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英文契約書のSales Agreement(売買契約)とは、どのような契約なのか、その基本となる一般条項と主要条項の要点は何かについて解説します。
(目次)
1.Sales Agreement(売買契約)とは
2.Sales Agreement(売買契約)の構成と要点
1)Recitals(前文)
2)Definitions(定義)
3)Sale of Product(製品の販売)
4)Deliveries and Inspection(引渡しと検査)
5)Payment(支払い)
6)Termination(解除)
7)Warranty and Limitation of Liability(保証と責任
制限)
8)Intellectual Property Infringement(知的財産権の
侵害)
9)Exhibit A(別紙)
11)Exhibit B(別紙)
3.Sales Agreementにおける実務上の重要点と交渉の視点
1.Sales Agreement(売買契約)とは
Sales Agreement(売買契約)とは、
売主と買主が製品をスポット(一回限り)で、売買する契約
のことをいいます。
これに対して、
売主と買主が製品を5年間など一定期間にわたって売買を継続して繰り返す契約形態は、
Master Sales Agreement(売買取引基本契約)
2.Sales Agreement(売買契約)の構成と要点
Sales Agreement(売買契約)において、基本となる一般条項と 主要条項の構成は、以下の項目1)から項目10)のとおりです。
これら各項目は、英文契約書の契約条項に該当します。
(ご参考):
一般条項と主要条項については、くわしくは、
・英文契約書の構成(structure of contract )
・General Provisions(一般条項)とPrincipal provisions (主要条項)
をご覧ください。
以下に、各条項の要点についての解説が続きます。
なお、ここでは、売主である日本の企業が海外の買主に、製品を輸出して販売することを契約の内容として解説します。
1)Recitals(前文):
Recitalsとは、英文契約書に置かれる前文という意味です。
前文とは、契約の締結に至るまでの経緯、背景などを説明した条文のことをいいます。
ここでは、売主と買主が、
Sales Agreement(売買契約)を締結するに至った経過
を記載します。
(ご参考):
前文については、くわしくは、
RecitalsとWITNESSETHとWhereas clauseの意味と例文
2)Definitions(定義):
Definitions(定義)とは、
当事者間で、用語の意味を正確に定義することにより、その解釈に食い違いがおきないようにする
ことを狙いとする条項です。
Sales Agreement(売買契約)においては、以下の用語がキーワードとなります。
・項目4)Delivery and Inspections(引渡しと検査)に定める
Delivery Date(引渡し日)
・別紙Aに記載するProduct(製品)
・項目3)Sale of Product(製品の販売)に定める
製品のPurchase Price(価格)
これらの用語の定義を行います。
(ご参考):
用語の定義については、くわしくは、
3)Sale of Product(製品の販売)
以下について、取り決めます。
①売主が買主に製品を販売すること。
②海外の買主が製品を購入すること。
③製品のPurchase Price(価格)の貿易取引条件。
貿易取引条件とは、たとえば、インコタームズ2010のEXW(倉庫引渡し)などです。
(ご参考):
貿易取引条件については、
4)Deliveries and Inspection(引渡しと検査)
以下について、取り決めます。
①売主は、引渡し日までに買主に製品を引き渡すこと。
②買主は、製品の受領後、速やかに受入れ検査を実施し、指定日以内に、受入れ検査の結果を売主に通知すること。
(ご参考):
製品の引渡しについては、くわしくは、
をご覧ください(例文あり)。
(ご参考):
受入れ検査については、くわしくは、
5)Payment(支払い)
以下について、取り決めます。
①売主は、買主に請求書を送付すること。
②買主は、請求書の受領後、指定日までに送金により代金を支払うこと。
③支払期限までに支払いがない場合は、遅延損害金が発生すること。
④製品の税金は、買主負担とすること。
(ご参考):
代金の支払いについては、
6)Termination(解除)
以下について、取り決めます。
①いずれかの当事者に、重大な債務不履行があり、是正の通知後も債務不履行が解消しない場合の契約解除。
②期限の利益喪失が生じた場合の契約解除。
③不可抗力が生じた場合の契約解除。
(ご参考):
重大な債務不履行については、くわしくは、
をご覧ください。
(ご参考):
契約解除については、くわしくは、
をご覧ください(例文あり)。
(ご参考):
期限の利益喪失については、くわしくは、
をご覧ください(例文あり)。
(ご参考):
不可抗力については、くわしくは、
7)Warranty and Limitation of Liability(保証と責任制限)
以下について、取り決めます:
①Warranty(保証):
売主は、製品が一定期間、別紙Bに記載する仕様に合致することを保証するが、それ以外の明示・黙示の保証は排除すること。
②Limitation of Liabilities(責任制限):
重要な契約違反を除き、買主が売主の債務不履行により被った損害賠償の制限。
(ご参考):
明示・黙示の保証の排除については、くわしくは、
implied warrantyとexpress warrantyの意味と例文と
Warranty Disclaimer(保証の排除・免責条項)
をご覧ください(例文あり)。
(ご参考):
責任制限については、くわしくは、
Limitation of Liability(責任制限条項)
8)Intellectual Property Infringement(知的財産権の侵害)
買主の製品の利用について、
第三者の知的財産権を侵害すると第三者から請求や訴訟があった場合は、売主が防御し補償する
ことを取り決めます。
知的財産権については、
Intellectual Property Rights(知的財産権条項)
Exhibit A(別紙)
別紙Aにて、
項目2)のDefinitions(定義)で定義する
売主が販売するProduct(製品)の名称や品番
を規定します。
(ご参考):
別紙については、
Exhibit B(別紙)
別紙Bにて、
項目7)のWarranty(保証)で取り決める
Product(製品)の仕様
を規定します。
3.Sales Agreementにおける実務上の重要点と交渉の視点
Sales Agreementは、企業の収益の根幹をなす最も基本的な契約類型であり、その条項一つ一つがビジネスリスクと利益に直結します。
基本的な構成要素を押さえた上で、さらに踏み込んだ実務的且つ周到な視点を持つことが、より有利な契約締結と円滑な取引の実現に繋がります。
ア.国際取引における追加の考慮事項
製品の輸出入を伴う国際的な売買契約においては、国内取引にはない特有のリスクと考慮事項が存在します。
為替リスク(Currency Risk):
価格がどの通貨で決定されるか、支払いのタイミングと為替レートの変動リスクをどちらが負担するかは重要な交渉ポイントです。
為替予約(Forward Exchange Contract)の利用や、特定の変動幅を超えた場合の価格調整条項(Price Adjustment Clause)の導入なども検討されます。
関税・税金(Customs Duties and Taxes):
製品が国境を越える際に発生する関税や輸入消費税などをどちらが負担するかを明確にする必要があります。
インコタームズの選択がこれを部分的に規定しますが、契約書でさらに詳細を定めることが望ましいです。
貿易規制・輸出管理(Trade Regulations and Export Controls):
軍事転用可能な二重用途品目(dual-use items)や、特定の国・地域への輸出が制限される品目(export-controlled items)など、各国の輸出入管理規制(Export Control Regulations)に抵触しないかを確認し、遵守義務を明確にする条項を含めることが重要です。
売主は、買主に対し、該当製品の再輸出規制への遵守を求める最終用途証明書(End-Use Certificate)等の提出を求めることもあります。
準拠法(Governing Law)と紛争解決(Dispute Resolution):
国際契約では、どの国の法律を準拠法とするか、そして紛争が発生した場合にどこの裁判所で解決するか(Jurisdiction)、または仲裁(Arbitration)を利用するかは、非常に重要な交渉点です。
自社にとって馴染み深く、予測可能性の高い法域を選択することが望ましいです。
仲裁は、非公開で国際的な強制執行が比較的容易というメリットがあります。
国際物品売買契約に関する国連条約(CISG):
日本はCISG(ウィーン売買条約)を批准していますが、多くの国も同様です。
CISGは国内法に優先して適用される国際的な売買ルールを定めており、契約書でCISGの適用を排除するか否か(Exclusion of CISG)を明確に規定することが重要です。
イ.契約交渉における主要な論点
売買契約の交渉では、以下の点に特に注力することで、自社の利益を最大化し、リスクを低減できます。
価格設定と支払条件(Pricing and Payment Terms):
価格の安定性:
長期契約の場合は、原材料価格の変動や為替レートの変動に応じた価格改定条項(Price Revision Clause)の有無と条件を慎重に検討します。
支払方法とタイミング:
信用状(Letter of Credit: L/C)、電信送金(Wire Transfer)、手形(Bill of Exchange)など、リスクとコストを考慮した最適な支払方法を選択します。
遅延損害金(Late Payment Interest)の利率も明確にします。
リスクと所有権の移転(Passage of Risk and Title):
製品の物理的な損害のリスク(Risk of Loss)がいつ、どこで買主に移転するか、および製品の所有権(Title)がいつ買主に移転するかは、契約の核心的な部分です。
インコタームズがこれを規定しますが、契約書内でさらに詳細な条件を定めることもあります。
特に、支払いが完了するまで所有権を売主が保持する所有権留保(Retention of Title)条項は、代金回収リスクを軽減するために有効です。
保証の範囲と免責(Scope of Warranty and Disclaimers):
売主としては、提供する保証の範囲をできる限り限定し、黙示の保証(implied warranty)を明確に排除(disclaim)することが重要です。
一方、買主としては、受け取る製品が期待通りの品質と性能を持つことを保証してもらうため、保証の範囲を広げ、適切な期間を設定するよう交渉します。
責任制限(Limitation of Liability):
万が一、契約違反や製品欠陥により損害が発生した場合に、売主(または買主)が負う損害賠償額の上限を定める条項です。
通常、契約金額や保険付保額を上限とすることが多いですが、利益喪失や間接損害(indirect damages, consequential damages)の賠償を排除(exclude)する規定を入れることが、売主側にとって非常に重要です。
ウ.電子契約への対応
現代では、Sales Agreementも電子契約(Electronic Contract)として締結されることが増えています。
電子署名の有効性:
子署名(Electronic Signature)やデジタル署名(Digital Signature)が、法的に有効な署名と認められるか否かは、契約締結地および準拠法の国の法律によって異なります。
事前にその国の電子署名関連法規を確認し、適切な電子署名サービスを利用することが重要です。
記録の真正性:
電子契約の場合でも、契約書の非改ざん性、署名者の特定、タイムスタンプなどの真正性を確保することが、紛争時の証拠能力を担保する上で不可欠です。
Sales Agreementの交渉と締結は、単に製品を売買するだけでなく、将来のビジネス関係、リスク管理、そして企業の法的安全性を形作る重要なプロセスです。
これらの実務的且つ周到な視点を持つことで、より強固な、ビジネスの成功に資する契約を構築できるでしょう。
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