Royalties(ロイヤリティ条項)

英文と日本語のビジネス契約書の作成・チェック(レビュー)・翻訳の専門事務所です。(低料金、全国対応)

英文契約書においてロイヤリティ条項として置かれるRoyaltiesについて解説します。併せて、例文をとりあげ、要点と対訳をつけて基本表現に注釈を入れました。

1.解説:

1)Royaltiesとは

Royaltiesとは、英文契約書において

ロイヤリティ(実施料)の支払い方法などを定めたロイヤリティ条項

のことを意味します。

Royalties(ロイヤリティ条項)は、ライセンス契約主要条項として置かれます。

見出し条項のタイトルは、代わりに、

Royalty Payment

Royalty Terms

で表示されることもあります。

2)Royalties(ロイヤリティ条項)で規定される内容

Royalties(ロイヤリティ条項)の規定される内容は、概ね、以下のような事柄になります。

ロイヤリティの支払い:

ライセンシーライセンサーに、ライセンスされた製品やサービスについて、ロイヤリティを支払うこと。

ライセンシーライセンスを受ける側であり実施権者といいます。一方、ライセンサーライセンスする側であり実施許諾者ともいいます。

ロイヤリティ支払い額の算定方法:

一定額の定額制で支払う、売上等の業績に応じた歩合制で支払う、など。

ロイヤリティの計算と報告:

ライセンシーによるロイヤリティの計算と報告(ロイヤリティレポート)の提示タイミング – 半年ごと、四半期ごと、毎月、など。

ライセンシーによるロイヤリティ支払いのタイミング:

半年、四半期、月のそれぞれの末日から○○日後に支払う、など。

ロイヤリティ計算の記録:

ライセンシーによるロイヤリティの計算の記録の義務付け。

支払い方法:

ドル建て電信送金で支払う、など。

遅延損害金:

期限までにロイヤリティ支払いがない場合の遅延損害金の取り決め。

税金:

ロイヤリティ支払いに課される消費税などの税金とその負担の取り決め。

以下は、Royalties(ロイヤリティ条項)の二つの例文です。

3)契約レビューの重要ポイント:ロイヤリティ条項を巡る
リスクと注意点

ロイヤリティ条項は、ライセンス契約における金銭的な心臓部であり、当事者間の収益配分を決定する極めて重要な部分です。

この条項のレビューは、単に金額を確認するだけでなく、将来の収益最大化、リスク回避、そして紛争防止のために多角的な視点で行う必要があります。

特に以下の点に注意を払いましょう。

ア.ロイヤリティ算定のベース(Basis)と定義の明確性

なぜ問題になるのか?:

ロイヤリティ算定の基礎となる数値(売上、利益など)の定義が曖昧だと、将来的に計算方法を巡る深刻な紛争につながります。

例えば、「売上」と一口に言っても、返品や割引、相殺などを控除するのか否かで、ロイヤリティ額は大きく変動します。

確認すべきポイント:

算定ベースの具体性:

ロイヤリティが「純売上(Net Sales)」、「粗利益(Gross Profit)」、「製造原価(Cost of Goods Sold)」の何パーセントなのかを明確に定義しましょう。

単に「売上」ではなく、「Net Third Party License Revenue」(第三者ライセンス純収入)や「Service-Sales Amount paid by End Users」(エンドユーザーが支払ったサービス販売額)のように、具体的な名称で定義されているか(例文①例文②参照)を確認してください。

控除項目の明確化:

算定ベースから控除される項目(例:返品、割引、販売促進費、不良品、税金など)がすべて明確にリストアップされているかを確認しましょう。

リストにないものは控除できないと解釈されるリスクがあります。

通貨と為替レート:

異なる通貨での取引がある場合、どの通貨で支払いを行うのか、そしてどの日付(例:請求書発行日、支払い日)の、どこの金融機関の、どのレート(例:TTM、TTS、TTB)で換算するのかを明確に規定しておくことが不可欠です。

為替変動リスクの負担者を明確にしましょう。

イ.ロイヤリティレポート(Royalty Report)と監査権(Audit Right)

なぜ問題になるのか?:

ライセンシーが提出するロイヤリティレポートが不正確であったり、ライセンサーがその正確性を検証する手段がないと、正当なロイヤリティを受け取れないリスクが生じます。

確認すべきポイント:

レポート内容の詳細度:

レポートに何を含めるべきか(例:売上数量、単価、計算式、控除項目、地域別の内訳など)「summarizing in reasonable detail」(合理的に詳細なレベルに要約して)や「detailed information concerning the calculation」(計算に関する詳細情報)のように具体的に規定されているか例文①例文②参照)を確認しましょう。

提出頻度と期限:

レポートの提出が「within forty five (45) days following each calendar quarter」(各暦四半期から45日以内)や「on a monthly basis within Twenty (20) days after the end of the applicable month」(該当月の末日から20日以内に毎月)のように、明確な頻度と期限が定められているか(例文①例文②参照)を確認しましょう。

記録保持義務:

ライセンシーがロイヤリティ計算の根拠となる「正確かつ完全な記録(accurate, full, and complete records)」を保持する義務が明記されているか例文①参照)。また、その記録の保存期間(例:支払い後〇年間)も定めておくべきです。

監査権の明記:

ライセンサーが、ライセンシーの記録を監査する権利(Audit Right)を明確に有しているか例文①参照)。

監査の頻度、監査費用(例:不正があった場合はライセンシー負担)、監査人の独立性(例:independent certified public accountant – 例文①参照)、監査対象期間、機密保持義務などを詳細に規定することが極めて重要です。

監査権がないと、ライセンシーの報告を鵜呑みにするしかなく、リスクが高まります。

ウ.支払いと遅延損害金、税金

なぜ問題になるのか?: 支払いが遅れた場合の措置や税金の負担が不明確だと、金銭的なトラブルにつながります。

確認すべきポイント:

支払期限:

within forty five (45) days following each calendar quarter(各暦四半期から45日以内)やwithin Twenty (20) days after the end of the applicable month(該当月の末日から20日以内)のように、支払いの具体的な期限が明確に規定されているかを確認しましょう(例文①例文②参照)。

遅延損害金(Late Payment Interest / Penalty):

期限までに支払いがなかった場合の遅延損害金の料率(例:年〇%)や計算方法が明確に規定されているか。

これは、支払いを促し、ライセンサーの損害を補償するために不可欠です。

税金(Taxes):

ロイヤリティにかかる税金(消費税、源泉所得税など)をどちらの当事者が負担するのかを明確に規定しましょう。

特に国際取引では、源泉徴収税(Withholding Tax)の扱い(例:グロスアップ条項の有無)が非常に重要になります。

相殺の禁止(No Set-Off):

ライセンシーがライセンサーへの支払い義務がある場合でも、ライセンシーがライセンサーに対して持つ別の債権(請求権)とロイヤリティ支払いを相殺することを明確に禁止する条項(Licensee may not set-off the Royalty Payment against any claims Licensee may have against the Licensor – 例文②参照)を盛り込むことを検討しましょう。

これにより、ライセンサーは確実にロイヤリティを受け取ることができます。

ロイヤリティ条項は、ライセンス事業の成否を左右する条項です。

そのレビューにあたっては、将来の収益予測、潜在的なリスク、そして複雑な計算の可能性を考慮に入れ、法的・会計的な専門知識も活用しながら、詳細かつ網羅的な視点で臨むことが、長期的な成功の鍵となります。

2.例文:

(注):基本表現をハイライトし、注釈をいれています。

1)Royalties(ロイヤリティ条項)– 例文

四半期ごとのロイヤリティ支払いとレポート、第三者ライセンス純収入の定率額によるロイヤリティ支払い、レポートの計算根拠の記録の義務、記録の監査、などを定めています。

Royalties

During the Term, Licensee shall calculate its Net Third Party License Revenue arising from its third party licensing of the Software and shall, within forty five (45) days following each calendar quarter, remit to Licensor 50% of such Net Third Party License Revenue. Licensee will provide with such payments a written report to Licensor a report summarizing in reasonable detail the calculation of its Net Third Party License Revenue. Licensee will keep accurate, full, and complete records that support such reports and related calculation of the payments due under the Agreement. Licensor shall have the right to nominate an independent certified public accountant who shall have access during reasonable business hours to such of Licensee’s records as are necessary to verify the accuracy of the royalty reports and the royalty payments made under this Agreement. The parties shall split the costs of any such accountant review.

(訳): 

ロイヤリティ条項

契約期間中、ライセンシーは、ソフトウェアの第三者ライセンスから生じる第三者ライセンス純収入を計算し、暦四半期から45日以内に、かかる第三者ライセンス純収入の50%をライセンサーに送金するものとする。 ライセンシーは、かかる支払いとともに、その第三者ライセンス純収入の計算を合理的に詳細なレベルに要約して、ライセンサーに書面にて報告するものとする。 ライセンシーは、かかるレポートおよび本契約に基づく支払いの関連の計算を裏付ける正確かつ完全な記録を保持するライセンサーは、独立した公認会計士を指名する権利を有するものとし、遅すぎない営業時間内に、本契約に基づき作成されたロイヤリティレポートおよびロイヤリティ支払いの正確性を検証するために必要なライセンシーの記録にアクセスするものとする。 両当事者は、かかる会計士のレビュー費用を折半するものとする。

(注):

*Net Third Party License Revenueは、第三者ライセンス純収入という意味です。

calendar quarterは、暦四半期という意味です。

remit toは、に送金するという意味です。

*arising fromは、から生じるという意味です。くわしくは、arising out ofとarising fromの意味と例文をご覧ください。

summarizing in reasonable detailは、合理的に詳細なレベルに要約してという意味です。

*accurate, full, and complete recordsは、正確かつ完全な記録という意味です。full, and completeは、同義語による強調表現です。

*independent certified public accountantは、独立した公認会計士という意味です。

reasonable business hoursは、遅すぎない営業時間という意味です。

*verify the accuracyは、正確性を検証するという意味です。

*split the costsは、費用を折半するという意味です。

2)Royalties(ロイヤリティ条項)– 例文②

ライセンシー売上の定率額による支払い、月のロイヤリティ支払いとレポート、ロイヤリティ支払い完了の確認、ロイヤリティ支払いと他の請求との相殺禁止、などを定めています。

Royalties

Licensee shall pay to Licensor as Royalty Payments Thirty Five percent (35%) of the Service-Sales Amount paid by End Users during the term of this Agreement. The Royalty Payment shall be paid by Licensee on a monthly basis within Twenty (20) days after the end of the applicable month. The Royalty Payment shall be deemed made upon presentation by Licensee of remittance confirmation or notice to Licensor of payment. Unless Licensor actually receives the remitted amount, the Royalty Payment shall not be deemed to have been paid. Licensee may not set-off the Royalty Payment against any claims Licensee may have against the Licensor. Licensee shall also provide Licensor with a report (“Royalty Report”) on a monthly basis within Fifteen (15) days after the end of the applicable month. Each Royalty Report shall contain detailed information concerning the calculation of Gross-Sales Amount for the applicable month.

(訳):

ロイヤリティ条項

ライセンシーは、本契約の期間中にエンドユーザーが支払ったサービス販売額の35%をロイヤリティ支払いとしてライセンサーに支払うものとする。 ロイヤルティの支払いは、該当月の末日から20日以内に、ライセンシーによって毎月支払われるものとする。 ライセンシーによる送金確認またはライセンサーへの支払い通知の提示により、ロイヤリティ支払いが行われたとみなされるものとする。 ライセンサーが送金額を実際に受け取らない限り、ロイヤルティ支払いが完了したとはみなされない。 ライセンシーは、ライセンサーに対して有するいかなる請求に対しても、ロイヤルティ支払いで相殺することはできない。 また、ライセンシーは、該当月の末日から15日以内に、月単位でレポート(以下、「ロイヤリティレポート」という)をライセンサーに提供するものとする。 各ロイヤルティレポートには、該当月総売上高の計算に関する詳細情報が含まれるものとする。

(注):

*the applicable monthは、該当月という意味です。

*be deemedは、みなされるという意味です。 くわしくは、deemとconsiderの意味と例文をご覧ください。

*upon presentationは、提示により(提示あり次第)という意味です。

remittance confirmationは、送金確認という意味です。

*set-off~against~は、~に対して~で相殺するという意味です。

claimsは、請求という意味です。

*Gross-Sales Amountは、総売上高という意味です。

 

英文契約書・日本語契約書の作成・チェック(レビュー)・翻訳は、当事務所にお任せください。リーズナブルな料金・費用で承ります。

お問合せ、見積りは、無料です。お気軽にご相談ください。

受付時間: 月~金 10:00~18:00

メールでのお問合せは、こちらから。

ホームページ:宇尾野行政書士事務所