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補足の説明をするときに使うフレーズのfor the avoidance of doubtとfor clarityについて、とりあげます。 併せて、例文をとりあげ対訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1)for the avoidance of doubtとは
for the avoidance of doubtは、
疑義を避けるために記すと、念のため明記すると、
などと訳されます。
同様の意味を持つ表現にfor clarityがあります。
for clarityは、
明確にするために記すと
などと訳されます。
その使い方ですが、条項の前の文言について、その意図や解釈をより明確にしたいときや、補足的な説明をするときに、
for the avoidance of doubtやfor clarityが、後につづく文言の冒頭部分において使われます。(2.例文と基本表現をご覧ください)
2)for the avoidance of doubtの機能と実務上の注意点
for the avoidance of doubt(略して FAD と呼ばれることもあります)は、主に二つの重要な機能を持っています。
ア. FADの二つの機能
1.例外や包含の明確化(リスクヘッジ):
既に一般的に述べられたルールに対し、「これはその例外である」あるいは「これはそのルールに含まれる」という誤解を排除するために使用されます。
例文②では、前の文脈でソフトウェアの一般的な使用が許可されていても、念のため「専有の知的財産開発での非営利ライセンスの使用は禁止される」という重要な禁止事項を改めて明確にしています。
これにより、解釈の幅を狭め、当事者の意図を厳格に伝えます。
2.既存の条項の補強(確認):
既に契約書内の他の場所で規定されている内容を、現在の条項との関係で再確認するために使われます。
例文③では、前の文脈で「守秘義務の対象となる情報」が定義されていたとしても、クライアント名などは機密情報ではないという例外的な事実を、念を押して明記しています。
イ. 実務上の注意点:FADが不要な場合
FADは便利ですが、使いすぎると条文が冗長になることがあります。
また、一部の法律専門家からは「本当に疑義がないならこのフレーズは不要であり、もし疑義があるならその前の条項自体が不明確である」と批判されることがあります。
単なる反復:
既に完璧に明確な内容を繰り返すだけであれば、FADは不要です。
矛盾の創出:
FADで続く内容が、前の条項と矛盾してしまうと、かえって条項間の優劣(どちらが優先されるか)について新たな疑義を生むリスクがあります。
したがって、FADを使用する際は、「本当に解釈上の疑義が生じる可能性があるか?」を慎重に検討し、その後の文言が前の条項と矛盾しないことを確認することが重要です。
2.例文と基本表現:
(注):下記の例文①から例文③は、前の文言を、for the avoidance of doubt以下で明確にしているのですが、その前の文言が省略されています。ご承知おきください。
(注):例文①から例文③のfor the avoidance of doubtは、for clarityに置き換えることもできます。
(注):for the avoidance of doubtは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1) for the avoidance of doubt(疑義を避けるために記すと、念のため明記すると)- 例文①
For the avoidance of doubt, such amended terms and conditions shall supersede any prior version of the License Agreement that may have been embedded in or packaged with the Product itself.
(訳):
疑義を避けるため記すと、かかる改定後の契約条件は、製品と一緒に組み込まれ又はパッケージされた以前のバージョンのライセンス契約に優先する。
(注):
*terms and conditionsは、契約条件という意味です。
*supersedeは、に優先するという意味です。くわしくは、prevail、supersede、overrideの意味と例文をご覧ください。
2) for the avoidance of doubt(疑義を避けるために記すと、念のため明記すると) – 例文②
For the avoidance of doubt, use of the Software pursuant to a Non-Commercial License in connection with the development of proprietary intellectual property, such as patents, is prohibited and shall be a breach of this license agreement.
(訳):
疑義を避けるため記すと、特許など専有の知的財産の開発に関連した非営利ライセンスによるソフトウェアの使用は禁止されており、本ライセンス契約の違反となる。
(注):
*pursuant toは、~に従ってという意味ですが、によるに意訳しています。
*in connection withは、~に関連してという意味です。
3) for the avoidance of doubt(疑義を避けるために記すと、念のため明記すると) – 例文③
For the avoidance of doubt, the Client’s name, logo, and use of the Software shall not be “Confidential Information” and Client hereby authorizes the Company to disclose such information on its website and other marketing materials.
(訳):
疑義を避けるため記すと、クライアントの名称、ロゴ及びソフトウェアの使用は「機密情報」ではなく、当社がウェブサイト及び他のマーケティング資料で、かかる情報を開示することを、クライアントは、本契約により許可するものとする。
(注):
*herebyは、本契約によりという意味です。くわしくは、hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafterの意味と例文をご覧ください。
*discloseは、を開示するという意味です。
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