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英文契約書で責任に関する表現であるjointly and severallyについて解説します。併せて、例文をとりあげ対訳をつけました。例文中の他の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1)jointly and severallyとは
jointly and severallyは、英文契約書で責任を表すフレーズのひとつです。
jointlyが連帯してを意味します。
severallyが個別にを意味します。
jointly and severallyになると、法律用語として、
連帯して(債務・責任)を負う
という意味になります。
2)jointly and severallyの使われ方
jointly and severallyは、多くの場合、
jointly and severally liable (連帯責任を負う)
の表現形式で使われます。(下記の例文①と例文③をご参照ください。)
3)jointly and severallyの実務上の法的効果と注意点
jointly and severallyは、特に債権者(貸主、賃貸人など)の立場から見ると、非常に強力なリスクヘッジの手段となります。
複数の当事者が連帯責任を負うことで、債権者は債権回収の確実性を大幅に高めることができます。
ア.連帯責任(Joint Liability)と個別責任(Several Liability)の
法的効果
連帯責任(Joint Liability):
複数の債務者(例:複数の賃借人、共同で借り入れをした複数の当事者)が、一つの債務全体について、全員で責任を負うことを意味します。
債権者は、誰か一人に、あるいは全員に、債務の全額を請求することができます。
債務者の一人が全額を支払った場合、その債務者は他の債務者に対して、自己の負担分を超えて支払った部分の返還を求めることができます(求償権)。
個別責任(Several Liability):
各債務者が、自己の負担部分についてのみ、個別に責任を負うことを意味します。
債権者は、各債務者に対して、それぞれの負担部分を超えて請求することはできません。
jointly and severally(連帯してかつ個別に)という表現は、この両方の意味を包括します。
つまり、債権者は、①すべての債務者にまとめて請求することも、②誰か一人に全額を請求することも、③数人に分けて請求することもできる、という極めて柔軟で強力な権利を持つことになります。
イ.債権者と債務者、それぞれの視点からの注意点
債権者側の視点:
債権者は、契約書にjointly and severally liableの条項を必ず含めるべきです。
これにより、共同債務者の一人の支払い能力が不足していても、他の債務者から全額を回収できるため、債権が焦げ付くリスクを大幅に減らすことができます。
特に、保証人を立てる契約では、例文③のように、保証人と主債務者がjointly and severallyで責任を負うことを明確に規定することが不可欠です。
債務者側の視点:
共同債務者となる当事者、特に保証人や連帯債務者は、この条項が持つ重大な意味を理解する必要があります。
jointly and severallyと規定されている場合、たとえ自分自身の負担分がわずかであっても、他の債務者が支払不能になった場合、債務全額の支払い義務を負うことになります。
したがって、この条項が契約に含まれている場合は、そのリスクを十分に認識し、連帯債務者間の分担割合を別の契約書で明確に定めておくなどの対策を講じることが重要です。
jointly and severallyは、責任の範囲を極めて広範に定める、「すべてのリスクを共有する」ことを意味する用語です。
契約を締結する際には、この表現が誰に、どのような法的義務を課すのかを正確に理解することが不可欠です。
2.例文と基本表現:
(注):jointly and severallyは、青文字で示し、基本表現をハイライトしています。
1)jointly and severallyの例文 ①
賃貸借契約からです。複数の賃借人が賃貸人に対し賃料の連帯責任を負うとしています。
All parties signing this Lease as Tenant shall be jointly and severally liable for all obligations of Tenant.
(訳):
*Lease:賃貸借契約という意味です。
*Tenant:賃借人という意味です。
この賃貸借契約について賃借人として署名するすべての当事者は、賃借人のすべての義務について、連帯して責任を負うものとする。
2) jointly and severallyの 例文 ②
金銭の借入契約からです。複数の借主が連帯して支払い債務を負います。
All liabilities and obligations of the Borrowers under this Agreement shall, whether expressed to be so or not, be joint and several.
(訳):
本契約に基づく借主のすべての責任および義務は、そうであると表明されているかどうかにかかわらず、連帯して負うものとする。
(注):
*All liabilities and obligations:すべての責任および義務という意味です。関連記事のresponsibilityとliability、obligationとdutyの意味と例文をご参考にしてください。
*whether expressed to be so or not:そうであると表明されているかどうかにかかわらずという意味です。
3) jointly and severallyの 例文 ③
賃貸借契約からです。賃借人の賃料支払い債務について、保証人が賃借人と連帯責任を負うとしています。
The Guarantor hereby further covenants with the Landlord that the Guarantor is jointly and severally liable with the Tenant for the fulfillment of all the obligations of the Tenant under this Agreement and agrees that the Landlord in the enforcement of its rights hereunder may proceed against the Guarantor as if the Guarantor was named as the Tenant in this Agreement.
(訳):
本契約に基づく賃借人のすべての義務を履行するために、保証人は、賃借人と連帯して複数の責任を負うことを地主とさらに別途契約し、本契約に基づきその権利を行使する家主が、あたかも保証人が本契約で賃借人に指定されたものとして、保証人に対して訴訟を起こすことがありうることに同意するものとする。
(注):
*Guarantor:保証人という意味です。
*covenants with:~と契約するという意味です。
*for the fulfillment of all the obligations:(賃借人の)すべての義務を履行するためにという意味です。
*in the enforcement of its rights:その(=本契約の)権利を行使する(家主)という意味です。
*hereunder:本契約に基づき、本契約に従ってという意味です。くわしくは、hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafterの意味と例文をご覧ください。
*proceed against:に対して訴訟を起こすという意味です。
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