Notice(通知条項)

英文と日本語のビジネス契約書の作成・チェック(レビュー)・翻訳の専門事務所です。(低料金、全国対応)英文契約書の 一般条項のひとつである Notice(通知条項)について解説します。いくつかの例文に要点と対訳と語注をつけました。

1.解説:

1)Notice(通知条項)とは

Notice(通知条項)とは、

契約の相手方に対する通知の効力が発生する時期、通知の方法・手段、通知の宛先の所在などを定めた一般条項

のことをいいます。

Notice(通知条項)は、契約の法的効力の発生に関係します。

したがって、当事者の相手方との間で、たとえば、以下のような場面で、重要な意味を持つことになります。

クレームの発生、不可抗力事由の発生、契約の譲渡など、契約履行に係る重大事項の発生を相手方に知らせる

契約の不履行による解除を相手方に意思表示する

契約の自動更新や更新拒絶の意思表示をする

2)Notice(通知条項)の内容

Notice(通知条項)で規定される主な項目は、以下とおりです。

通知の効力が発生する時期

通知の方法・手段

通知の宛先の所在(代表者、会社名、住所、ファクシミリ番号、等)

3)Notice(通知条項)における実務上の留意点と法的意義

Notice(通知条項)は、一見すると定型的な「おまけ」の条項に見えがちですが、契約上の権利義務の行使や、紛争発生時の法的判断において極めて重要な役割を果たします。

この条項の解釈を誤ったり、適切に遵守しなかったりすると、意図した通知が法的に無効とみなされ、重大な不利益を被る可能性があるため、契約レビューや実務運用において細心の注意を払う必要があります。

ア.通知の「有効到達」がもたらす法的効果

権利行使の前提条件:

契約解除、保証請求、契約期間の更新拒絶、損害賠償請求の意思表示など、契約上の多くの権利行使は、相手方への有効な通知の到達を前提としています。

通知条項は、この「有効な通知」がいつ、どのような方法で到達したとみなされるかを明確に定めます。

期限の起算点:

通知の有効到達日は、契約上の様々な期限の起算点となることがほとんどです。

例えば、「通知受領後30日以内に是正しなければ解除できる」といった条項の場合、通知がいつ有効に到達したかによって、相手方の是正期間や解除権行使の可否が決定されます。

例文①例文②例文③のように、「投函後X日経過後」や「配達時」といった具体的なタイミングが規定されているのはこのためです。

証拠としての重要性:

紛争になった際、通知が有効に到達したことの証拠は極めて重要になります。そのため、配達証明付き郵便(certified mail, return receipt requested)や受信確認付き電子メール(confirmed electronic mail)、宅配便(overnight courier with written verification of receipt)など、送付・受領の記録が残る方法が通知方法として指定されることが多いです。

イ.通知方法に関する実務上の注意点

電子メール(Electronic Mail)の有効性:

近年、ビジネスにおいて電子メールが主要なコミュニケーション手段となっているため、Notice条項でも電子メールを有効な通知方法として規定するケースが増えています(例文①例文③)。

しかし、電子メールは受信確認の確実性が郵便や宅配便に劣るため、「受信者が通常の営業時間内に受信確認をした場合のみ有効」例文①)や、「受信確認がない場合は翌営業日」といった条件が付けられることが一般的です。

重要な通知に関しては、電子メールに加えて書面(例:郵便、宅配便)でも送付する二重送付が、より確実な方法として推奨されます。

通知先(Address for Notices)の正確性:

通知条項には、通知先の住所、会社名、担当部署名、場合によっては担当者名や電子メールアドレス、ファクシミリ番号が具体的に記載されます。

これらの情報は、契約期間中に変更される可能性があるため、通知先の変更があった場合には、必ず本条項で定められた方法で相手方に変更を通知することも規定されます。

通知先が古い情報であったために通知が相手方に到達せず、通知した側が不利益を被るという事態は避けなければなりません。

送付者側の義務とリスク:

Notice条項の規定は、通知を送る側の義務を定めています。

例えば、「書面によるものとし(shall be in writing)」という規定は、口頭での通知は無効であることを意味します。

また、指定された送付方法(例:書留郵便)を遵守しなかった場合、たとえ相手方が実際に通知を受け取ったとしても、法的に有効な通知とはみなされないリスクがあります。

ウ.交渉におけるNotice条項の重要性

自社の実務に合わせた方法の指定:

契約交渉の際には、自社の通知送付・受領の実務体制(例:電子メールの利用頻度、郵便物管理体制)に合った通知方法を規定するよう交渉すべきです。

例えば、電子メールでの通知を迅速に有効としたい場合、その条件を明確にする必要があります。

通知期間の検討:

特定の通知(例:契約解除通知)においては、相手方への準備期間を考慮した通知期間が定められることがあります。

この期間が短すぎないか、または長すぎないかを、自社のビジネス上の影響を考慮して検討することも重要です。

Notice条項は、契約の「バックオフィス」的な存在ですが、その適切性が契約上の権利義務の実現に直結します。

契約締結時だけでなく、契約のライフサイクルを通じて、通知を出す際、受ける際に、この条項の規定を常に意識し、遵守することが、法的リスクを管理する上で不可欠な実務となります。

2.例文と基本表現:

(注):以下の例文①~例文③は、いずれも通知の宛先の代表者、会社名、住所、ファクシミリ番号等が、後に続くのですが、この部分を省略しています。ご承知おきください。

(注):基本表現をハイライトしています。

1) Notice(通知条項)の例文①

直接手渡し、営業時間内のメール又はファクシミリ、書留や配達証明付き等の郵便は5日経過後、宅配便は1日経過後に通知が有効になるとしています。

All notices and other communications given or made pursuant to this Agreement shall be in writing and shall be deemed effectively given: (a) upon personal delivery to the party to be notified, (b) when sent by confirmed electronic mail or facsimile if sent during normal business hours of the recipient, and if not so confirmed, then on the next business day, (c) five (5) days after having been sent by registered or certified mail, return receipt requested, postage prepaid, or (d) one (1) day after deposit with a nationally recognized overnight courier, specifying next day delivery, with written verification of receipt. All communications shall be sent:

(訳):

本契約に従って行われるすべての通知その他通信は、書面によるものとし、以下の条件にて効力が生じるものとみなされる:(a)通知の宛先である当事者に直接配達されたとき、(b)受信者の通常の営業時間に、そうではない場合は次の営業日に、受信確認付きの電子メールまたはファクシミリで送信されたとき、 c)受取証明付き郵便料金前払いの書留郵便または配達証明郵便で送付されてから5日経過したとき、または(d)書面の受領証明付き翌日配達の指定で全国的に認められた夜間宅配便に預けられ、1日経過したとき。すべての通信は、以下の宛先とする:

(注):

*pursuant toは、(本契約)に従ってという意味です。

*be in writingは、書面でという意味です。 

*be deemed effectively givenは、以下の条件で効力が生じるものとみなされるという意味です。

upon personal deliveryは、直接配達されたときという意味です。

confirmed electronic mail or facsimileは、受信確認付きの電子メールまたはファクシミリという意味です。

registered or certified mail, return receipt requested, postage prepaidは、受取証明付き郵便料金前払いの書留郵便または配達証明郵便という意味です。

deposit with a nationally recognized overnight courierは、全国的に認められた翌日配達宅配便に預けるという意味です。

with written verification of receiptは、書面の受領証明付きという意味です。

2) Notice(通知条項)の例文②

例文①と似た通知ですが、郵便は48時間後に通知が有効になるとしています。

Any notice required or permitted by this Agreement shall be in writing and shall be deemed sufficient upon receipt, when delivered personally or by courier, overnight delivery service or confirmed facsimile, or 48 hours after being deposited in the U.S. mail as certified or registered mail with postage prepaid, if such notice is addressed to the party to be notified at such party’s address or facsimile number as set forth below or as subsequently modified by written notice.

(訳):

本契約で必要もしくは許可される通知は書面によるものとし、かかる通知が、当事者宛てで以下に定めた、または書面の通知でその後修正された当事者の住所もしくはFAX番号で通知することを条件とし、直接に手渡しもしくは宅配便、翌日配達サービス、配信確認付きファックスで配信・配達された場合、または郵便料金前払いで配達証明もしくは書留郵便にて米国郵便で投函され48時間経過した場合に、配達されたみなされる。

(注):

delivered personallyは、直接に手渡すという意味です。

*being depositedは、(米国郵便で)投函されるという意味です。

*as set forth below or as subsequently modified by written noticeは、以下に定めた、または書面の通知でその後修正されたという意味です。

3) Notice(通知条項)の例文③

例文①、②と似た内容です。郵便は3日後に通知が有効になるとしています。

All notices, requests, demands and other communications hereunder shall be in writing and shall be deemed to have been given: (i) when delivered personally, (ii) the next Business Day, if sent by a nationally-recognized overnight delivery service (unless the records of the delivery service indicate otherwise), (iii) three Business Days after deposit in the United States mail, certified and with proper postage prepaid, addressed as follows; or (iv) upon delivery if sent by electronic mail or facsimile during a Business Day (or on the next Business Day if sent by electronic mail or facsimile after the close of normal business hours or on a non-Business Day):

(訳):

本契約に基づくすべての通知、催告、要請、およびその他の通信は書面で行われ、次のような場合に配達されたとみなされる:(i)直接に手渡しされた場合、(ii)全国的に認められた翌日配達サービスによって送付された場合は、(配送サービス記録に別の表示がない限り)翌営業日 (iii)配達証明付き郵便料金前払いで以下の宛先にて米国郵便で投函の後3営業日後、または(iv)営業日中に電子メールもしくはファックスで送信された場合(または通常の営業時間終了後もしくは営業日以外に電子メールもしくはファックスで送信された場合は翌営業日)の配信時に

(注):

*requests, demandsは、それぞれ、催告、要請という意味です。

shall be deemed to have been givenは、配達されたとみなされるという意味です。

indicate otherwiseは、別の表示がない限りという意味です。

after deposit in the United States mailは、米国郵便で投函の後という意味です。

certified and with proper postage prepaidは、配達証明付き郵便料金前払いでという意味です。

*upon deliveryは、(電子メールもしくはファックスの)配信時にという意味です。


■ 通知の有効性を高める「送付手段」の選び方:

通知条項でよく指定される「書留郵便(Registered Mail)」や「配達証明(Certified Mail)」の具体的な違いと、実務上の使い分けについては以下の記事を参照してください。

解説記事:
registered mailとcertified mailの意味と例文


■ 発送・到達タイミングに関わる「営業日」の定義:

「通知後5営業日以内」といった期間計算でトラブルを防ぐための、business dayとcalendar dayの使い分けについてはこちらを確認してください。

解説記事:
business dayとcalendar dayの意味と例文


■ 通知が法的効力を左右する「重要条項」:

通知の遅れや不備が、契約関係に重大な影響を及ぼす以下の条項についても、あわせて確認しておきましょう。

契約解除(Termination):解除通知のルール 

契約更新(Renewal):更新拒絶の通知期限 

不可抗力(Force Majeure):事象発生時の速やかな通知義務 


■ 通知の「到達」を確定させる「deem」の使い方:

通知条項で多用される「deemed to have been received(到達したものとみなされる)」という表現の法的意味や、deemとconsiderの使い分けについてはこちらを参照してください。

解説記事:
deemとconsiderの意味と例文


■ 「しかるべき時」に通知を行うための表現:

具体的な日数を定めず、「適切な手続きを経て」「しかるべき時に」通知や対応を行う際に使われる「in due course」の意味については、こちらで解説しています。

解説記事:
in due courseの意味と例文





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