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契約期間の更新条項を表すTerm and Renewalついて解説します。 例文をとりあげ、要点と対訳をつけました。例文中の基本表現に注記を入れました。
1.解説:
1)Term/Duration(契約期間条項)とTerm and Renewal(契約期間の更新条項)について
Term/Duration(契約期間条項)は、文字どおり、契約の期間を定めた契約条文です。
その内容は、大きく、
・一定期間の契約期間をもって終了とする場合
・契約期間の更新を定める場合
に区別されます。
Term and Renewal(契約期間と更新)とは、
後者の契約期間の更新を定めた場合に、見出しタイトルとして付けられることがある契約期間の更新条項
のことをいいます。
2)契約期間の更新
Term and Renewal(契約期間と更新)において契約期間の更新を定めた場合、更新方法は、以下の三つのパターンがあります。
①自動更新
②両当事者又は一方当事者による更新
③両当事者の協議による更新
Distribution Agreement(販売店契約)や、
License Agreement(ライセンス契約)など
では、契約期間の更新について上記①の自動更新を定めたものが多く見られます。
3)Term and Renewal(契約期間の更新条項)の実務上のリスクと管理
Term and Renewal(契約期間の更新条項)は、特に自動更新条項(例文①、例文②)の場合、契約当事者にとって利便性が高い一方で、実務上、重大なリスクを伴う可能性があります。
この条項を効果的に管理するためには、以下の点に特に注意が必要です。
自動更新がもたらす潜在的リスク:
自動更新条項は、契約の継続を望む当事者にとっては手間が省けるメリットがありますが、契約期間が半永久的に継続するリスクや、ビジネス環境の変化に対応できないリスクが生じる可能性があります。
更新期間の見過ごし:
解約を希望する当事者が、自動更新の通知期間(例文①の60日前、例文②の120日前など)をうっかり見過ごしてしまうと、意図せず契約が自動更新され、さらに長期にわたって契約に拘束されることになります。
これは、事業戦略の変更や、より有利な条件の他社との契約締結を妨げる大きな障害となり得ます。
市場やビジネス環境の変化に対応できない:
契約締結時には適切な条件だったとしても、数年後には市場価格の変動、技術の進歩、法規制の変更などにより、契約内容が自社にとって不利になることがあります。
自動更新の場合、このような変化に対応するための 相手方とのrenegotiation(再交渉)の機会を逸し、不利益を被る可能性があります。
リスク管理のための具体的な注意点:
これらのリスクを回避するためには、以下の実務的な対応が不可欠です。
通知期間の厳格な管理:
契約更新通知期間がいつであるかを契約管理台帳等で明確に記録し、アラートを設定するなどして厳格に管理することが最も重要です。
特に、複数の契約を管理している企業では、この管理が不十分になりがちです。
更新前の契約内容の見直し:
自動更新の可否を判断する前に、必ず現在の市場状況、自社のニーズ、相手方のパフォーマンスなどを総合的に評価し、契約内容が引き続き自社にとって最適であるかを確認すべきです。
必要であれば、更新条件の見直し(価格、サービスレベル、適用範囲など)を相手方に提案する機会を設けましょう。
解除(Termination)と満了(Expiration)の区別:
例文②の注釈にもあるように、Termination(契約解除) は契約期間中における特定の事由(契約違反など)による終了を指し、Expiration(契約期間満了) は定められた期間の終了を指します。
自動更新を阻止するための通知は、通常、Expiration を防ぐための「終了通知」であり、Termination とは異なる点に注意が必要です。
契約終了後の規定(Survival条項など):
契約期間が満了したり、解除されたりした場合でも、機密保持義務や知的財産権の帰属、損害賠償責任、準拠法、紛争解決といった一部の条項は、契約終了後も有効に存続することが一般的です(これをSurvival条項などと言います)。
契約の終了時においても、これらの条項がどのように適用されるかを事前に確認しておくことで、不要な紛争を避けることができます。
Term and Renewal条項は、単に期間を定めるだけでなく、将来の事業展開やリスクに深く関わるため、その条項の文言を理解し、適切に管理することが、安定したビジネス運営において不可欠です。
※実務上の視点:
契約期間の更新条項(Term and Renewal)は、契約の有効期間およびその期間が満了した後の継続手続きを定義する一般条項という条項タイプ(clause type)であり、ビジネスの継続性を確保すると同時に、予期せぬ契約の長期縛りを防止して、変化する市場環境に合わせて契約関係を適正にコントロールする機能(specific function)」を担っています。
リーガルチェックの際は、この条項が自社に「どのようなタイミングで契約を離脱する選択権や、再交渉の場を設定するという権利(rights of use)」を付与しているかを精査します。
具体的には、自社が販売店やライセンシーとして安定的な事業継続を最優先したい立場であれば、手続きの失念による契約終了を防ぐための防衛線として「一定の期限までにいずれの当事者からも不更新の書面通知がない限り、従前と同一の条件で自動的に契約期間が延長され、将来にわたり安定して事業を継続する権利(rights of use)」(例文1、例文2)を確実に確保します。
逆に、相手方のパフォーマンスや市場の価格変動を見極めながら慎重に継続を判断したい立場であれば、不利な条件で半永久的に拘束されるリスクを排除するための防衛線として、「自動更新を明確に拒絶し、次期の更新にあたっては必ず両当事者による事前の書面合意または条件見直しの協議を経ることを必須の条件とする権利(rights of use)」を戦略的に設計しておくことが、国際ビジネスにおける自社の柔軟性と収益性を最大化するための必須の設計となります。
自動更新(Automatic Renewal)と合意更新(Renewal by Agreement)の違い:
英文契約の実務において、契約期間を満了させた後にどのように関係を継続するかを設計する際、実務上の運用コストとリスクのバランスが対極に位置する「自動更新(Automatic Renewal)」と「合意更新(Renewal by Agreement)」の本質的な違いを理解しておくことは極めて重要です。
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自動更新(Automatic Renewal):不作為によって継続する手続き
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合意更新(Renewal by Agreement):積極的な合意によってのみ継続する手続き
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特徴:
期間満了に伴い、自動的に契約は一旦終了(Expiration)します。継続したい場合は、満了前に当事者間で「更新に関する覚書(Amendment/Extension Agreement)」を書面で交わす、あるいは「事前の協議(Mutual Agreement)」を経る必要があります。
手続きの手間はかかりますが、満了のタイミングで必ず価格や取引数量といった条件の「再交渉(Renegotiation)」を行う権利(rights of use)が自然に発生するため、ビジネス環境の変化に柔軟に対応できるメリットがあります。
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【選択の指針】
自社がシステム利用のユーザー側や、毎月のコストが発生する買主側の立場であれば、不要になった際の解約の自由を確保するために、自動更新は極めて危険であり「合意更新」を選択すべきです。
一方で、安定したロイヤリティ収入を得たいライセンサー側や、長期間の販売網を維持したいメーカー側の立場であれば、相手方の解約忘れを味方につけ、関係を半永久的に確定できる「自動更新(Automatic Renewal)」を押し通すのが実務上の定石となります。
2.例文と基本表現:
(注):英文契約書によく出る基本表現をハイライトし、語注を入れています。
1)Term and Renewal(契約期間と更新)– 例文①
3年間の契約期間、但し、当初の期間または更新期間の満了60日前までに終了通知しない限り、自動更新です。
Term and Renewal.
The Term of this Agreement shall be for an initial period of three (3) years after the Effective Date of this Agreement and shall be automatically renewed for any successive period, provided that neither Seller nor Purchaser shall have given notice of termination of this Agreement sixty (60) days before the end of the initial term or any renewal term, or unless otherwise terminated in accordance with this Agreement.
(訳):
契約期間と更新
本契約の期間は、本契約の発効日から当初3年間とし、売主、買主どちらかが契約の終了通知を、当初の期間又は更新期間の満了60日前に行わなかった場合、又は本契約に従って別途解除されない限り、引き続き自動的に更新されるものとする。
(注):
*initial periodは、当初の期間という意味ですが、ここでは当初と訳しています。後に出てきますが、initial term(当初の期間)もよく使われます。
*Effective Dateは、発効日という意味です。詳しくは、the date hereofとthe effective date hereofの意味と例文をご覧ください。
*be automatically renewed for any successive periodは、直訳するとbe automatically renewed(自動的に更新される)とfor any successive period(後続の期間)ですが、引き続き自動的に更新されるに意訳しています。
*provided thatは、~の場合に限ってという意味です。 詳しくは、provided thatとprovided, however, thatの意味と例文をご覧ください。
*terminationは、(契約の)終了という意味です。
*the initial term or any renewal termは、当初の期間又は更新期間という意味です。
*unless otherwiseは、別途~でない限りという意味です。詳しくは、unless otherwiseの関連表現と例文をご覧ください
*in accordance withは、~に従ってという意味です。同様の意味をもつ表現であるpursuant toもよく使われます。
2)term and renewal(契約期間と更新)– 例文②
3年間の契約期間、その後は更新期間の満了120日前までに終了通知しない限り、2年毎の自動更新です。
Term and Renewal.
This Agreement shall become effective upon its execution by both Distributor and the Company and shall remain in full force and effect for an initial term of three (3) years (Initial Term). Thereafter, this Agreement shall be automatically renewable every two (2) years (Renewal Term), unless at least 120 days prior to the expiration of any Renewal Term, Distributor provides written notice to the Company of its intent to terminate the Agreement, whereupon said Agreement will terminate 120 days thereafter.
(訳):
契約期間と更新
本契約は、販売店と当社の両方が調印した時点で有効になり、当初の3年間(当初期間)は引き続き有効とする。その後、本契約は、2年(更新期間)毎に自動的に更新されるものとする。ただし、更新期間の満了の少なくとも120日前に、販売店が本契約の終了を当社に書面で通知した場合、本契約はその後120日で終了する。
(注):
*become effectiveは、有効となるという意味です。
*upon its executionは、調印した時点でという意味です。
*remain in full force and effectは、引き続き有効であるという意味です。 詳しくは、in forceとin effectの意味と例文をご覧ください。
*thereafterは、その後という意味です。詳しくは、thereto, thereof, thereafter, thereby, thereinの意味と例文をご覧ください。
*be automatically renewableは、自動的に更新されるという意味です。
*expirationは、(契約期間の)満了という意味です。解除により契約が終了するときに使うtermination(契約解除)との区別に注意しましょう。
*whereuponは、immediately after which(するとすぐ)の意味ですが、訳は略しています。
■ 更新拒絶の通知を確実に行うために:
自動更新を防ぐための通知(Notice)は、いつ、どのような手段で送れば有効になるのか、基本的な通知ルールについては以下の記事を参照してください。
解説記事:
Notice(通知条項)の解説と例文
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