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英文契約書で用いられるwillの意味や、shallとの違いについて、とりあげます。 併せて、例文をとりあげ対訳をつけました。例文中のその他の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1)英文契約書で使われるwillの意味:
willは、英文契約書でよく使われます。
日常で使うとき、通常、willは、未来を表します。
しかし、英文契約書では、ほとんどの場合、willは、義務を表します。
~するものとするという意味になります。 (以下の例文①、例文②、例文③をご覧ください)
2)shallとの違い:
shall は、義務や強制を表し、
~しなければならない、~するものとする
と訳されます。
shall( ~しなければならない、~するものとする)と比較すると、will(~するものとする)は、義務が弱いと言えます。
従って、先方が作成した契約ドラフトで、先方の義務にwill(~するものとする)を使い、こちらの義務に、shall( ~しなければならない、~するものとする) が使われていた場合は、
先方の義務も、 shall( ~しなければならない、~するものとする)に修正してもらう
ことをオススメします。
(ご参考):
shall( ~しなければならない、~するものとする)については、shallとmayの意味と例文をご覧ください。
3)shallの代用
shall( ~しなければならない、~するものとする)と同様の意味を持つ表現として、以下もよく使われます。
・be required to(~しなければならない)
・be obliged to(~する義務がある)
なお、まれにですが、義務を表す助動詞として、以下もshallの代用で使われることがあります。
・should(~すべきである)
・must(~しなければならない)
4)shallとwillの使い分けの歴史と現状
shallとwillの使い分けは、英文契約書の世界で長年議論されてきました。
その背景には、法的な厳密性に対する考え方の変遷があります。
ア. shall優位の伝統
伝統的に、英米法系の契約書では、shallが義務(Duty)を表す助動詞として厳格に用いられてきました。
一方、willは単なる未来を表すものと見なされることが多く、法的義務の表現としては避けられてきました。
shall:
A Party shall perform its obligation.(当事者はその義務を履行しなければならない。)
will:
The agreement will terminate on December 31.(本契約は12月31日に終了する。)
このように、shallを義務に、willを未来に限定するのが、かつての厳格な慣行でした。
この慣行に従えば、相手方の義務にwillが使われている場合、それは義務ではないと解釈される可能性すらありました。
イ. 現代における使い分けの変化
しかし近年、契約書をより平易で分かりやすく書こうという動きが広まっており、shallの使用を減らす傾向が見られます。
米国での動向:
米国の一部の州や法律家は、shallが「義務」だけでなく「未来」や「許可」など複数の意味で使われるため、かえって曖昧だと指摘しています。
そのため、義務を表すにはmustやwill、許可を表すにはmayを使うべきだという「プレイン・ランゲージ(平易な言語)運動」が活発です。
結果として、現代の英文契約書では、shallの代わりにwillが義務を表す目的で広く使われるようになっています。
ウ. 実務上の注意点:契約書の作成者と相手方による違い
この記事の「shallとの違い」の項目にあるように、契約交渉においては、相手方のドラフトにwillが使われている場合でも、shallに統一することが依然として賢明な選択です。
これは、相手方が意図的に義務の強さを弱めている可能性を排除するためです。
一方、自社がドラフトを作成する際は、shallとwillのどちらを使っても問題ないと考えるケースも増えています。
重要なのは、契約書全体で表現を統一することです。
もしwillを義務に使うなら、すべての義務条項でwillを使用し、shallは使わないようにすることで、解釈の混乱を防ぐことができます。
2.例文と基本表現:
(注):以下の例文①~例文③の will(~するものとする)は、いずれも、shall( ~しなければならない、~するものとする)に置き換えることも可能です。
(注):willとshallは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1) will(~するものとする)– 例文①
On or before the 20 day of each calendar month during the term of this Agreement, Service Provider will prepare and send to Vendor an invoice for the Service Fee for the previous calendar month. Vendor will pay such invoice within 30 days after its receipt of the invoice.
(訳):
本契約の期間中、各暦月の20日までに、サービス会社はベンダーに対し、前暦月に提供したサービスのサービス報酬金額の請求書を作成し、送付するものとする。ベンダーは、請求書受領後30日以内に、その請求書の支払いを行うものとする。
(注):
*On or before ~は、~までにという意味です。~は当日(例文では20日)を含みます。
2) will(~するものとする)– 例文②
Articles 8, 9 and 11 will survive the expiration or termination of this Agreement for the period of time set forth therein.
(訳):
第8、9、11条は、本契約の満了又は解除にもかかわらず、当該条項に定められた期間、存続するものとする。
(注):
*surviveは、存続するという意味です。
*set forth thereinは、set forth(定められた) とtherein(その=Articles 8, 9 and 11)で、当該条項に定められたと訳しています。
3) will(~するものとする)– 例文③
Consultant will use commercially reasonable efforts to provide Services that comply with Exhibit “A” and the requests and instructions given by Client in connection with this Agreement; provided, however, that Consultant disclaims all warranties concerning (i) Client’s business or other outcomes resulting from the Services, and (ii) the Work Product and other results of the Services.
(訳):
コンサルタントは、商業的に合理的な努力を払って、本契約に関連して、別紙「A」、クライアントによる要求及び指示に適合するサービスを提供するものとする。ただし、コンサルタントは、(i)サービスの結果としてのクライアントのビジネス又はその他の結果、及び(ii)サービスの成果物及び他の結果に関する全ての保証から免責される。
(注):
*use commercially reasonable effortsは、商業的に合理的な努力を払うという意味です。くわしくは、best effortsとreasonable effortsの意味と例文をご覧ください。
*comply withは、に適合するという意味です。
*Exhibitは、別紙という意味です。くわしくは、exhibitとappendixの意味と例文をご覧ください。
*in connection withは、に関連してという意味です。
*provided, however, that は、但し~とするという意味です。くわしくは、provided thatとprovided, however, thatの意味と例文をご覧ください。
*disclaimsは、から免責される、を否認するという意味です。
*the Work Productは、成果物という意味です。
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