forthwithの意味と例文

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英文契約書で期限に関する用語であるforthwithについて、とりあげます。 併せて、例文をとりあげ対訳をつけました。例文中のその他の基本表現に注記を入れました。

1.解説:

1)forthwithとは

英文契約書で、期限を表す用語に、forthwithがあります。

forthwithは、直ちにという意味です。

以下の期限を表す用語と同義語として使われます。

・immediately(直ちに)

・with immediate effect(直ちに効果が生じる、直ちに)

2)forthwithの使い方

forthwithは、Termination(契約解除条項)で、特に多く使われます。

以下のような使い方です。(青字部分)

債務者に契約解除事由が発生した場合に、解除事由の性質や重大性の程度に応じて、債務者に是正の催告をし、又は催告なしに、解除通知により直ちに契約解除できる』(以下の例文①例文②をご覧ください)

この表現は、「猶予期間なく、すぐに実行する」という強い意思を示す際に用いられ、契約における行動の緊急性を強調します。

3)契約レビューの重要ポイント:「直ちに」の解釈とリスク

forthwith という言葉は、契約において「時間」が極めて重要であることを示唆し、その義務の履行が即座に行われるべきであることを意味します。

しかし、この「直ちに」という言葉の解釈は、文脈や法域(締結された国、地域の法律)によって異なり得るため、契約レビューにおいては以下の点に細心の注意を払う必要があります。

ア.「直ちに」の解釈の曖昧さと潜在的リスク

なぜ問題になるのか?:

「直ちに」という言葉は、文字通り「0秒で」という意味ではありません。

実務上は「合理的な時間内に、不必要な遅延なく」と解釈されることが多いですが、この「合理的な時間」が具体的にどの程度の期間を指すのかは、事案の性質、状況、慣行、そして最終的には裁判官の判断に委ねられます。

この曖昧さが、将来の紛争の元となり、一方の当事者が「直ちに履行しなかった」と主張され、契約違反の責任を問われるリスクを生み出します。

確認すべきポイント:

本当に「直ちに」で問題ないか?:

その義務が本当に緊急性を要し、少しの遅延も許されないのかを検討しましょう。

例えば、製品の欠陥による人命に関わるリコール対応であれば「直ちに」が適切かもしれませんが、事務処理であれば「5営業日以内」などの具体的な期間の方がリスクを低減できます。

より具体的な期限設定の検討:

可能であれば、forthwith の代わりに

「〇営業日以内(within X business days)」
「〇時間以内(within X hours)」

など、具体的な期間を明記することを検討しましょう。

これにより、解釈の曖昧さを排除し、両当事者にとっての義務が明確になります。

限定的な使用:

forthwith を使用する場合でも、それを

契約解除の通知(Termination Notice)や、
特定の緊急対応(例:セキュリティ侵害の報告)

など、真に「即時性」が求められる場面に限定することが賢明です。

日常的な義務の履行には、具体的な期限を設けるべきです。

イ.是正期間(Cure Period)との関連性

なぜ重要なのか?:

契約解除条項において、forthwith が是正期間なしに解除を可能にする文言として使われることがあります(例文②のように、支払い不能など、性質上是正が不可能な事由の場合)。

しかし、多くの契約では、違反が発生した場合に、まず相手方に通知し、一定期間内に是正の機会を与える是正期間(Cure Period)が設けられています(例文①参照)。

この是正期間があるかないかは、契約違反発生時の当事者の保護に決定的な影響を与えます。

確認すべきポイント:

自社が債務者側(義務を負う側)の場合、

forthwith による即時解除が適用される事由が、極めて限定的(例:破産、支払不能、詐欺など、重大かつ是正不可能な違反)であるかを確認しましょう。

それ以外の違反については、是正期間が十分に設けられているか(例:「通知受領後30日以内」)を確認することが非常に重要です。

自社が債権者側(義務を履行させる側)の場合、

相手方の重大な違反に対してforthwith で即時解除できる範囲を広げることを検討できますが、相手方の抵抗が予想されるため、現実的な交渉が必要です。

ウ.「無過失解除(Termination for Convenience)」との区別

なぜ重要なのか?:

forthwith は主に契約違反(Breach of Contract)に基づく解除の文脈で使われますが、Termination for Convenience(便宜上の解除、無過失解除)のように、特に理由なく一方的に契約を終了できる条項もあります。

両者は全く異なる法的効果を持つため、混同してはなりません。

確認すべきポイント:

forthwith が使われている解除条項が、どのような事由(違反事由か否か)に基づいて発動されるのかを明確に理解しましょう。

これにより、契約解除の正当性や、それに伴う法的・経済的影響を正しく評価できます。

 

forthwith は、その一語で契約に「緊急性」と「厳格性」をもたらす強力な用語です。

この言葉を含む条項をレビューする際は、その法的効果を深く理解し、自社がその「直ちに」という義務を現実的に果たせるのか、そしてもし果たせなかった場合にどのような重大なリスクを負うのかを、戦略的な視点で検討し、必要に応じて具体的な期間を明記するなどの修正交渉を行うことが、極めて重要です。

2.例文と基本表現

(注):forthwithは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。

1)forthwith(直ちに)- 例文①

Termination(契約解除条項)からです。売主に契約解除事由が発生した場合に、是正の催告をして、期間内に是正されないときは、通知により直ちに契約解除できます。

In the event that Seller (1) becomes bankrupt or insolvent, makes an arrangement with its creditors, has a receiver appointed over any of its assets or commences to be wind up or (2) fails to perform or observe any of the conditions of this Contract and fails to remedy the same within 30 days after receipt of notice from Purchaser, then Purchaser may by written notice to Seller forthwith terminate this Contract.

(訳):

売主が(1)破産若しくは支払不能となり債権者と取り決めをしてその資産について管財人を任命し若しくは清算を開始した場合、又は(2)本契約のいずれかの条件を履行若しくは遵守せず、買主からの通知を受領してから30日以内に是正しなかった場合買主は、売主への書面通知により直ちに本契約を解除することができる。

(注):

*In the event thatは、~の場合はという意味です。 

*becomes bankrupt or insolventは、破産若しくは支払不能となるという意味です。

*its creditorsは、債権者という意味です。 

*receiverは、ここでは、管財人はという意味です。 

*commences to be wind upは、commences(開始する)to be wind up(清算するために)で、清算を開始したという意味です。 

*observeは、遵守するという意味です。 

*remedyは、是正するという意味です。

2)forthwith(直ちに)- 例文②

Termination(契約解除条項)からです。当事者の一方が支払不能となった場合、通知により直ちに契約解除できます。

Either party shall be entitled to terminate this Agreement without prejudice to its other rights and remedies forthwith by notice in writing to the other party, if the other party is unable to pay its debts.

(訳):

いずれの当事者も、相手方が債務を支払うことができない場合、相手方に書面で通知を行うことにより、他の権利および救済を損なうことなく、本契約を直ちに解除する権利を有する。

(注):

*be entitled toは、(~する)権利を有するという意味です。

*without prejudice toは、~を損なうことなくという意味です。詳しくは、without prejudice toとは|英文契約書の基本表現をご確認ください。

 

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