Intellectual Property Rights(知的財産権条項)

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英文契約書において知的財産権の条項として規定されるIntellectual Property Rightsについての基礎知識です。いくつかの例文をとりあげ、要点と対訳と語注をつけました。

(目次)
1.解説
 1)Intellectual Property Rightsとは
 2)Intellectual Property Rightsの類型パターン
  ① 知的財産権の帰属を規定
  ② 知的財産権の補償を規定
  ③ 知的財産権の侵害を規定
  ④ 知的財産権の保証(又は保証の排除・免責)を規定
2.例文と基本表現
 1)例文 – 知的財産権の帰属
 2)例文 – 知的財産権の補償
 3)例文 – 知的財産権の侵害
 4)例文 – 知的財産権の保証の排除

1.解説:

1)Intellectual Property Rightsとは

英文契約書で、Intellectual Property Rightsが条項のタイトルとして置かれるときは、

知的財産権条項のことをいいます。

Intellectual Property Rights(知的財産権条項)は、

単にIntellectual Property

で記載されることもあります。

2)Intellectual Property Rightsの類型パターン

Intellectual Property Rights(知的財産権条項)のタイトルはひとつなのですが、規定される内容は、いくつか異なるものがあります。

その規定される内容ですが、
以下の①から④のような類型に区分されます。

① 知的財産権の帰属を定めたもの:

知的財産権が当事者の誰に帰属するのかを定めるものです。

帰属が単独所有の場合もあれば、共有の場合もあります。
例文①をご覧ください)

② 知的財産権の補償を定めたもの:

当事者の一方が第三者からの知的財産権の侵害クレームを受けた場合に、相手方を補償することを約束するものです。
例文②をご覧ください)

(ご参考):

補償の意味については、

Indemnification(補償条項)

をご覧ください。

知的財産権の侵害を定めたもの:

第三者による知的財産権の侵害があった場合の対処・手順を明確にするものです。(例文③をご覧ください)

(ご参考):

第三者による知的財産権の侵害については、

infringementの意味と例文

をご覧ください。

知的財産権の保証(または保証の排除・免責)を定めたもの:

第三者の知的財産権を侵害しないことを保証するものです。

これとは逆に、第三者の知的財産権を侵害しないことを保証しない(=保証を排除する、保証責任から免責される)ものもあります。
例文④をご覧ください)

(注):

前述の②は、知的財産権の補償(indemnify)を定めていますが、
こちら④は保証(warrant)についての規定です。
補償(indemnify)保証(warrant)の違いがあります。

(ご参考):

保証の排除・免責について詳しくは、

Warranty Disclaimer(保証の排除・免責条項)

をご覧ください。

2.例文と基本表現:

(注):英文契約書によく出る基本表現をハイライトし語注をつけています。

1)Intellectual Property Rights – 例文①

知的財産権の権利の帰属(単独)を定めています。

All intellectual property rights in the Goods and Services delivered by Seller shall remain the sole and exclusive property of Seller, unless otherwise agreed in writing.

(訳):

売主により引渡しされる商品とサービスに係わる一切の知的財産権は、書面で別段の合意がない限り、売主の唯一かつ独占的な財産として存続する。

(注):

*sole and exclusive propertyは、唯一かつ独占的な財産という意味です。

*unless otherwise agreed in writingは、書面で別段の合意がない限りという意味です。詳しくは、unless otherwiseの関連表現と例文をご覧ください。

2)Intellectual Property Rights – 例文②

第三者の知的財産権の侵害クレームについて、ベンダーが販売店を補償しています。

Vendor will indemnify and hold Distributor harmless against any claim or legal action brought by a third party alleging that Distributor’s use or sale of the Products infringes the intellectual property or other proprietary rights of the third party.

(訳):

ベンダーは、販売店による製品の使用若しくは販売が、第三者の知的財産若しくはその他の所有権を侵害すると主張する第三者による申し立て又は訴訟から、販売店を補償し免責する。

(注):

*indemnify and hold harmlessは、補償し免責するという意味です。詳しくは、indemnify and hold harmlessの意味と例文をご覧ください。

claimは、申し立てという意味です。

*legal actionは、訴訟、法的手続きという意味です。

allegingは、主張するという意味です。

*the intellectual property or other proprietary rightsは、知的財産若しくはその他の所有権という意味です。proprietary rightsについては、詳しくは、proprietary rightsとproprietary informationの意味と例文をご覧ください。

3)Intellectual Property Rights – 例文③

第三者による知的財産権の侵害があった場合の対処を定めています。

Each Party agrees to immediately notify the other Party upon becoming aware of any infringement, misappropriation, illegal use or misuse of the Licensed Intellectual Property in connection with Products and provide to the other Party all available evidence of such infringement.

(訳):

各当事者は、製品に関連してライセンスの知的財産の侵害、不正流用、違法使用又は誤用を発見した場合、直ちに相手方に通知し、かかる侵害について、あらゆる入手可能な証拠を相手方に提示することに合意する。

(注):

becoming aware ofは、を発見した、~を認識したという意味です。

*infringementは、侵害という意味です。詳しくは、infringementの意味と例文をご覧ください。

*misappropriationは、不正流用という意味です。

*in connection withは、~に関連してという意味です。

*all available evidenceは、あらゆる入手可能な証拠という意味です。

4)Intellectual Property Rights – 例文④

知的財産権を侵害しないという保証排除しています。

The Company does not warrant that in the use of any documentation and/or other information provided by the Company hereunder, the Company will not infringe any patents or any other intellectual property rights owned by third party.

(訳):

当社は、本契約に基づき当社が提供するいかなる文書若しくはその他の情報の使用について、第三者が保有する特許又はその他の知的財産権を侵害しないという保証を行わない。

(注):

*hereunderは、本契約に基づきという意味です。 詳しくは、 hereto, hereof, herein, hereby, hereunder, herewith, hereinafterの意味と例文をご覧ください。

 

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