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英文契約書において著作権と所有権の帰属条項として置かれるCopyright and Ownershipについて解説します。例文をとりあげ要点と対訳をつけました。例文中の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1)Copyright and Ownershipとは
Copyright and Ownershipは、著作権と所有権の帰属と訳されます。
著作権と所有権の帰属は、ライセンス契約に設けられる条項です。
Copyright and Ownership(著作権と所有権の帰属条項)とは、
ライセンス契約においてライセンス製品について、
・著作権などの財産的権利がライセンサーに帰属すること
・ライセンス製品の用途・使用場所・複製などの制限
を取り決めた条項のことをいいます。
2)Copyright and Ownershipが使われる場面
Copyright and Ownership(著作権と所有権の帰属条項)は、とくに、
著作権のライセンス契約
に設けられます。
3)Copyright and Ownershipのポイント・狙い
著作権のライセンス契約において、代表的なのがソフトウエアです。
ライセンス契約では、ライセンスされたソフトウエアの著作権は、ライセンシーに移転しません。
また、ライセンシーは、ソフトウエアの著作権を契約の目的外に利用することは許されません。
しかし、ライセンスされたソフトウエアは、物品と同じように、ライセンシーに引き渡しされます。
その場合、ライセンシーがライセンスされたソフトウエアを、ライセンス契約の目的以外の用途に利用するリスクがありえます。
このようなリスクを予防するため、
ソフトウエアの著作権その他の財産的権利は、ライセンサーに帰属したままであり、ライセンシーに移転しないことを明確にする
ことが、この条項のねらいです。
4)Copyright and Ownershipの実務上の重要点と交渉の視点
Copyright and Ownership条項は、単に「著作権はライセンサーに帰属する」と宣言するだけでなく、ライセンシーに与える権利の範囲を明確に定義し、ライセンサーの知的財産権を多角的に保護することを目的としています。
特に、デジタルコンテンツやソフトウェアの取引においては、物理的な製品の所有権と知的財産権(intellectual property rights)が混同されやすいため、この条項の役割は非常に大きいです。
ア.ライセンサー側の視点(知的財産の保護)
ライセンサーの立場では、自社の知的財産を将来にわたって保護するため、この条項を厳格に規定します。
権利の留保:
条項の冒頭で「owns all rights(一切の権利を所有する)」と明確に宣言することで、Licensed Productsに関するあらゆる知的財産権がライセンサーに帰属していることを強調します。
これにより、ライセンシーが権利の帰属について誤解する余地を排除します。
ライセンス範囲の限定:
ライセンシーに与える権利を「non-exclusive, non-transferable right(非独占的かつ譲渡不能な権利)」に限定することで、ライセンサーが同じライセンスを他の顧客にも提供できる柔軟性を維持し、ライセンシーが第三者にライセンスを転売することを防ぎます。
禁止事項の明記:
「make changes in or copy(変更または複製する)」といった禁止行為を明記することで、ライセンシーがライセンスされたソフトウェアをリバースエンジニアリングしたり、無断で複製・配布したりするリスクを未然に防ぎます。
契約終了後の利用禁止:
「after the expiration or termination」後の利用を禁止することで、ライセンシーがライセンス契約終了後も不正に製品を利用し続けることを防止します。
イ.ライセンシー側の視点(権利の確保)
ライセンシーの立場では、与えられる権利の範囲が、自社のビジネス目的を満たすのに十分かどうかを慎重に確認する必要があります。
許諾範囲の確認:
ライセンシーは、ライセンスされる製品をどのような目的で、どこで、誰が、何台の端末で使用できるのかを明確にするよう交渉することが重要です。
例文では「under the agreed terms(合意された条件)」と抽象的に書かれていますが、実務ではこの「合意された条件」をAppendix(別紙)などで具体的に定義します。
例外規定の交渉:
例文にある「customary data back-ups(通常のデータバックアップ)」のように、ライセンシーの業務上不可欠な行為(例:カスタマイズ、他システムとの連携、バックアップなど)が禁止事項に含まれていないか確認し、必要に応じて例外規定を盛り込むよう交渉します。
所有権と使用権の区別:
Copyright and Ownership条項は、あくまで知的財産権の帰属を定めるものであり、物理的な製品(例えばソフトウェアがインストールされたPC)の所有権とは別であるという点を理解しておく必要があります。
この条項は、ライセンシーが「製品を買ったから何でもできる」と誤解することを防ぐためのものです。
Copyright and Ownership条項は、ライセンス契約の根幹をなす条項であり、ライセンサーにとっては知的財産を保護する盾となり、ライセンシーにとっては与えられる権利の範囲を定める地図となります。
契約をレビューする際は、この条項が自社の立場に有利に、かつ明確に規定されているかを慎重に確認することが求められます。
2.例文と基本表現:
(注):英文契約書によく出る基本表現をハイライトし、注記を入れてます。
Copyright and Ownership(著作権と所有権の帰属条項)– 例文
著作権等を含み、ライセンス製品の知的財産権は、会社とライセンサーのみに帰属することを明記するとともに、ライセンス条件以外の使用を禁止しています。
Copyright and Ownership
The Company and its licensor owns all rights, such as copyrights, trademark rights and other intellectual property rights, to the Licensed Products, including design, software, hardware, graphics and logos. As long as the Agreement is in force, the Customer has a non-exclusive, non-transferable right to use the Licensed Products under the agreed terms (the “License”). The Customer does not have the right to use the Licensed Products after the expiration or termination of the Agreement. The Customer is not entitled to make changes in or copy the Licensed Products under the License, unless there is a specific consent from The Company to do so. However, the Customer is entitled to create customary data back-ups for the sole purpose of storage or preserving data and information throughout the duration of the Agreement.
(訳):
著作権と所有権の帰属
会社とそのライセンサーは、デザイン、ソフトウェア、ハードウェア、グラフィックス及びロゴを含む、本許諾製品に係わる著作権、商標権及びその他の知的財産権について一切の権利を所有する。 本契約が有効である限り、顧客は合意された条件(以下、「ライセンス」という)に基づいて本許諾製品を使用する非独占的かつ譲渡不能な権利を有する。 顧客は、本契約の期間満了又は解除後に本許諾製品を使用する権利を有しない。 顧客は、会社の個別の同意がない限り、ライセンスに基づき本許諾製品を変更又は複製する権利を有しない。 ただし、顧客は、本契約の有効期間中、データ及び情報の保存のみを目的として、通常のデータバックアップを作成することができる。
(注):
*licensorは、ライセンサー(=ライセンスする者、実施許諾者)という意味です。
*As long asは、~の限りという意味です。
*in forceは、有効であるという意味です。詳しくは、in force と in effectの意味と例文をご覧ください。
*non-exclusive, non-transferable rightは、非独占的かつ譲渡不能なという意味です。non-exclusiveについては、詳しくは、exclusiveとnon-exclusiveの意味と例文をご覧ください。
*the agreed termsは、合意された条件という意味です。
*have the right toは、~する権利を有するという意味です。
*after the expiration or termination of the Agreementは、expiration(期間満了)とtermination(解除)の組み合わせで、本契約の期間満了又は解除後にという意味です。
*is entitled toは、~する権利を有するという意味です。前に出でくるhave the right to(~する権利を有する)と同様の意味の契約表現です。
*customaryは、通常の、いつものという意味です。
*for the sole purpose ofは、~のみを目的としてという意味です。
*throughout the duration of the Agreementは、本契約の有効期間中という意味です。 throughout the term of the Agreement(本契約の有効期間中)と同様の意味の契約表現です。
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