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大手の海外企業が、不特定多数の相手方に対し使うことが多い定型書式であるGeneral Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)について解説します。
(目次)
1.General Terms and Conditionsとは
(追加解説):契約への組み込み方と法的効力
2.General Terms and Conditionsの内容
3.留意点と対応 – 3つのケース
1)海外の取引先から提示された場合
2)自社が国内の取引先に提示する場合
3)自社が海外の取引先に提示する場合
1.General Terms and Conditionsとは
英文契約書には、ふたつのタイプがあります。
ひとつは、当事者の双方がドラフトからやりとりして、その内容について協議・交渉して合意して、最終的に調印するステップをふむ、通常、我々が目にするタイプの契約書です。
ふたつは、当事者によるドラフトを使っての交渉や、双方による合意・調印というステップが伴わないタイプのものです。
後者が、当事者の一方により契約内容をあらかじめ画一的に定めて、不特定多数の相手方に提示するタイプで、これがGeneral Terms and Conditionsと呼ばれるものです。
General Terms and Conditionsは、一般取引条件とか取引約款などと訳されます。
General Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)は、日本の民法でいう定型約款に相当するものです。
定型約款は、民法では、一方当事者が不特定多数の相手と契約を結ぶことを目的として、あらかじめ定型的に準備された条項の集まりと定義しています。
製品の売買であれば、General Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)を一律に使用することにより、特に売主側にとり、取引コストの大きな削減につながります。
売主が提示したGeneral Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)の内容を、買主が承諾することにより、両当事者間の契約として成立します。
General Terms and Conditionsの契約への組み込み方と法的効力
General Terms and Conditions(以下、GTCs)が契約として成立するには、単に相手方に提示するだけでなく、相手方がそのGTCsの内容を「承諾(Acceptance)」したことが明確である必要があります。
この承諾の方法やタイミングは、後々の紛争を避ける上で非常に重要です。
GTCsを契約に組み込む主な方法は、以下の通りです。
1)明示的な参照と同意(Express Reference and Agreement):
最も確実な方法は、主契約書や注文書などの主要な文書に、GTCsが契約の一部を構成することを明示的に参照し、相手方に同意の署名またはチェックボックスでの確認を求めることです。
例:
「本契約は、売主のウェブサイト[URL]に掲載されている一般取引条件(GTCs)の適用を条件とするものとし、買主は本契約の署名をもって当該GTCsの内容を承諾したものとする。」
実務では、
・注文書の下部にGTCsへの参照と「同意する」チェックボックスを
設ける
・契約締結前にGTCsの最新版を別途提供し、受領確認を得る
などの方法が取られます。
2)黙示の承諾(Implied Acceptance):
相手方がGTCsの内容を直接署名・確認しなくても、取引を継続したり、製品を受け取ったりする行為をもって承諾とみなされるケースもあります。
しかし、これは法的に争われた場合に証明が難しく、リスクが伴います。
特に、オンライン取引では、
ユーザーがウェブサイト上でGTCsへのリンクをクリックし、サービス利用を開始することで承諾とみなされる「クリックラップ契約」や、
単にウェブサイトにアクセスすることで承諾したとみなされる「ブラウズラップ契約」
のような形式も存在しますが、その法的有効性はケースバイケースで判断されます。
法的効力に関する注意点(Battle of Formsとの関連)
そして、このGTCsの契約成立に関連して、国際取引ではしばしば『Battle of Forms(書式の争い)』と呼ばれる問題が生じます。
これは、売主と買主がそれぞれ独自のGTCs(通常、自社に有利な内容)を使用しようとし、どちらのGTCsが最終的に適用されるかが不明確になる状況を指します。
「最後の書類の法則(Last Shot Rule)」:
多くの法域(特に英米法系)では、最後に提示されたGTCsが、相手方に異議なく受領された場合、そのGTCsが契約内容となる、という原則が適用されることがあります。
「ノックアウト原則(Knock-out Rule)」:
しかし、国や裁判所によっては、両当事者のGTCsが矛盾する部分については「ノックアウト」(無効化)され、その部分については統一商事法典(UCC)のような一般的な法原則や取引慣習が適用される、という原則を採用している場合もあります。
このため、GTCsを提示する側も、提示される側も、相手方がGTCsの内容を確実に認識し、承諾したことを明確にするためのプロセスを構築することが極めて重要です。
単にウェブサイトに掲載するだけでなく、注文書や請求書、または個別のメールでGTCsへの言及と承諾を求めることで、将来的な紛争のリスクを大幅に軽減できます。
General Terms and Conditionsで検索すると、国際取引において、多くの海外企業が自社のホームページでGeneral Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)を、インターネット上で公表しています。
2.General Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)の内容
日本の約款は、鉄道の運送約款、宿泊施設の宿泊約款、クレジットカードの利用規約、銀行のサービス利用規約、ソフトウエアの利用規約、生命保険の保険約款などが代表的です。
海外では、General Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)は、幅広い分野で、使われています。
その内容は、通常の英文契約書と同様に、その内容は、ビジネスの分野により様々であり、異なってきます。
たとえば、製品の売買を目的とするGeneral Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)であれば、どの英文契約書にも見られるGeneral Provisions( 一般条項 )に加えて、以下のような、売買契約に特有なPrincipal provisions(主要条項)が組み込まれたりします。
・Orders(注文)
・Prices(価格)
・Delivery and Inspections (引渡し及び検査)
・Payment(支払い)
・Term and Termination(期間及び解除)
・Seller’s Sales Support(売主の販売サポート)
3.General Terms and Conditionsの留意点と対応:
General Terms and Conditionsの取り扱い・対応については、自社が、
①海外の取引先からGeneral Terms and Conditionsを提示された場合、
②国内の取引先に対してGeneral Terms and Conditionsを提示する場合、
③海外の取引先に対してGeneral Terms and Conditionsを提示する場合、
の三つの異なるケースがあると思われるので、それぞれについて解説します。
1)海外の取引先からGeneral Terms and Conditionsを提示される場合:
最も多く見られるパターンです。
日本の会社の場合、通常は、海外の取引先からGeneral Terms and Conditionsを提示されるケースが最も多いと思われます。
General Terms and Conditionsは、提示する当事者の側にとって契約にかかる取引コストを削減できる一方で、日本の約款と同じような問題が指摘されています。
General Terms and Conditionsは、売買取引を例にとると、売主側に有利になるような内容で作成されており、しかも、それをそのまま、相手方が承諾することを前提とする内容になっているケースがほとんどです。General Terms and Conditionsを提示される日本の会社としては、かなり強引ともいえるやり方です。
したがって、相手方からGeneral Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)を使った取引の申入れがあった場合には、その内容をチェックして、自社として受けることができない不利な内容があれば、Amendment Agreement(変更契約書)を作成して提示するなどして、個別に、内容の変更を申し入れる交渉や取り組みが考えられます。
(ご参考):Amendment Agreement(変更契約書) については、Amendment Agreement(変更契約書)の要点をご覧ください。
なお、海外では、General Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)については、従来から、Battle of Forms(書式の争い)と呼ばれる問題が生じやすいことがいわれています。
(ご参考): 詳しくは、Battle of Forms(書式の争い)についてをご覧ください。
2)国内の取引先にGeneral Terms and Conditionsを提示する場合:
このケースは、自社が外資系企業の場合です。
本社が海外企業であり、日本にある子会社、支店などを介してビジネスを行っている場合です。海外企業の本社の意向により、日本の子会社等を通じて、国内の取引先に対してもGeneral Terms and Conditionsを使って取引したいという場合です。
この場合は、海外の本社企業が作成したGeneral Terms and Conditionsがすでに用意されており、その内容は自社に有利なように作成されているのが普通です。
この場合は、本社の海外企業が(専属の弁護士が関わって)すでに作成しているので、一方的に有利な内容で、また日本の国内法や国内の取引実情をあまり考慮しないで作成している可能性があります。
このような場合は、海外の本社企業の了解を得た上で、日本の子会社や支店が、国内法や国内の取引実情を考慮にいれてGeneral Terms and Conditionsを必要に応じて修正してから、国内の取引先に提示することが考えられます。
また、General Terms and Conditionsを国内の取引先に提示するにあたっては、オリジナルの英語版を翻訳した日本語版を併記することが望ましいです。
3)海外の取引先にGeneral Terms and Conditionsを提示する場合:
日本の会社では、このケースはあまり多くないかもしれません。
自社が海外の各国においてグローバルに展開している大企業のような場合で、しかも自社の契約ひな形を海外にある複数の取引先に対しGeneral Terms and Conditionsを使って一律に適用させたいという場合があてはまります。
自社が海外の取引先にGeneral Terms and Conditionsを提示する側にある場合は、相手先からの修正要求に対応できるよう、事前に自社に有利な内容で準備・作成しておくことが考えられます。
国内の取引先であれば、General Terms and Conditionsをそのまま受けることもあるでしょうが、海外の取引先については、専属の弁護士が契約の内容を詳しくチェックしており、修正要求を申し入れてくるケースがほとんどだからです。
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