Technical Assistance(技術指導の条項)

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英文契約書のライセンス契約において技術指導の条項として置かれるTechnical Assistanceについて解説します。併せて、例文をとりあげ、要点と対訳をつけて例文中の基本表現に注記を入れました。

1.解説:

1)Technical Assistanceとは

ライセンス契約では、対象とするライセンスの内容により、技術訓練技術指導が必要となる場合があります。

Technical Assistance(技術指導の条項)とは、

ライセンサーがライセンシーに対して技術訓練や技術指導を提供する場合に、どのような条件で行うのか

について定めた契約条項です。

2)Technical Assistance(技術指導の条項)の内容

Technical Assistance(技術指導の条項)で定められる内容は、ライセンス契約において対象とするライセンスの内容により、さまざまなものがあります。

一般的には、以下のようなことが規定されます。

①ライセンサーによる技術指導の方法

技術指導の方法は、大きく、

・ライセンサーの技術者をライセンシーに派遣して現地で行うやり方

・ライセンサーがライセンシーの技術者を受け入れて技術指導を行うやり方

があります。

②ライセンサーの技術者を派遣する場合、派遣先の場所の指定。

ライセンシーの施設が一般的ですが、ライセンシーがサブライセンシーを使っている場合は、サブライセンシーを同じ場所に参加させるようにします。

③派遣されるライセンサーの技術者の人員と派遣日数

④派遣されるライセンサーの技術者の出張費用や日当の金額と負担。

技術者の労働日、一日の労働時間、超過勤務代なども明確にします。

⑤派遣されるライセンサーの技術者の宿泊施設、航空便、現地の交通手段

これらの技術指導の条件が契約締結時に確認できている場合は、契約本文に記載するか、または別紙に記載して添付します。

契約締結時にまだ確定していない場合は、技術指導の条件は「別途取り決める」という記載をいれることになります。

3)Technical Assistanceの実務上の重要点と交渉の視点

Technical Assistance条項は、単に技術指導の有無を定めるだけでなく、ライセンス技術のスムーズな移転と、それに伴うコスト負担、そして両当事者の責任範囲を明確にする上で非常に重要です。

この条項の規定が不十分だと、技術指導の範囲や費用をめぐって、将来的に大きな紛争に発展するリスクがあります。

ア.ライセンサー(技術提供者)側の視点:コストと責任の限定

ライセンサーの立場では、技術指導の提供が、ライセンシーに技術を正しく活用してもらうための投資である一方、コストと人的リソースを無制限に要求されないよう、その範囲を限定することが重要です。

技術指導の範囲の明確化:

「技術指導」と一言で言っても、その内容は多岐にわたります。契約書では、指導の対象(例:ライセンス技術の基本的な操作方法、応用方法など)、指導時間(例:合計〇〇時間まで)、指導の場所(例:ライセンサーの施設内、オンラインなど)を具体的に規定します。

例文のように、with respect to the Licensed Products(ライセンス製品に関して)と限定することで、契約外の技術に関する問い合わせに対応する義務を負わないことを明確にします。

追加技術指導の費用:

契約で定められた範囲を超える技術指導をライセンシーが求める場合、「追加費用が発生する」ことを明確に記載します。

これは、ライセンサーの技術者の時間と専門知識に対する対価を確保するために不可欠です。

責任の限定:

技術指導の結果、ライセンシーが不利益を被った場合でも、ライセンサーは責任を負わない旨を規定します。

これは、「技術指導はあくまで助言であり、結果を保証するものではない」という原則を明確にするためです。

イ.ライセンシー(技術受領者)側の視点:技術取得の確実性確保

ライセンシーの立場では、ライセンス技術を円滑に導入し、自社で活用するために、必要な技術指導を確実に受けられることを重視します。

技術指導の「義務」化:

例文のLicensor shall make one of Licensor’s personnel available(ライセンサーは、ライセンサーの担当者の一人をライセンシーが利用できるようにするものとする)のように、ライセンサーに技術指導を提供する義務を負わせることが重要です。

これにより、ライセンサー側の都合で技術指導が遅延するリスクを減らせます。

費用負担の明確化:

技術指導にかかるコストが、誰の負担となるかを明確に規定します。

例文のように、reimburse(払い戻す)という形で費用精算を行う場合、どのような費用(旅費、宿泊費、日当など)が対象となるか、そしてその金額の上限(agreed upon travel and subsistence expenses)を具体的に合意しておく必要があります。

サポート期間の確認:

技術指導が「During the term of this Agreement」(本契約の期間中)行われることが一般的ですが、技術が複雑な場合は、契約終了後も一定期間のサポートを求めるよう交渉することもあります。

Technical Assistance条項は、単なるコストの問題ではなく、ライセンス契約の成功を左右する「実務的なサポート」の要です。

この条項を詳細に交渉することで、技術移転をスムーズに進め、両当事者のビジネス目標達成に貢献します。

2.例文と基本表現:

(注):基本表現をハイライトしています。

Technical Assistance(技術指導の条項)– 例文

技術指導の費用は、ライセンサーの負担ですが、ライセンサーの技術者がライセンシーに出張する場合は、ライセンシーが技術者の出張費と日当を払い戻しします。

During the term of this Agreement, Licensor shall make available to the personnel of Licensee, such Confidential Information as is necessary to carry out the intent of this Agreement. Additionally, Licensor shall make one of Licensor’s personnel available to Licensee to provide technical consultation and assistance with respect to the Licensed Products and the Intellectual Property. Licensor shall be responsible for the costs of such technical assistance, unless Licensor’s technical personnel is required to travel to Licensee’s premises, in which event Licensee shall reimburse Licensor for agreed upon travel and subsistence expenses of Licensor’s technical personnel.

(訳):

本契約の期間中、ライセンサーは、本契約の目的を実行するために、必要に応じて機密情報をライセンシーの担当者に利用できるようにするものとする。 さらに、ライセンサーは、ライセンス製品および知的財産に関する技術援助と技術指導を提供するために、ライセンサーの担当者の一人をライセンシーが利用できるようにするものとする。 ライセンサーは、かかる技術指導の費用を負担するものとするが、ライセンサーの技術担当者がライセンシーの施設に出張する必要がある場合を除く。その場合は、ライセンシーは、ライセンサーの技術担当者の合意した出張費と日当をライセンサーに払い戻すものとする。

(注):

*make available toは、に利用できるようにするという意味です。 

*as is necessaryは、必要に応じてという意味です。 

carry outは、を実行するという意味です。

*the intent of this Agreementは、本契約の目的という意味です。 

*with respect toは、~に関するという意味です。

the Licensed Productsは、ライセンス製品、許諾製品という意味です。 

*premisesは、施設という意味です。 

*in which eventは、その場合という意味です。 

*reimburseは、払い戻すという意味です。 くわしくは、reimburseの意味と例文をご覧ください。

*subsistence expensesは、直訳すると生活費ですが、ここでは日当という意味です。

 

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