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英文契約書で除外を表す表現であるexcept asやexcept as provided in等について、とりあげます。 例文をとりあげて、訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1) except as とは
except asは、除外する部分を示す表現です。
~する場合を除いてと訳されます。
except as ~ の、~ の部分に除外する部分が入ります。
2) except as(~する場合を除いて)を使った表現
except as(~する場合を除いて)を使った表現に、以下のようなものがあります。
・except as provided in :
~に規定されている場合を除きの意味です。(下記の例文①をご覧ください)
・except as otherwise provided in:
~に別段の定めがある場合を除いての意味です。(下記の例文②をご覧ください)
otherwise は「別の方法で、別様に」を意味し、より明確に例外規定であることを強調します。
・except as otherwise provided herein:
本契約に別段の定めがある場合を除いての意味です。(下記の例文③をご覧ください)
herein は「本契約において」を意味し、本契約書全体の中での例外であることを示します。
・except as otherwise specifically provided in:
~に特別に定める場合を除きの意味です。(下記の例文④をご覧ください)
specifically が加わることで、非常に明確かつ特定の例外であることを強調します。
・except as provided by law:
法律で規定されている場合を除きの意味です。(下記の例文⑤をご覧ください)
これは、契約内容が法的な義務や要件によって上書きされる可能性を示します。
3)契約レビューの重要ポイント:Except asの解釈とリスク
except as やその派生形は、英文契約書において主要な規定に例外を設けるための非常に重要な表現です。
これらの句は、一見するとシンプルに見えますが、その解釈を誤ると、予期せぬ義務の発生、権利の喪失、または紛争の激化につながる可能性があります。
契約レビューにおいては、以下の点を細心の注意を払って確認することが不可欠です。
ア.例外の範囲の明確性
なぜ問題になるのか?:
例外規定の範囲が曖昧だと、「何が例外で、何がそうでないのか」が不明瞭になり、将来的に解釈を巡る紛争が生じます。
例えば、「except as provided in this Agreement」(本契約に規定されている場合を除き)という表現は、本契約書内のどこに例外が書かれているのかを具体的に特定できる必要があります。
確認すべきポイント:
参照先の特定:
except as の後に続く部分(例:「this Agreement」、「the Contract」、「by law」など)が、どの文書の、どの条項を指すのかを明確に理解しましょう。
不明瞭な場合は、具体的な条項番号やセクション名まで特定するよう求めることを検討すべきです。
限定的解釈の原則:
例外規定は、原則として限定的に解釈される傾向があります。
そのため、「この例外は、本当に意図した範囲をすべてカバーしているか?」という視点で、自社にとって不利益となる可能性のある例外が漏れていないかを確認しましょう。
網羅性の確認:
例えば、秘密情報の開示について「法律で認められる場合を除き」とある場合(例文⑤)、それ以外の行政命令や裁判所命令による開示も例外とする必要があるかなど、考えうる全ての例外事由が網羅されているかを検討しましょう。
イ.原則規定との整合性
なぜ問題になるのか?:
except as 句は、主たる原則規定に対する「但し書き」のようなものです。
原則規定と例外規定が矛盾したり、論理的に整合していなかったりすると、契約全体の意図が不明確になり、契約の有効性自体が問われるリスクがあります。
確認すべきポイント:
両規定の比較:
except as 句が適用される原則規定(例:秘密保持義務、本契約は当事者の利益のみを目的とする)と、例外規定の内容を並べて比較し、論理的な矛盾がないかを慎重に確認しましょう。
優先順位の明確化:
もし、複数の例外規定や他の条項と重複・矛盾する可能性がある場合、どの規定が優先するのかを明確にするための優先順位条項(Order of Precedence Clause)が必要となることがあります。
ウ.自社にとってのリスクと機会の評価
なぜ問題になるのか?:
except as 句は、一方の当事者にとっては「逃げ道」や「柔軟性」を与える一方で、他方の当事者にとっては「予見可能性の低下」や「義務の不安定化」につながる可能性があります。
確認すべきポイント:
義務を負う側:
もし自社が「except as」の原則規定によって義務を負う側(例:秘密保持義務者、費用負担者)である場合、例外規定が十分に広く、自社が避けたい事態を適切にカバーしているかを確認しましょう。
例外が狭すぎると、不必要な責任を負うリスクがあります。
権利を持つ側:
もし自社が「except as」の原則規定によって権利を持つ側(例:情報受領者、受益者)である場合、例外規定によってその権利が不当に制限されていないかを確認しましょう。
例外が広すぎると、自社の期待する権利行使が妨げられる可能性があります。
「別段の定めがある場合(otherwise provided)」の確認:
「except as otherwise provided」のような表現(例文②、例文③、例文④)がある場合、本契約書内の「別段の定め」がどこに、どのような内容で存在するのかを具体的に確認し、その内容が自社にとって有利か不利かを評価する必要があります。
except as 句は、契約の細部における「例外処理」を規定することで、契約の柔軟性と現実的な運用を可能にする反面、その解釈次第で法的責任の範囲を大きく変動させる力を持っています。
契約レビューにおいては、これらの句が自社のビジネス実態に合致し、かつリスクを適切に管理できるよう、非常に綿密な注意を払って検討することが、予期せぬ紛争を回避し、円滑な取引関係を維持するための鍵となります。
2.例文と基本表現:
(注):except asの関連表現は、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1) except as provided in(~に規定されている場合を除き)- 例文①
契約に規定されている場合を除き、顧客の秘密情報に、第三者のアクセスは認められません。
Supplier will not permit any unaffiliated third party access to, in any manner, the Customer Confidential Information, except as provided in this Agreement. Customer Confidential Information shall not include information that consists of ideas, concepts, know-how or techniques relating to the enhancement, customisation, installation or implementation of the Software.
(訳):
サプライヤーは、本契約に規定されている場合を除き、いかなる方法であっても、顧客の秘密情報に、無関係の第三者のアクセスを許可してはならない。 顧客の秘密情報には、本ソフトウェアの拡張、カスタマイズ、インストール若しくは実装に関係するアイデア、概念、ノウハウ又は技術で構成される情報は含まないものとする。
(注):
*any unaffiliated third partyは、無関係の第三者という意味です。 third party(第三者)について、くわしくは、third party(第三者)の解説と例文をご覧ください。
*in any mannerは、いかなる方法であってもという意味です。
2) except as otherwise provided in(~に別段の定めがある場合を除いて) – 例文②
契約に別段の定めがある場合を除き、本契約は両当事者の利益のみを目的とします。
Except as otherwise provided in the Contract, this Contract is intended to be solely for the benefit of the Contractor and the Company and no third party shall acquire any benefit, claim or rights under this Contract.
(訳):
契約に別段の定めがある場合を除き、本契約は受託業者と会社の利益のみを目的とするものであり、第三者は本契約に基づく利益、債権、権利を取得してはならない。
(注):
*is intended to be solely forは、のみを目的とするという意味です。
3) except as otherwise provided herein(本契約に別段の定めがある場合を除いて)- 例文③
本契約に別段の定めがある場合を除き、義務履行に生じる費用は、費用を被る当事者が負担します。
Except as otherwise provided herein, all expenses incurred by each Party in performing its obligations hereunder shall be borne by the Party incurring the expense.
(訳):
本契約に別段の定めがある場合を除き、本契約に基づく義務を履行する際に各当事者が負担するすべての費用については、費用を被る当事者が負担するものとする。
(注):
*be borne by the Party incurring the expenseは、be borne by(が負担する)とthe Party incurring the expense(費用を被る当事者)で、費用を被る当事者が負担するという意味です。
4) except as otherwise specifically provided in(~に特別に定める場合を除き) – 例文④
本契約で特別に定める場合を除き、買主と売主は、本契約の履行に関連して、発生する費用を負担します。
Except as otherwise specifically provided in this Agreement, Buyer and Seller shall bear their own respective expenses incurred in connection with this Agreement and in connection with all obligations required to be performed by each of them under this Agreement.
(訳):
本契約で特別に定める場合を除き、買主及び売主は、本契約に関連して、及び本契約に基づき各自が履行する義務に関連して、発生する費用をそれぞれ負担するものとする。
(注):
*bear their own respective expenses incurredは、bear(負担する)とtheir own respective expenses incurred(発生するそれぞれの費用)で、発生する費用をそれぞれ負担するという意味です。
5) except as provided by law(法律で規定されている場合を除き) – 例文⑤
会社は、法律で規定されている場合を除き、無断で顧客の個人情報を使用・開示しません。
The company will not use or disclose your personal information without the customer’s consent or authorization except as provided by law or described in this notice.
(訳):
会社は、法律で規定されている場合若しくは本通知に記載されている場合を除き、顧客の同意若しくは許可なしに顧客の個人情報を使用または開示しない。
*discloseは、開示するという意味です。
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