契約書のM&A契約ライセンス契約などで使われる表現であるwholly-owned subsidiaryについて解説します。例文に要点と対訳と語注をつけました。

1.解説:

1)wholly-owned subsidiaryとは

wholly-owned subsidiary:

通常、完全子会社(100%子会社)という意味で使われます。

完全子会社とは、親会社によって発行済株式の総数の100%を所有されている会社のことをいいます。

majority-owned subsidiary:

過半数所有子会社と訳されます。

過半数所有子会社とは、一般的に、親会社によって発行済株式の総数の50%以上を所有されている会社のことをいいます。

wholly-owned subsidiarymajority-owned subsidiaryのような子会社についての表現は、通常、契約書の冒頭において定義がなされます。

その国々の法律や会計基準により、意味が異なる場合があるからです。

2)wholly-owned subsidiaryの使い方

wholly-owned subsidiaryの表現は、M&A契約株式譲渡契約事業譲渡契約などをいいます)やライセンス契約などで使用されます。

以下のような使い方です。(マーカー部分)

M&A契約で:

買収により、被買収会社は、買収会社の完全子会社(wholly-owned subsidiary)となる。(下記の英文契約書の例文①をご覧ください)

ライセンス契約で:

ライセンシーは、ライセンシーの完全子会社(wholly-owned subsidiary)にライセンスを再許諾することができる。(下記の英文契約書の例文②例文③をご覧ください)

3)Subsidiaryの定義の重要性と法的含意

契約書において子会社(Subsidiary)の定義を明確にすることは、権利義務の適用範囲責任の帰属を確定させるために極めて重要です。

ア. 定義が異なることの法的リスク

国や会計基準により、子会社(Subsidiary)の定義が、「株式所有比率」(例:50%超)だけでなく、「支配力基準」(例:役員派遣、資金調達への影響力)に基づいて判断される場合があります。

契約書による定義の優位性:

そのため、当事者間で認識の齟齬が生じないよう、契約書では「株式の100%所有」といった具体的な数値を用いて厳密に定義し直すことが一般的です。

これが、例文にあるように、wholly-owned(100%所有)という表現を使う主な理由です。

イ. サブライセンス条項における責任(Liability)の継続

ライセンス契約において、完全子会社への再許諾(サブライセンス)を許容するケースは多く見られますが、この際、元のライセンシーの責任をどのように扱うかが重要になります。

例文②の機能:

「Licensee will remain liable to Licensor in respect of the acts of any sub-licensee」(ライセンシーは、サブライセンシーの行為に関してライセンサーに対し継続して責任を負う)という規定は、サブライセンシーが契約違反を犯した場合でも、元のライセンシーが責任を負い続けることを明確にしています。

法的含意:

これは、親会社(ライセンシー)が、完全子会社(サブライセンシー)を管理する義務を負い、その完全な支配関係から生じるリスクを、ライセンサー(許諾側)に負わせないための防御規定として機能します。

ウ. 「完全子会社である限り」の限定

例文③「but only for so long as each remains a wholly-owned subsidiary」(但し、それが完全子会社である間に限る)という表現は、再許諾の権利が、子会社であるという状態が変化した瞬間に失われることを明確にするための、重要な条件解除条項です。

目的:

M&Aなどで子会社の株式比率が変わった場合(例:一部売却された場合)、ライセンスが意図しない第三者(もはや完全子会社ではない会社)に継続して利用されることを防ぐための予防策です。

2.例文と基本表現:

(注):上記で解説したwholly-owned subsidiary青文字で示し、他の基本表現をハイライトしています。

1)wholly-owned subsidiary – 例文①

M&A契約からです。買収により、被買収会社(ABC 株式会社)は、買収会社(XYZ 株式会社)の完全子会社となります。

Following the closing of the Acquisition, ABC Company will become a wholly-owned subsidiary of XYZ Corporation and XYZ Corporation’s business will include the business conducted by ABC Company immediately prior to the Acquisition, and ABC Company’s agreements and arrangements will effectively become agreements and arrangements of XYZ Corporation.

(訳):

買収完了後、ABC 株式会社は、XYZ 株式会社の完全子会社となり、XYZ 株式会社の事業は、買収直前にABC 株式会社が行った事業を含むことになり、ABC 株式会社の合意事項及び取決めは、事実上、XYZ 株式会社の合意事項及び取決めになる。

(注):

*the closingは、 (買収の)完了という意味です。クロージングと訳すこともできます。くわしくは、ClosingとClosing Dateの意味と例文をご覧ください。 

*the Acquisitionは、買収という意味です。 

*agreements and arrangementsは、合意事項及び取決めという意味です。

*effectivelyは、事実上という意味です。

2)wholly-owned subsidiary – 例文②

ライセンス契約からです。ライセンシーは、その完全子会社にライセンスを再許諾できます。

Licensee shall have the right, without the consent of Licensor, to grant sublicenses to any of Licensee’s wholly-owned subsidiaries (in which case Licensee shall continue to be bound by the terms of this Agreement and Licensee will remain liable to Licensor in respect of the acts of any sub-licensee).

(訳):

ライセンシーは、ライセンサーの同意なしに、ライセンシーの完全子会社のいずれかにライセンスを再許諾する権利を有する(その場合、ライセンシーは引き続き本契約の条件に拘束されライセンシーは、サブライセンシーの行為に関してライセンサーに対し継続して責任を負うものとする )。

(注):

*without the consent ofは、~の同意なしにという意味です。

*grant sublicensesは、ライセンスを再許諾するという意味です。くわしくは、grant licenseとgrant sublicensesの意味と例文をご覧ください。 

in which caseは、その場合という意味です。前の文章にかかります。 

*be bound byは、に拘束されるという意味です。 

*remain liable toは、に対し継続して責任を負うという意味です。 

*in respect ofは、に関してという意味です。

3)wholly-owned subsidiary – 例文③

ライセンス契約からです。ライセンシーは、その完全子会社にライセンスを再許諾できます。

The license granted under this Agreement includes the right by Licensee to grant sublicenses within the scope of such license to Licensee’s wholly-owned subsidiaries, but only for so long as each remains a wholly-owned subsidiary.

(訳): 

本契約に基づき許諾されたライセンスには,当該ライセンスの範囲内で,ライセンシーがその完全子会社但し,それが完全子会社である間に限る)にライセンスを再許諾する権利を含むものとする。

(注):

*within the scope ofは、の範囲内でという意味です。

*only for so long asは、である間に限るという意味です。

 

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