deliverablesの意味と例文

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IT関係を取り扱う英文契約書でよく使われるdeliverablesの意味について解説します。例文をとりあげて、要点と対訳と語注をつけました。  

1.解説:

1)deliverablesとは

deliverablesは、成果物、納品物という意味です。

deliverables(成果物、納品物)は、Service Agreement(業務委託契約)、特にソフトウエアなどのIT関係の開発を委託する英文契約書でよく使われます。

なお、この語句は、deliverableでなく、複数形のdeliverablesで表記されるのが一般的です。

2)deliverablesの使い方

以下のような使い方がなされます。(青字部分)

Service Agreement(業務委託契約)で定める作業指示書に基づき、受託者がdeliverables(成果物、納品物)を開発する責任を負う。(下記の例文①をご覧ください)

・顧客がdeliverables(成果物、納品物)を検査・検収する責任を負う。(下記の例文②をご覧ください)

3)deliverablesの法的性質と周辺用語

deliverablesは、単なる「納品された物品」ではなく、契約において「対価を支払うことで取得する、具体的な結果物」という法的性質を持ちます。

この成果物を巡って、契約書では主に所有権の帰属と検収の完了が重要になります。

ア. Deliverablesと知的財産権(IPR)

IT・開発契約において、deliverablesの最も重要な側面は、その知的財産権(IPR)の帰属です。

Deliverables:

最終的に顧客へ納入される具体的な形態の成果物(例:ソフトウェア、報告書、設計図)を指します。

Work Product(作業成果物):

Deliverablesの作成過程で生み出されたもの(例:ソースコード、中間ファイル、ノウハウ)や、Deliverables自体を指すより広範な概念です。

例文①では、Work ProductsがDeliverablesに含まれる形で使われています。

権利帰属の条項:

通常、契約では「Work ProductまたはDeliverablesに関する一切の権利、権原及び利益(rights, title, and interest)は、対価の支払い完了をもって顧客に譲渡される」と規定されます。

イ. 検収・受領に関する用語

deliverablesの納入後、契約の義務が完了したと見なされるには、通常、顧客による検収が必要です。

Reviewing and testing(確認と検査):

例文②に見られるように、納品物がSpecifications(仕様書)やfunctional criteria(機能基準)を満たしているかをチェックするプロセスです。

Acceptance(検収/受領):

顧客が検査を終え、納品物が契約の要求事項を満たしていると公式に認める行為。

これが完了して初めて、受託者(Service Provider)は対価の支払いを受ける権利が確定します。

deliverablesに関する条項は、納品物の定義、納入時期、検収基準、そして知的財産権の移転という、業務委託契約の根幹をなす部分を構成します。

2.例文と基本表現:

(注):deliverablesは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。

1)deliverables(成果物、納品物)– 例文①

業務委託契約からです。契約の作業指示書に基づき、受託者が成果物を開発する責任を負います。

Unless otherwise expressly agreed to in a Statement of Work, Service Provider shall be solely responsible for all aspects of the development and delivery to Client of the Deliverables described in a Statement of Work (including a complete copy of all of the Work Products in and related thereto) in accordance with the Specifications and in the time frames specified in the Implementation Schedule.

(訳):

作業指示書別途明確な同意がない限り、サービスプロバイダーは、仕様書及び運用スケジュールで指定の時間枠に基づき、作業指示書(関連する作業成果物の全てのコピーを含む)に記載された成果物の開発及びクライアントへの納品のあらゆる点について全責任を負うものとする。

(注):

*Unless otherwise expressly agreedは、別途明確な同意がない限りという意味です。詳しくは、unless otherwise の関連表現と例文をご覧ください。 

*Statement of Workは、作業指示書という意味です。

*be solely responsible forは、be responsible for(について責任を負う)solely(単独で)で、ついて全責任を負うという意味です。詳しくは、solely responsible forの意味と例文をご覧ください。

2)deliverables(成果物、納品物)– 例文②

業務委託契約からです。顧客が成果物を検査・検収する責任を負います。

Customer is responsible for reviewing and testing all Deliverables in accordance with any functional criteria or test plans mutually agreed upon in writing by the parties for such Deliverables. Upon Customer’s request, the Company shall demonstrate the functionality of Deliverables to Customer.

(訳):

顧客は、成果物について当事者間で書面にて相互に合意した機能基準又は検査計画に基づき、すべての成果物について確認し検査する責任を負う。会社は、顧客の要求に応じて、成果物の機能性を、顧客に実証するものとする。

(注):

*in writingは、書面にてという意味です。 

*Upon Customer’s requestは、顧客の要求に応じてという意味です。

 *demonstrateは、実証する、立証するという意味です。詳しくは、demonstrateの意味と例文をご覧ください。

 

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