third party(第三者)の解説と例文

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英文契約書で第三者を表す表現であるthird partyについて解説します。例文をとりあげ対訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記しました。

(目次)
1.解説
 1)third partyとは
 2)third partyの使い方
 3)契約レビューと交渉におけるthird party関連条項の
   重要性
2.例文と基本表現
 1)例文 – Confidentiality(秘密保持条項)から
 2)例文 – Assignment(譲渡制限条項)から
 3)例文 – Relationship of the Parties(当事者の
   関係条項)から
 4)例文 – No Warranty(非保証条項)から
 5)例文 – Indemnification(補償条項)から
 6)例文 – Warranty Disclaimer(保証の免責条項)から
 7)例文 – Events of Default(債務不履行事由の条項)
   から
 8)例文 – No Third Party Beneficiary(第三者利益
   条項)から
 9)例文 – IT契約から

1.解説:

1)third partyとは

英文契約書で、third partyとは、

(契約の当事者でない)第三者

という意味です。

IT関係を扱う英文契約書などでは、third partyは、そのまま、

サードパーティ

と訳されたりします。
(次の項目2)のIT契約のサードパーティの規定をご覧ください)

2)third partyの使い方

英文契約書では、契約当事者と第三者を区別する必要がある場合に、third party(第三者)がさまざまな場面で広く使われます。

具体的には、以下のような使い方です。(青字部分)

Confidentiality(秘密保持条項)で:

第三者(third party)から受領当事者が合法的に取得した秘密情報については、守秘義務を負わない。(英文契約書の例文①をご覧ください)

Assignment(譲渡制限条項)で:

当事者の一方は、相手方の事前の同意なしに、本契約の権利義務を第三者(third party)に譲渡できない。(英文契約書の例文②をご覧ください)

Relationship of the Parties (当事者の関係条項)で:

いずれの当事者も、第三者 (third party) との契約や約束に拘束されない。(英文契約書の例文③をご覧ください)

No Warranty(非保証条項)で:

会社は、ソフトウェアが第三者(third party)の特許その他の権利を侵害していないことを保証しない。 (英文契約書の例文④をご覧ください)

Indemnification(補償条項)で:

ライセンサーは、第三者(third party)の訴訟により被るライセンシーの損害から、ライセンシーを補償する。(英文契約書の例文⑤をご覧ください)

Warranty Disclaimer(保証の免責、保証の否認)で:

各当事者は、第三者(third party)の知的財産権を侵害しないことの保証を否認する。(英文契約書の例文⑥をご覧ください)

Events of Default(債務不履行事由の条項)で:

いずれかの当事者が、支払不能等の第三者(third party)の申し立てにより債務者となり、30日以内に取り下げされないときは、債務不履行に陥る。(英文契約書の例文⑦をご覧ください) 

No Third Party Beneficiary(第三者利益条項)で:

本契約は、当事者とその承継人等に対する利益のみを対象としており、第三者(third party)に権利を付与しない。(英文契約書の例文⑧をご覧ください)

IT契約のサードパーティに関する規定で:

コンテンツは、特定のアプリケーション用にサードパーティ(third party)のサーバーに保存される。(英文契約書の例文⑨をご覧ください)

3)契約レビューと交渉におけるthird party関連条項の
重要性

third party(第三者)という概念は、英文契約書において、契約当事者間の権利義務の範囲を明確にする上で極めて重要です。

第三者の行動や第三者への影響を考慮しないと、予期せぬリスクや責任を負う可能性があるため、契約レビューや交渉の際には、third partyがどのように定義され、関連する条項でどのように扱われているかを深く理解する必要があります。

ア.リスクの所在と責任範囲の明確化

なぜ重要か?:

契約当事者ではない第三者が関与する事象(例:第三者からのクレーム、第三者への情報開示など)が発生した場合に、どちらの契約当事者がそのリスクを負い、責任を負うのかを明確にする必要があります。

確認すべきポイント:

秘密保持義務の例外:

秘密保持条項(例文①)では、受領当事者が第三者から合法的に秘密情報を取得した場合に、守秘義務の例外となる旨が規定されます。

これは、受領当事者の情報源を保護し、過度な責任を負わせないための重要な条項です。

第三者の権利侵害に対する保証・補償:

製品やサービスが第三者の知的財産権を侵害しないことを保証するかどうか(例文④)、また、侵害が発生した場合に補償義務を負うか(例文⑤)は、特にベンダー側にとって極めて重要なリスクポイントです。

購入者側としては、第三者からのクレームに対して保護されることを求めるべきです。

偶発債務:

支払不能に関する条項(例文⑦)では、第三者(債権者など)からの破産申し立てなどによって債務不履行となるケースが規定されます。

これは、契約当事者の財務状況が第三者の行動によって左右される可能性を示しています。

イ.契約の拘束力と第三者の利益

なぜ重要か?:

契約の効力が当事者間にとどまるのか、それとも第三者にも何らかの影響を与えるのかを明確にする必要があります。

確認すべきポイント:

譲渡制限:

譲渡制限条項(例文②)は、契約上の権利義務が当事者の同意なく第三者に移転することを防ぎます。

これにより、信頼関係を基礎とした契約関係が維持され、望まない相手方との取引を回避できます。

第三者利益の否定:

多くの英文契約書では、例文⑧のように「本契約は当事者とその承継人の利益のみを対象とし、第三者に権利を付与しない(No Third Party Beneficiary)」という条項が設けられます。

これは、契約当事者以外の者が契約上の権利を主張することを防ぎ、契約関係をシンプルに保つために非常に重要です。

ただし、特定の第三者(例:関連会社、エンドユーザー)に利益を付与する意図がある場合は、この条項の例外を明確に規定する必要があります。

ウ.ビジネス慣習における「サードパーティ」の理解

なぜ重要か?:

IT業界など特定の分野では、「サードパーティ」が特定の意味合いで使われ、契約当事者間だけでなく、サプライチェーン全体の関係性を理解する上で重要です。

確認すべきポイント:

サプライヤー/ベンダーとしてのサードパーティ:

ソフトウェア開発やクラウドサービス提供においては、自社が利用する「サードパーティ製のソフトウェア(third party software)」や「サードパーティのサービスプロバイダー(third party service provider)」が重要な要素となることがあります(例文⑨)。

これらの利用に関する責任範囲(例:サードパーティ製品の欠陥に対する保証責任)は、明確に規定されるべきです。

顧客に対するサードパーティ製品の提供:

自社が顧客に提供するソリューションにサードパーティの製品やサービスが含まれる場合、それらに対する保証やサポートの範囲、責任の限定について、顧客との契約で適切に言及する必要があります。

third partyという言葉は、英文契約書の様々な条項で顔を出す、非常に多義的で重要な概念です。

契約レビューや交渉の際には、「誰がthird partyと見なされるのか」「third partyの行動が契約当事者にどのような影響を与えるのか」、そして「third partyに対する責任や保護はどのように規定されているのか」という点を常に意識し、自社のビジネスリスクと利益を最大化するよう、周到に検討を進めることが不可欠です。

2.例文と基本表現:

(注):third partyは、青文字で示しています。

1)third party(第三者)– 例文① 

Confidentiality(秘密保持条項)からです。第三者(third party)から合法的に取得した秘密情報については、守秘義務を負いません。

The above provisions of confidentiality shall not apply to that part of disclosing party’s Confidential Information which the receiving party is able to demonstrate by documentary evidence: (i) was in the receiving party’s possession prior to receipt from the disclosing party or is independently developed by the receiving party; (ii) was in the public domain at the time of receipt from disclosing party; (iii) subsequently becomes a part of the public domain through no fault of the receiving party or its Agents; and (iv) is lawfully received by the receiving party from a third party having a right of further disclosure.

(訳): 

上記の守秘義務の規定は、受領当事者文書の証拠によって証明できる開示当事者の以下の秘密情報に適用されないもとする:(i)開示当事者から受領する前に受領当事者が保有していた、または受領当事者が独自に創作したしたもの(ii)開示当事者からの受領時に公知であったもの (iii)その後受領当事者またはその代理人の過失なく公知となったもの (iv)開示の権利を有する第三者から受領当事者合法的に受領したもの。

(注):

*disclosing partyは、開示当事者という意味です。

*the receiving partyは、受領当事者という意味です。

*demonstrateは、証明するという意味です。

*documentary evidenceは、文書の証拠という意味です。

subsequentlyは、その後という意味です。

*public domainは、公知の(情報や知識)という意味です。くわしくは、public domainの意味と例文をご覧ください。

*Agentsは、代理人という意味です。

*lawfullyは、合法的にという意味です。

2)third party(第三者)– 例文② 

Assignment(譲渡制限条項)からです。当事者は、相手方の同意なしに、契約の権利義務を第三者(third party)に譲渡できません。

The Contracting Party is not entitled to assign any of its rights and obligations under this Agreement or the General Terms and Conditions to any third party without the prior written consent of the Company.

(訳):

契約当事者は、当社の事前の書面による同意なしに、本契約又は一般取引条件に基づく権利義務を第三者譲渡する権利を有しない

(注):

*is not entitled toは、~の権利を有しないという意味です。

*rights and obligationsは、権利義務という意味です。 

*assignは、譲渡するという意味です。

*the General Terms and Conditionsは、一般取引条件という意味です。くわしくは、General Terms and Conditions(一般取引条件、取引約款)についてをご覧ください。

*without the prior written consentは、事前の書面による同意なしにという意味です

3)third party(第三者)– 例文③ 

Relationship of the Parties (当事者の関係条項)からです。当事者は、第三者 (third party) との契約や約束に拘束されません。

Neither party has any express or implied right under this Agreement to assume or create any obligation on behalf of or in the name of the other, or to bind the other party to any contract, agreement or undertaking with any Third Party, and no conduct of the parties shall be deemed to infer such right. 

(訳):

いずれの当事者も、本契約に基づいて、相手方の代理人としてまたは相手方の名前で、義務を引き受けたり設けたり第三者との契約、合意または約束を相手方当事者に義務付けたりするいかなる明示的または黙示的な権利も有しておらず、 当事者のいかなる行為も、かかる権利の推測とみなされない。

(注):

*any express or implied rightは、明示的または黙示的な権利という意味です。

*assume or create any obligationは、義務を引き受けたり設けたりするという意味です。

*on behalf of or in the name of the otherは、相手方の代理人としてまたは相手方の名前でという意味です。

*bindは、義務付けるという意味です。

*undertakingは、ここでは約束という意味です。

*be deemed to infer such rightは、be deemed to(~とみなされる)infer such right(かかる権利を推測する)で、かかる権利の推測とみなされると訳しています。 be deemed toについては、くわしくは、deemとconsiderの意味と例文をご覧ください。

4)third party(第三者)– 例文④ 

No Warranty(非保証条項)からです。会社は、ソフトウェアが第三者(third party)の権利を侵害しないことを保証しません。

The Company makes no warranties or representations, either express or implied, that the Software transferred hereunder is or will be free from infringement of any patent, copyright, or other rights of third parties. Licensee assumes the entire risk of using Software.

(訳):

当社は、本契約に基づき譲渡されたソフトウェアが、第三者の特許、著作権若しくはその他の権利を侵害していないことを、明示的又は黙示的にも表明保証しない。 ライセンシーは、ソフトウェアの使用について、一切のリスクを負う。

(注):

*makes no warranties or representations は、表明保証しないという意味です。

*free fromは、~がないという意味です。 くわしくは、free fromの解説と例文をご覧ください。

*infringementは、権利侵害という意味です。

5)third party(第三者)– 例文⑤ 

Indemnification(補償条項)からです。ライセンサーは、第三者(third party)の訴訟による損害からライセンシーを補償します。

Licensor will indemnify, defend, and hold harmless Licensee from and against any and all losses incurred by Licensee arising from any third-party action, suit, or claim that alleges the Licensed Software, or any use of the Licensed Software infringes any Intellectual Property Rights.

(訳):

ライセンサーは、ライセンスソフトウェアを主張する第三者訴訟もしくは請求またはライセンスソフトウェアの使用による知的財産権の侵害から生じて被るライセンシーの損害から、ライセンシーを補償し防御し免責する。

 indemnify, defend, and hold harmless~from and against~は、~から~を補償し防御し免責するという意味です。

*arising fromは、から生じてという意味です。

*action, suit,は、訴訟という意味です。類義語を並べた強調表現です。

*allegeは、~を主張する、~を申し立てるという意味です。

6)third party(第三者)– 例文⑥ 

Warranty Disclaimer(保証の免責、保証の否認)からです。第三者(third party)の知的財産権を侵害しないことの保証は免責されます。

EXCEPT AS EXPLICITLY SET FORTH IN THE ACCOMPANYING ASSET PURCHASE AGREEMENT, SELLER LICENSES AND PROVIDES THE SELLER LICENSED PATENTS AND SELLER LICENSED TRADE SECRETS, AND PURCHASER LICENSES AND PROVIDES THE TECHNICAL INFORMATION, ON AN “AS IS” BASIS, AND EACH PARTY EXPRESSLY DISCLAIMS ANY REPRESENTATIONS, WARRANTIES OR CONDITIONS, EXPRESS, IMPLIED, STATUTORY OR OTHERWISE, WITH RESPECT TO THE SAME, INCLUDING ANY WARRANTY OF MERCHANTABILITY, NON-INFRINGEMENT OF THIRD PARTY INTELLECTUAL PROPERTY RIGHTS OR FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSE. 

(訳):

付随の資産購入契約で明示的に定める場合を除き「現状有姿」の条件にて、売主は、売主の特許と営業秘密についてライセンスを付与し、買主は、技術情報についてライセンスを付与するものとし、各当事者は、商品適格性第三者の知的財産権の不侵害または特定目的への適合性を含み、明示、黙示、法定またはその他の、表明、保証もしくは条件を、明確に否認する。

(注):

*EXCEPT ASは、~する場合を除いてという意味です。

*SET FORTHは、定めるという意味です。 

*THE ACCOMPANYING ASSET PURCHASE AGREEMENTは、付随の資産購入契約という意味です。

*STATUTORYは、法定のという意味です。 

*OR OTHERWISEは、またはその他の(方法で)という意味です。くわしくは、or otherwiseの意味と例文をご覧ください。

*FITNESS FOR A PARTICULAR PURPOSEは、特定目的への適合性という意味です。 くわしくは、fitness for a particular purpose(特定目的の適合性)の意味と例文をご覧ください。

7)third party(第三者)– 例文⑦ 

Events of Default(債務不履行事由の条項)からです。当事者が第三者(third party)の申し立てにより債務者となり、30日以内に取り下げされないときは、債務不履行に陥ります。

Either party will be in “Default” under the Contract if it (1) fails to perform any obligation under the Contract and, if the non-performance can be cured, fails to cure the non-performance within 15 business days after notice from the other party specifying the non-performance, (2) admits in writing its inability to pay its debts as they become due, commences a bankruptcy, insolvency, receivership, or similar proceeding, or makes a general assignment for the benefit of creditors, (3) becomes a debtor in a bankruptcy, insolvency, receivership, or similar proceeding commenced by a third party that is not dismissed within 30 days after commencement, or (4) fails to provide adequate assurance of performance under the Contract within three business days after written demand by the other party.

(訳):

いずれかの当事者は、次の各号の事由が生じた場合に債務不履行に該当する:(1)本契約に基づく義務を履行できず、不履行是正できる場合に、相手方から当該不履行を特定する通知の後、15営業日以内に当該不履行是正できないとき、(2)支払期日が到来したときに債務を支払うことができないことを書面で認め、破産、支払不能管財人による管理若しくは同様の手続きを開始する、若しくは債権者の利益のための一般的譲渡を行うとき、(3)第三者により申し立てられた破産、支払不能管財人の管理若しくは同様の手続きにより債務者となり、当該手続きの申し立て後30日以内に取り下げされないとき、または(4)相手方からの書面による請求後、3営業日以内に本契約に基づく履行の十分な保証が提供できないとき。

(注):

*defaultは、債務不履行という意味です。

*the non-performanceは、不履行という意味です。

*curedは、cure(是正する)のことで、是正されるという意味です。

*become dueは、支払期日が到来するという意味です。  

*insolvencyは、支払不能という意味です。

*receivershipは、管財人による管理という意味です。

*proceedingは、手続きという意味です。 

*general assignment for the benefit of creditorsは、債権者の利益のための一般的譲渡と訳しています。債権者への債務の弁済を目的として債務者の財産をtrustee(受託者)に譲渡する米国破産法の手続きです。

*dismissedは、取り下げるという意味です。

*adequate assurance of performanceは、履行の十分な保証という意味です。

*written demandは、書面による請求という意味です。

8)third party(第三者)– 例文⑧ 

No Third Party Beneficiary(第三者利益条項)からです。本契約は、第三者(third party)に権利を付与しません。

The provisions of this Agreement are for the sole benefit of the Parties and their successors and permitted assigns, and they will not be construed as conferring any rights to any Third Party (including any third party beneficiary rights). 

(訳):

本契約の規定は、当事者、当事者の承継人および認められた譲受人に対する利益のみを対象としており、第三者第三者の受益者の権利を含む)に権利を付与するものとは解釈されない。(注):

*their successorsは、当事者の承継人という意味です。

*permitted assignsは、認められた譲受人という意味です。

*conferring any rightsは、権利を付与するという意味です。

9)third party(第三者)– 例文⑨ 

IT関連の契約からサードパーティの例です。コンテンツの特定のアプリケーションは、サードパーティ(third party)のサーバーに保存されます。

Such Content shall be stored and/or backed-up on Customer’s servers, the Company’s servers or on servers of third partiesas the case may be, for a particular Application, as reasonably necessary for the Company to provide its Services.

(訳):

当該コンテンツは、顧客のサーバー、会社のサーバー、又は場合に応じて会社がサービスを提供するために合理的に必要な特定のアプリケーション用として、サードパーティのサーバーに保存若しくはバックアップされる。

(注):

*and/or は、若しくはと訳しています。詳しくは、and/orの意味と例文をご覧ください。

*as the case may beは、場合に応じて、場合によりという意味です。

*reasonably necessary forは、に合理的に必要なという意味です。詳しくは、reasonably necessary の意味と例文をご覧ください。

 

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