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Master Sales Agreement(売買取引基本契約)とはどのような契約なのか、その基本となる一般条項と主要条項の要点は何かについて解説します。
(目次)
1.Master Sales Agreement(売買取引基本契約)とは
2.Master Sales Agreement(売買取引基本契約)の構成と
要点
1)Recitals(前文)
2)Definitions(定義)
3)Sale of Product/Individual Contracts(製品の販売・
個別契約)
4)Non-binding Forecast(非拘束的予測)
5)Prices(価格)
6)Deliveries and Inspection(引渡しと検査)
7)Payment(支払い)
8)Term and Termination(期間と解除)
9)Warranty and Limitation of Liability(保証と責任
制限)
10)Intellectual Property Infringement(知的財産権
の侵害)
11)Exhibit(別紙)
3.Master Sales Agreementが継続的取引に提供する
「効率性」と「法的安定性」
1.Master Sales Agreement(売買取引基本契約)とは
Master Sales Agreementは、
売買取引基本契約
という意味です。
売買取引基本契約とは、
売買取引が継続して繰り返される場合に締結される契約形態
のことです。
個別の売買契約は、売買取引基本契約に基づいて、
当事者間での注文書と注文請書の取り交わし
によって成立します。
個別の売買契約の基本的条件については、原則、
売買取引基本契約が適用されます。
なお、売買取引基本契約は、他に、
Basic Sales Transaction Agreement
2.Master Sales Agreement(売買取引基本契約)の構成と要点
Master Sales Agreement(売買取引基本契約)において、基本となる一般条項と 主要条項の構成は、以下の項目1)から項目11)とおりです。こらら各項目は、英文契約書の契約条項に該当します。
(ご参考):
一般条項と主要条項については、くわしくは、
・英文契約書の構成(structure of contract )
・General Provisions(一般条項)とPrincipal provisions (主要条項)
をご覧ください。
1)Recitals(前文):
Recitalsは、英文契約書に置かれる前文という意味です。
前文とは、契約の締結に至るまでの経緯、背景などを説明した条文のことをいいます。
ここでは、売主と買主が、
Master Sales Agreement(売買取引基本契約)を締結するに至った経過
を記載します。
(ご参考):
前文については、くわしくは、
RecitalsとWITNESSETHとWhereas clauseの意味と例文
2)Definitions(定義):
Definitions(定義)は、
当事者間で、用語の意味を正確に定義することにより、その解釈に食い違いがおきないようにする
ことを狙いとする条項です。
Master Sales Agreement(売買取引基本契約)においては、以下の①から③の用語がキーワードとなります。
・項目6)Delivery and Inspections(引渡しと検査)に定める
①Delivery Date(引渡し日)
・項目3)Sale of Product / Individual Contracts(製品の販売・個別契約)に定める
②Individual Contract(個別契約)
・別紙に記載する売買される
③Product(製品)
これらの用語の定義を行います。
(ご参考):
用語の定義については、くわしくは、
3)Sale of Product / Individual Contracts(製品の販売・個別契約)
以下について、取り決めます。
①売主と買主の製品の売買取引は、Individual Contract(個別契約)の締結によって行われること。
②買主は注文書を発行し、売主は注文請書を送付することによりIndividual Contract(個別契約)が成立すること。
③Master Sales Agreement(売買取引基本契約)の規定がIndividual Contract(個別契約)に適用されること。
4)Non-binding Forecast(非拘束的予測)
買主は、売主に対して、
四半期ごとに非拘束的な製品の販売予測を提出する
ことを取り決めます。
(ご参考):
非拘束的予測については、くわしくは、
Non-Binding Forecasts(非拘束的予測の条項)
5)Prices(価格)
買主に対する製品の価格の貿易取引条件を定めます。
たとえば、インコタームズ2010のEXW(倉庫引渡し)の条件とするなどです。
(ご参考):
貿易取引条件については、
6)Deliveries and Inspection(引渡しと検査)
以下について、取り決めます:
①売主は、個別契約に基づくDelivery Date(引渡し日)までに買主に製品を引き渡すこと。
②買主は、製品の受領後、直ちに受入れ検査を実施し、指定日以内に、受入れ検査の結果を売主に通知すること。
(ご参考):
製品の引渡しについては、くわしくは、
をご覧ください(例文あり)。
(ご参考):
受入れ検査については、くわしくは、
7)Payment(支払い)
以下について、取り決めます。
①売主は、買主に個別契約の請求書を送付すること。
②買主は、請求書の受領後、指定日までに送金により代金を支払うこと。
③支払期限までに代金の支払いがない場合は、遅延損害金が発生すること。
④製品の税金は買主負担とすること。
(ご参考):
代金の支払いについては、
8)Term and Termination(期間と解除)
以下について、取り決めます:
①契約の有効期間と自動更新の条件。
②いずれかの当事者に重大な債務不履行があり、是正の通知後も債務不履行が解消しない場合の契約解除や期限の利益喪失。
③不可抗力が生じた場合の契約解除。
(ご参考):
契約の有効期間と自動更新については、くわしくは、
をご覧ください。
(ご参考):
重大な債務不履行については、くわしくは、
をご覧ください(例文あり)。
(ご参考):
契約解除については、くわしくは、
をご参考にしてください(例文あり)。
(ご参考):
期限の利益喪失については、くわしくは、
Acceleration(期限の利益喪失条項)をご参考にしてください(例文あり)。
(ご参考):
不可抗力については、くわしくは、
Force Majeure(不可抗力条項)をご参考にしてください(例文あり)。
9)Warranty and Limitation of Liability(保証と責任制限)
以下について、取り決めます:
①Warranty(保証):
売主は、一定期間、製品がカタログの仕様に合致することを保証するが、それ以外の明示・黙示の保証は排除すること。
②Limitation of Liabilities(責任制限):
重要な契約違反を除き、買主が売主の債務不履行により被った損害賠償の制限。
(ご参考):
明示・黙示の保証の排除については、くわしくは、
implied warrantyとexpress warrantyの意味と例文と
Warranty Disclaimer(保証の排除・免責条項)
をご覧ください(例文あり)。
(ご参考):
責任制限については、くわしくは、
Limitation of Liability(責任制限条項)
10)Intellectual Property Infringement(知的財産権の侵害)
買主の製品の利用について、
第三者の知的財産権を侵害すると第三者から請求や訴訟があった場合は、売主が防御し補償する
ことを取り決めます。
(ご参考):
知的財産権については、
Intellectual Property Rights(知的財産権条項)
Exhibit(別紙)
別紙にて、
項目2)Definitions(定義)で定義する、
売主が販売するProduct(製品)の内容の詳細
を規定します。
(ご参考):
別紙については、
をご参考にしてください。
3.Master Sales Agreementが継続的取引に提供する
「効率性」と「法的安定性」
Master Sales Agreement(売買取引基本契約)は、単に個別の取引条件を定めるだけでなく、継続的な売買取引において、ビジネスの「効率性」と「法的安定性」を両立させるための戦略的なツールとして機能します。
取引効率の大幅な向上:
Master Sales Agreementを締結することで、その後の個別の売買取引(注文書と注文請書のやり取り)において、毎回ゼロから契約条件を交渉し、詳細な契約書を作成する手間が省けます。
一般的な取引条件、支払い条件、保証、責任制限といった基本事項はすべて基本契約でカバーされているため、個別の取引では製品の種類、数量、納期、価格といった最小限の変更点のみを記載すれば済みます。
これにより、取引プロセスが大幅に簡素化され、時間とコストが削減されます。
これは、特に取引頻度が高い場合や、扱う製品の種類が多い場合にその真価を発揮します。
法的リスクの一元的な管理と安定性の確保:
個々の取引ごとに異なる条件が適用されることによる法的解釈の不整合や、紛争リスクの発生を未然に防ぎます。
Master Sales Agreementは、すべての個別取引に共通する「法的根拠」となり、以下のような形で法的安定性を提供します。
リスク配分の明確化:
保証、責任制限、知的財産権といった重要なリスク関連条項を基本契約で一元的に定めることで、両当事者の責任範囲が明確になります。
定義の一貫性:
用語の定義(Definitions条項)が基本契約で統一されるため、個別契約間で用語の解釈に齟齬が生じることを防ぎます。
紛争解決の統一:
万一紛争が発生した場合でも、準拠法や紛争解決手段(裁判管轄、仲裁など)が基本契約で定められているため、個別の取引ごとに異なるルールが適用される混乱を避け、迅速かつ一貫した解決を目指せます。
長期的なビジネス関係の構築:
Master Sales Agreementは、単発の取引ではなく、長期的なパートナーシップを前提とした枠組みを提供します。
これにより、両当事者は安心して継続的な取引関係を構築し、サプライチェーンの安定化や共同での事業展開といった戦略的な取り組みを進めることが可能になります。
このように、Master Sales Agreementは、単に「取引の基本条件を定める」だけでなく、「効率的かつリスクを低減した形で、継続的なビジネス関係を構築・維持するための包括的な枠組み」を提供します。
Master Sales Agreementの真の価値は、日々の取引の円滑化と、予期せぬ法的トラブルからの保護という二点に集約されると言えます。
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