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英文契約書の基本表現であるin forceとin effectについて、とりあげます。 併せて、in force とin effectを使ったいくつかの例文をとりあげて、訳をつけました。例文中の他の基本表現には注記を入れました。
1.解説:
1)in forceの意味と関連表現
in force は、有効である、効力を有するという意味です。
以下は、in force(有効である、効力を有する )を使った関連表現です:
・come into force :
有効になる、発効するの意味です。(下記の例文①をご覧ください)
・become into force:
有効になる、発効するの意味です。(下記の例文②をご覧ください)
・remain in full force:
有効に存続するの意味です。(下記の例文③をご覧ください)
・continue in full force :
有効に存続するの意味です。(下記の例文④をご覧ください)
2)in effectの意味と関連表現
in effect は、有効である、効力を有するという意味です。
以下は、in effect(有効である、効力を有する)を使った関連表現です:
・take effect:
有効になる、発効するの意味です。(下記の例文⑤をご覧ください)
・remain in effect:
有効に存続するの意味です。(下記の例文⑥をご覧ください)
・continue in effect :
有効に存続するの意味です。(下記の例文⑦をご覧ください)
・become effective:
有効になる、発効するの意味です。(下記の例文⑧をご覧ください)
・in full force and effect:
効力を持っての意味です。(下記の例文⑨をご覧ください)
・remain in full force and effect:
引き続き有効であるの意味です。(下記の例文⑩をご覧ください)
・with immediate effect:
直ちに(効力を発して)の意味です。(下記の例文⑪をご覧ください)
3)in force と in effect の使い分け
in force と in effect は、ほとんどの場合交換可能であり、意味合いに大きな違いはありません。
どちらも「法的な効力を持つ状態にある」ことを示します。
ただし、in effect は、比喩的に「事実上」「実際には」という意味で使われることもあります(例:The new rule is in effect, even though it hasn’t been officially announced. – 公式発表されていないが、新しい規則は事実上施行されている)。
しかし、契約書では基本的に「有効である」という意味で使われます。
どちらの表現を使用しても問題ありませんが、一つの契約書内では統一して使用することが推奨されます。
4)契約レビューの重要ポイント:契約の「有効性」を巡る
リスクと注意点
in force や in effect といった「有効性」を示す表現は、契約書の法的拘束力や期間、そして特定の条項がいつからいつまで効力を持つのかを明確にする上で極めて重要です。
これらの表現を含む条項をレビューする際は、以下の点を徹底的に精査することで、将来の法的紛争や予期せぬ義務発生のリスクを回避できます。
ア.契約全体の「有効期間」の明確化
なぜ問題になるのか?:
契約の開始日と終了日が曖昧だと、いつから当事者の義務が発生し、いつ終了するのかが不明確になり、サービス提供や支払い義務に関する紛争の温床となります。
特に、契約が自動更新される場合(例文②参照)や、特定の条件で早期終了する場合(例文①、例文⑦、例文⑧参照)は、その仕組みを正確に理解していないと、意図しない契約の継続や、解除権の喪失といったリスクに直面します。
確認すべきポイント:
「いつから有効になるのか(Effective Date)」:
契約書に明確な発効日(例:This Agreement shall come into force when duly signed by both Parties – 例文①、shall become into force from the date of its signature – 例文②)が記載されているかを確認しましょう。
特定の日付、署名日、特定の手続き完了日など、明確なトリガーイベントがあることが重要です。
「いつまで有効なのか(Term)」:
契約の終了日や期間(例:for a period of two (2) years – 例文①、for a period of twelve (12) months – 例文②)が明確か。
自動更新条項がある場合は、更新の条件、更新拒否の通知期間と方法を特に厳しく確認し、自動更新による意図しない義務の継続を防ぐ体制を確保しましょう。
「早期終了(Early Termination)」の条件:
契約が期間満了前に解除される条件(例:相手方の違反、不可抗力、便宜上の解除など)が明確かを確認し、自社が解除したい場合に適切に行使できるか、また解除された場合に予期せぬ義務を負わないかを確認しましょう。
イ.契約終了後の「残存条項(Survival Clause)」の確認
なぜ問題になるのか?:
契約期間が終了しても、特定の条項(例:秘密保持義務、責任制限、準拠法、紛争解決など)は引き続き効力を持つことが一般的です(例文③、例文④、例文⑨、例文⑩参照)。
この「残存条項」の範囲が不明確だと、契約終了後も意図しない義務(例:秘密保持期間が無限に続く、賠償責任が無制限になる)を負わされたり、逆に保護されるべき権利が失われたりするリスクがあります。
確認すべきポイント:
「どの条項が」「いつまで」残存するのか:
秘密保持、知的財産権、責任制限、紛争解決、監査権などの条項が、契約終了後も有効に存続する旨が明記されているか(remain in full force、continue in full force – 例文③、例文④)。
また、それぞれの残存期間(例:秘密保持義務は契約終了後5年間など)が具体的かつ適切に設定されているかを徹底的に確認しましょう。
「in full force and effect」の重要性:
in full force and effect(効力をもって有効である)という表現は、単に「有効である」だけでなく、「完全な効力を持って」という強調の意味合いを持ちます(例文⑨、例文⑩)。
残存条項でこの表現が使われている場合、契約終了後もその条項が一切減じることなく、完全に法的効力を持つことを意味するため、その内容が自社にとって適切か再確認が必要です。
ウ.「変更の発効(Effectiveness of Amendments)」と手続きの
厳格性
なぜ問題になるのか?:
契約締結後に内容を変更(Amendment / Variation)する場合、その変更がいつ、どのような条件で「有効になる」のかが不明確だと、無効な変更による紛争や、意図しない変更が有効になってしまうリスクがあります。
確認すべきポイント:
変更手続きの明確化:
契約書の変更が「書面によること(in writing)」、「両当事者の正式な代表者による署名が必要であること」(例文⑤参照)など、厳格な要件が定められているかを確認しましょう。
これにより、口頭での合意や担当者レベルでの非公式なやり取りによる意図しない契約変更を防ぐことができます。
エ.「with immediate effect(直ちに)」のインパクト
なぜ問題になるのか?:
契約解除の際に with immediate effect(直ちに効力を発して)という表現が使われる場合(例文⑪参照)、それは猶予期間なく即座に解除が成立することを意味します。
これは、相手方の重大な違反に対して迅速に対応できるメリットがある一方で、自社が違反した場合には、是正の機会なく契約が解除されるリスクを伴います。
確認すべきポイント:
with immediate effect が適用される解除事由が、極めて重大かつ明確な違反(例:支払不能、表明保証の重大な虚偽など)に限定されているかを確認しましょう。
それ以外の軽微な違反に対しては、是正期間(cure period)が設けられていることが望ましいです。
in force と in effect は、契約の「命」とも言える有効性に関わる重要な表現です。
これらの条項を深く理解し、契約のライフサイクル全体(締結、期間中、終了後)を見据えて慎重にレビューすることで、予期せぬ法的・経済的リスクを大幅に軽減し、安定したビジネス運営に貢献できます。
2.例文と基本表現:
(注):in forceとin effectの関連表現は、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1) come into force(有効になる、発効する)- 例文①
本契約は、当事者によって署名された時点で有効となります。
This Agreement shall come into force when duly signed by both Parties and shall continue for a period of two (2) years, unless previously terminated by either Party upon a written notice on thirty (30) days.
(訳):
本契約は、両当事者によって正式に署名された時点で有効となり、 30日前の書面通知をにより、いずれかの当事者が事前に解除した場合を除き、2年間継続するものとする。
(注):
*upon a written notice on thirty (30) daysは、30日前の書面通知をによりという意味です。
2) become into force(有効になる、発効する) – 例文②
基本合意書は、署名の日付に発効します。
This Memorandum of Understanding shall become into force from the date of its signature and shall remain in force for a period of twelve (12) months, automatically renewable for equal periods, unless any of the Parties gives written notice to the Other of its intention of not renewing it, at least sixty (60) days prior to the expiration of the current effective period.
(訳):
本基本合意書は、署名の日付に発効し、12か月間有効に存続し、その時点の有効期間が終了する少なくとも60日前に更新しない旨の意思表示を、いずれかの当事者が書面で他方に対し通知しない限り、自動的に同一期間、更新されるものとする。
(注):
*automatically renewable for equal periodsは、自動的に同一期間、更新されるという意味です。
3) remain in full force(有効に存続する) – 例文③
分離条項からです。契約のいずれかの部分が切り離されても、残りの部分は有効に存続します。
If any part of this Contract is found to be invalid or unenforceable, that part will be severed from this Contract and the remainder of the Contract shall remain in full force.
(訳):
本契約のいずれかの部分が無効又は執行不能と判明した場合、その部分は本契約から切り離され、契約の残りの部分は有効に存続するものとする。
(注):
*is found to be invalid or unenforceableは、無効又は執行不能と判明するという意味です。
4) continue in full force(有効に存続する) – 例文④
本条項は、契約の終了後も有効に存続します。
The provisions of this clause continue in full force after the termination of this agreement.
(訳):
5) take effect(有効になる、発効する) – 例文⑤
契約の変更は、代表者が書面で署名するまで、発効しません。
No alteration to or variation of this agreement shall take effect unless and until the same is in writing and signed on behalf of each of the parties by a duly authorized representative.
(訳):
本契約への変更は、正当な権限を有する代表者が、各当事者を代表して書面で署名するまで発効しないものとする。
(注):
*on behalf ofは、~を代表してという意味です。くわしくは、on behalf ofの意味と例文をご覧ください。
*a duly authorized representativeは、正当な権限を有する代表者という意味です。くわしくは、duly authorized representativesの意味と例文をご覧ください。
6) remain in effect(有効に存続する) – 例文⑥
契約は、開始日から雇用関係の期間中、有効に存続します。
This Agreement will begin on the Commencement Date and will remain in effect for the duration of the employment relationship.
(訳):
本契約は、契約開始日から発効し、雇用関係の期間中、有効に存続する。
7) continue in effect(有効に存続する) – 例文⑦
契約は、事前に解除されない限り、有効に存続します。
The term of this Agreement will commence on the Effective Date and will continue in effect unless earlier terminated pursuant to the terms of this Agreement.
(訳):
本契約の期間は発効日に開始となり、本契約の条件に従って事前に解除されない限り、有効に存続する。
8) become effective(有効になる、発効する) – 例文⑧
契約は、当事者が締結した時点から発効します。
This Agreement shall become effective when executed by both parties and shall remain in effect for six years or until terminated pursuant to Section 8 of this Agreement.
(訳):
本契約は、両当事者が締結した時点から発効し、6年間または本契約の第8条に従って解除されるまで、有効に存続する。
9) in full force and effect(効力を持って) – 例文⑨
分離条項からです。契約のいずれかの条項が切り離されても、他の条項は、効力を持ちます。
In the event that a court or other tribunal of competent jurisdiction at any time holds that any provision of this Agreement is illegal or unenforceable, such provision shall be severed from this Agreement, and the remainder of this Agreement shall not be affected thereby and shall continue in full force and effect.
(訳):
裁判所又は管轄する他の紛争解決機関が、本契約の条項が違法又は執行不能と判断した場合、その条項は本契約から切り離され、本契約の他の条項は影響を受けず、引き続き効力を持つものとする。
(注):
*holdsは、判断するという意味です。
*illegal or unenforceableは、違法又は執行不能という意味です。
10)remain full force and effect(引き続き有効である) – 例文⑩
本契約の条項に従って、秘密保持契約は引き続き有効です。
Notwithstanding anything to the contrary contained herein, the NDA shall remain in full force and effect in accordance with its terms.
(訳):
本契約の別段の定めにかかわらず、秘密保持契約はその条項に従って引き続き有効とする。
(注):
*Notwithstanding anything to the contrary は、 別段の定めにかかわらず の意味です。
11) with immediate effect(直ちに) – 例文⑪
一方当事者が表明保証に違反する場合、他方当事者は、通知して直ちに契約を解除できます。
If either Party is in violation of the representation/warranty in the previous paragraph, (i) the other Party shall have the right to terminate this Agreement, with immediate effect, upon written notice to the violating Party, and (ii) the violating Party shall indemnify the terminating Party against any damages incurred in connection with such termination.
(訳):
一方当事者が前項の表明/保証に違反している場合、(i)他方当事者は、違反当事者への書面通知により、直ちに本契約を解除する権利を有し、(ii)違反当事者は、かかる解除に関連して生じた損害について、解除当事者を補償するものとする。
(注):
*upon written notice toは、 への書面通知によりという意味です。
*the violating Partyは、違反当事者という意味です。
*the terminating Partyは、解除当事者という意味です。
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