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英文契約書で用いられるacknowledgeの意味について、とりあげます。 併せて、acknowledgeがどのように使われるかについて解説します。例文に要点と対訳と語注をつけました。
1.解説 :
1)acknowledgeとは
acknowledgeは、確認する、認識するという意味です。
acknowledge(確認する、認識する)の使い方については、下記の例文①をご覧ください。
(留意点):
acknowledge(確認する、認識する) は、法的な承認や同意の意味合いで使われることもあります。
しかし、acknowledge(確認する、認識する)は、法的拘束力を示す用語としては弱いといえます。
法的効果を確実にするのであれば、以下に示すacknowledge and agreeを使うやり方があります。
2) acknowledge の関連表現
・acknowledgment:
確認、確認書という意味です。(例文②をご覧ください)
・acknowledge and agree:
確認して合意するという意味です。(例文③をご覧ください)
3)acknowledge の法的効力と、より強い表現の必要性
acknowledge は「確認する」「認識する」という意味で、ある事実や状況を当事者が理解していることを示す際に使われます。
しかし、前述の「留意点」でも触れましたように、acknowledge 単体では、法的な「同意」や「合意」としての拘束力が弱いと解釈されることがあります。
なぜなら、「確認した」という事実が、必ずしもその内容に「法的に拘束されることを承諾した」という意味を含まない場合があるからです。
例えば、ある書類を受け取ったことを acknowledge しても、その書類の内容全てに同意したことにはならない、といったケースが考えられます。
契約書は、当事者間の権利義務を明確にし、法的拘束力を持たせることを目的としています。
そのため、特定の事項について相手方に「その事実を認識するだけでなく、それに同意し、法的に拘束される」ことを明確にさせたい場合には、acknowledge だけでは不十分なことがあります。
このような場合、以下のような表現がより適切です。
acknowledge and agree:
これは、「確認した上で、その内容に同意し、法的に拘束されることに合意する」 という最も明確な表現です。
例文③が示す通り、相手方に特定の責任を負わせないことなどを認めさせる場合に、この表現が使われます。
これにより、後から「知らなかった」「同意していなかった」という言い訳を防ぎ、法的効力を強化できます。
より強い「合意」を示す表現:
場合によっては、
agree (合意する)や
covenant(契約によって約束する、誓約する)
といった、より直接的に「合意」や「約束」を示す言葉が使われることもあります。
契約書で acknowledge という言葉を見かけた際には、それが単なる事実確認なのか、それとも当事者に何らかの「法的な同意」を求めているのかを慎重に判断することが重要です。
特に、自社にとって不利な事実を相手方に認めさせたり、相手方の責任を明確にする場合には、acknowledge 単体ではなく、acknowledge and agree のように、法的効力をより明確にする表現が使われているかを確認し、必要であれば修正を求めるべきでしょう。
これにより、将来のトラブルを未然に防ぎ、自社の権利と義務を適切に守ることができます。
(注):acknowledgeは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1) acknowledge(確認する、認識する)- 例文① :
サプライヤーの従業員の安全等について、会社が責任を負わないことをサプライヤーが確認することを規定しています。
The Supplier acknowledges that the Company accepts no responsibility for the health, safety, security of life and property and general well being of the Supplier Personnel with regard to the Supplier Personnel carrying out the Services under this Contract.
(訳):
サプライヤーは、本契約に基づきサービスを遂行するサプライヤーの従業員に対し、健康、安全、生命及び財産の安全、並びにサプライヤーの要員の全般的な福祉について、会社が責任を負わないことを確認する。
*carrying out the Servicesは、サービスを遂行するという意味です。
2) acknowledgment(確認書)- 例文② :
本契約は、確認書等の書面に優先することを規定しています。
This Agreement shall override any additional, inconsistent or conflicting terms or any purchase order, quotation, confirmation, invoice, acknowledgement or other written correspondence.
(訳):
本契約は、追加の若しくは一致しない条件又は発注書、見積書、注文請書、請求書、確認書若しくはその他書面の通信に優先するものとする。
(注):
*inconsistent or conflicting termsは、一致しない条件という意味です。
*overrideは、優先するという意味です。詳しくは、prevail、supersede、overrideの意味と例文をご覧ください。
3) acknowledge and agree(確認して合意する)- 例文③ :
ウェブサイトのコンテンツ等の利用に起因して生じた損失を、会社が責任を負わないことについて、顧客が確認し合意することを規定しています。
The Customer acknowledges and agrees that the Company shall not be responsible or liable, directly or indirectly, for any damage or loss caused or alleged to be caused by or in connection with the use of or reliance on any such content, goods or services available on or through any such website or resource.
(訳):
顧客は、当該ウェブサイト若しくはリソースを介して利用可能なコンテンツ、商品若しくはサービスの利用若しくは依存に起因する、若しくは起因すると申し立てられた、又は関連する損害若しくは損失については、会社が直接的又は間接的にも責任を負わないことを確認し合意する。
(注):
*caused or alleged to be causedは、起因する、若しくは起因すると申し立てられたという意味です。allegedについては、くわしくは、allegeの意味と例文をご覧ください。
*the use of or relianceは、利用若しくは依存という意味です。
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