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英文契約書の 一般条項のひとつである Headings(見出し条項)についてです。例文をとりあげ要点と対訳をつけました。例文中の基本表現に語注をつけました。
1.解説:
1)Headingsとは
日本語の契約書でもそうですが、英文契約書でも、その内容を読みやすくするために、それぞれの条文の最初に見出しがつけられるのが一般的です。
このような場合に、Headings(見出し条項)は、
条文の内容そのものと見出しを区別して、見出しは、あくまで参考のために付けられているものであり、契約の一部を構成するわけでないことを明確にする
ことを目的とする条文規定です。
なお、Headings(見出し条項)は、
Headings for Reference Only(見出しは参考)
というタイトルが使われることもあります。
2)Headings条項がなぜ重要なのか:見出しと本文の矛盾を避けるために
Headings条項は、一見すると形式的な文言に過ぎないように見えますが、実は契約の解釈における潜在的な法的リスクを回避するための極めて重要な役割を果たします。
ア.見出しと本文に矛盾が生じる可能性
契約書が複雑になり、条項の修正が繰り返されると、見出しと本文の内容が完全に一致しなくなることがしばしば起こります。
例えば、「補償条項」と見出しがつけられた条項に、後から「責任制限」に関する文言が追記されたり、その逆の事態が発生したりします。
このような場合、もしHeadings条項がなければ、以下のような法的論争が起きる可能性があります。
解釈の不一致:
ある当事者は、見出し(Indemnification=補償)がその条項の主要な目的を規定していると主張するかもしれません。
一方、もう一方の当事者は、本文の規定(Limitation of Liability=責任制限)が優先されるべきだと主張するかもしれません。
このような見出しと本文の矛盾は、契約の解釈を巡る紛争に発展し、最終的に裁判所の判断に委ねられることになりかねません。
イ.Headings条項による法的効力の担保
Headings条項は、この見出しと本文の矛盾から生じるリスクを未然に防ぐためのものです。
例文に共通して含まれるshall not in any way affect the meaning or interpretation of this Agreement(本契約の意味または解釈にいかなる影響も与えないものとする)という文言は、「見出しはあくまで便宜上の参考であり、本文の規定がすべてである」という当事者の明確な合意を法的に確立します。
これにより、見出しが不正確であったり、本文の内容を完全に反映していなかったりしても、契約の法的効力や解釈が揺らぐことはありません。
ウ.実務的な観点からの重要性
契約書の変更に対応:
契約書は一度作成された後も、交渉や追加合意によって頻繁に修正されます。
Headings条項があれば、修正の際にいちいち見出しを本文に合わせて書き直す必要がなく、効率的な作業が可能となります。
複雑な契約のナビゲーション:
大規模な契約書では、見出しがなければ条文を探すことが困難になります。
Headings条項は、見出しが「あくまで読者の便宜のため」に存在することを明示しつつ、そのナビゲーション機能を損なうことなく利用できるようにします。
このように、Headings条項は、単なる形式的な規定ではなく、契約書の法的安定性を確保し、当事者間の将来的な解釈の対立を予防するための、縁の下の力持ち的な役割を担っているのです。
2.例文と基本表現:
(注):Headingsは青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1) Headings(見出し条項)の例文①
Headings(見出し条項)の標準的な条文です。
Headings
The headings contained in this Agreement are for reference purposes only and shall not in any way affect the meaning or interpretation of this Agreement.
(訳):
見出し条項
本契約に記載の見出しは参照のみを目的としており、本契約の意味または解釈にいかなる影響も与えないものとする。
*contained in this Agreementは、本契約に記載のという意味です。
*for reference purposes onlyは、参照のみを目的としてという意味です。
*in any wayは、直訳するといかなる方法でもですが、意訳(いかなる)しています。
2) Headings(見出し条項)の例文②
例文①と同様、標準的な規定です。
Headings
The headings of this Agreement are for reading convenience only, and shall not be used to interpret, explain or otherwise affect the meanings of the provisions of this Agreement.
(訳):
見出し条項
本契約の見出しは、読むための便宜のみを目的としており、本契約の条項の意味を解釈、説明、またはその他の影響を与えるために使用されるものでない。
(注):
*for reading convenience onlyは、読むための便宜のみを目的としてという意味です。
*or otherwiseは、またはその他の(またはその他の方法で)という意味です。詳しくは、or otherwiseの意味と例文をご覧ください。
*the provisions of this Agreementは、本契約の条項という意味です。 provisionsについては、詳しくは、article, clause, provision, stipulation, covenantの意味をご覧ください。
3) Headings(見出し条項)の例文③
article headings(条項の見出し)とarticle and section numbers(条項、節または章の番号)を分けている丁寧な条文です。
Headings
Article headings and article and section numbers are inserted herein only as a matter of convenience and in no way define, limit, or prescribe the scope or intent of this Agreement or any part hereof and shall not be considered in interpreting or construing this Agreement.
(訳):
見出し条項
条項の見出し及び条項及びセクションの番号は、便宜上、本契約に置かれているだけであり、本契約の範囲もしくは意図または本契約の一部を、一切、定義、制限、もしくは規定するものではなく、本契約の解釈に考慮されるものでもない。
(注):
*as a matter of convenienceは、便宜上という意味です。
*in no wayは、一切~ない、決して~ないという意味です。
*prescribeは、規定するという意味です。
*the scope or intent of this Agreement or any part hereofは、the scope or intent of this Agreement(本契約の範囲もしくは意図)とor any part hereof(または本契約の一部)で、本契約の範囲もしくは意図または本契約の一部という意味です。
*interpreting or construingは、解釈(すること)という意味です。類語を並べた強調表現です。
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