Power of Attorney(委任状)とProxy(委任状)

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英文契約書に関係する用語であるPower of Attorneyについて解説します。似た用語のProxyについても解説します。

(注):
当事務所では、公正証書作成、アポスティーユ等の公証サービス代行に係わる業務は(英文・日本語いずれも)承っておりません。ご了承ください。

1.Power of Attorneyとは

Power of Attorneyとは、委任状のことを意味します。

委任状とは、本人が一定の事項の手続きや処理の権限を、第三者に委任したことを証明する書面のことをいいます。 

Power of Attorney(委任状)は、略してPOAと呼ばれます。

また、別名でLetter of Attorney(委任状)とも呼ばれます。

2.PrincipalとAgent

Power of Attorney(委任状)で、権限を委任する側の者をPrincipal(本人)といいます。

一方、本人から権限の委任を受けて、本人に代わって委任行為を行う者をAgent(代理人)といいます。

Agent(代理人)は、本人が指名すれば、弁護士である必要はなく、一般人もなることができます。

なお、Agent(代理人)は、Attorney-in-fact(代理人)とも呼ばれます。

3.Power of Attorneyの内容

Power of Attorney(委任状)の中身は、以下のようになります。

日本の委任状とほぼ同じですが、英文の委任状の場合、準拠法の項目がはいります。

①Principal(本人)の氏名、住所

②Agent(代理人)の氏名、住所

③Agent(代理人)に与えられる委任事項、権限の具体的な内容

④Power of Attorney(委任状)の有効期間

⑤Power of Attorney(委任状)の準拠法(国や州)

⑥Principal(本人)の署名

⑦Agent(代理人)の署名

⑧Notary Public(公証人)によるNotarization(公証)*米国の場合です。

4.Power of Attorneyの種類

Limited Power of Attorney:

限定委任状と呼ばれます。権限の範囲を限定的に指定して、代理人にあたえるものです。

General Power of Attorney:

全権委任状とか包括委任状と呼ばれます。限定的な行為の権限でなく、広範囲な強い権限を代理人にあたえるものです。

Durable Power of Attorney :

永続的委任状と呼ばれます。General Power of Attorneyより更に強い権限が代理人に与えられ、万が一、本人が無能力となった場合でも、持続的な効力を持つ委任状です。

5.英文契約書と委任状

契約書を締結する者が代表取締役でない場合に、会社を代表して契約書を締結する権限を有しているのかを確認するために、相手方から、Power of Attorney(委任状)を提出してもらうことは有効な手立てとなります。

6.Proxyについて

Power of Attorneyとよく似た用語に、Proxyがあります。

Proxyは、株主総会で議決権を行使するために代理出席する者に発行される委任状のことをいいます。

そして、Proxy(委任状)によって、株主総会に代理出席する者も、Proxy(代理人)と呼ばれます。

7.Power of AttorneyとProxyにおける実務上の重要点と留意点

Power of AttorneyとProxyは、いずれも「代理権を付与する書面」という共通点がありますが、その目的、適用される場面、そして実務上の留意点には明確な違いがあります。

これらの違いを理解することは、適切な書面を選択し、法的トラブルを回避するために非常に重要です。

ア.Power of Attorneyの実務上の留意点

Power of Attorney(POA)は、財産管理、不動産取引、訴訟関連など、幅広い法的事項において特定の個人または法人が他の個人・法人に代理権を付与する際に用いられます。

権限の具体性と明確性:

POAで最も重要なのは、代理人に付与する権限の範囲を極めて具体的に、かつ明確に記載することです。

「あらゆる事項を委任する」といった包括的な表現(General POA)は、一部の法域でその有効性が制限されたり、意図しない解釈を招いたりするリスクがあります。

特に、銀行口座の開設、不動産の売買、契約の締結、訴訟の提起・和解など、財産や法的権利に重大な影響を与える行為については、その権限を明確に列挙することが不可欠です。

Limited POAを活用し、必要な権限のみを与えるのが安全です。

準拠法と公証(Notarization)の要否:

POAは、適用される準拠法(国や州の法律)によってその有効性や要件が大きく異なります。

例えば、米国では州法によって要件が異なり、多くの場合、公証人(Notary Public)による公証(Notarization)や、証人の署名が必要となります。

国際的な取引でPOAを使用する場合、委任行為が行われる国の法律と、Principalの所在地国の法律の両方で有効であるかを確認することが重要です。

場合によっては、アポスティーユ認証や領事認証が必要となることもあります。

有効期間と終了事由:

POAの有効期間を明確に定めることは非常に重要です。

特定の期間が過ぎれば自動的に失効する旨を記載したり、特定の行為が完了すれば失効する旨を定めたりします。

また、Principalの死亡、代理人の死亡、Principalによる撤回(Revocation)など、有効性が終了する事由についても明記しておくべきです。

Durable Power of Attorneyの特殊性:

Durable POAは、Principalが精神的な能力を喪失した場合でも効力を維持するという特殊性から、非常に強い効力を持つため、その作成には細心の注意が必要です。

高齢化社会において、将来の財産管理や医療判断のために用いられることが多く、濫用を防ぐための法的保護措置(例:医師の診断書)が求められることがあります。

イ.Proxyの実務上の留意点

Proxyは、主に会社法上の文脈、特に株主総会における議決権行使の代理に特化して用いられる委任状です。

目的の限定性:

Proxyは、特定の会議(例:株主総会)における特定の議決権行使のためにのみ使用されることが一般的です。

Power of Attorneyのように広範な法的行為に用いられることはありません。

書式の標準化と規制:

上場企業の場合、Proxyの書式や送付方法、記載事項などは、証券取引所の規則や会社法(例:日本の会社法、米国のSEC規則)によって厳しく規定されています。

これらの規制を遵守しなければ、議決権行使が無効となる可能性があります。

代理人の特定と指示:

Proxyでは、代理人(Proxy Holder)を指名し、各議案に対する議決権行使の指示(賛成、反対、棄権など)を具体的に記載することが求められます。

株主が個別の指示をしない場合に、代理人が裁量で議決権を行使できる旨を定める場合もありますが、その旨を明確に通知する必要があります。

委任状争奪戦(Proxy Contest):

敵対的買収などにおいて、経営陣と対立する側が株主からProxyを収集し、議決権を行使することで経営権を掌握しようとする「委任状争奪戦」が発生することもあります。

これはProxyが持つ、企業統治における重要な役割を示すものです。

ウ.国際取引における共通の確認事項

国際的な契約や取引において、Power of AttorneyやProxyを使用する際は、以下の共通事項にも注意が必要です。

言語:

委任状が英語以外の言語で作成されている場合、公的な翻訳とその認証(公証、アポスティーユなど)が必要となることがあります。

相手方からの要請:

取引相手が委任状の提出を求める場合、相手方が求める形式や要件(例:特定の日付、公証の有無、特定の文言)があるかを確認し、それらに沿って作成する必要があります。

Power of AttorneyとProxyは、法的な権限移譲という点で共通していますが、その適用範囲と詳細な要件は大きく異なります。

れぞれの書類が持つ法的意味合いと実務上の影響を正確に理解し、ケースに応じて適切な形で作成・運用することが、法的リスクを管理し、円滑なビジネス遂行につながります。

 

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