Severability(分離条項)

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英文契約書の 一般条項であるSeverability(分離条項)について解説します。例文に要点と対訳をつけました。例文中の基本表現に語注をつけました。

1.解説:

1)Severability(分離条項)とは

Severability(分離条項)は、英文契約書によく出てくる一般条項です。

Severability(分離条項)とは、

万が一、契約書の中に無効となる条項がある場合に、その該当する条項のみを無効にして、それ以外の条項を含む契約書全体に影響を与えないようにする

ことを目的とした契約条項です。

2)Severability(分離条項)の背景・意義

なぜ、Severability(分離条項)が置かれるかについては、以下のような背景・意義があります。

契約を結んだとき、その契約の全部は適法であったものの、その後に、たとえば、

法令改正があったり、裁判所の判例が変更がある場合などに、契約に定められている一部の条項が、その改正法や判例に触れて、効力を失うことがあります。

契約はすでに履行が始まっているにもかかわらず、契約書の中に無効とされる条項がある場合は、

その無効な条項により、契約書の全体が無効となるのか、それとも他の条項には影響がないとするのか、契約当事者間で議論が始まると取引を始めることができなくなってしまいます。

さらに、契約書の中に、無効な条項により契約書全体が無効となるかについて契約当事者間で議論がある場合は、その契約書に定められている紛争解決条項により判断を得ることもむずかしくなることさえも考えられます。

Severability(分離条項)の代表的な例文をいくつか、以下にとりあげました。

2.例文と基本表現:

(注):いずれの例文でも、”unenforceable“(青字部分)という用語がありますが、これは「法的執行力がない」、「法的強制力がない」という意味です。

(注):基本表現をハイライトしています。

1)Severability(分離条項) ー 例文①:

契約の1つ以上の条項が無効になっても、契約の他の条項に影響を与えません。

In case any one or more of the provisions contained in this Agreement shall for any reason be held to be invalid, illegal or unenforceable in any respect, such invalidity, illegality or unenforceability shall not affect any other provisions of this Agreement, but this Agreement shall be construed as if such invalid or illegal or unenforceable provision had never been contained herein.

(訳):

本契約に記載された1つ以上の条項が何らかの理由で無効、違法、または法的執行力がないと判断される場合、そのような無効、違法、または法的執行力がない条項は、本契約の他の条項に影響を与えないものとし、本契約は、そのような無効、違法、または法的執行力がない条項が本契約に記載されていなかったかものとして解釈される

(注):

contained in this Agreementは、本契約に記載されたという意味です。最後のcontained hereinも、同様に本契約に記載されたという意味になります。hereinin this Agreement(本契約に)と同じです。

for any reasonは、理由の如何を問わずという意味ですが、後にin any respect(どの点からも)があり、意訳(何らかの理由で)しています。

*be held to beは、と判断される、とみなされるという意味です。

*be construedは、解釈されるという意味です。くわしくは、be construedの意味と例文をご覧ください。

2)Severability(分離条項) ー 例文②

契約の1つまたは複数の条項が無効であっても、契約の他の条項は、引き続き有効です。

The invalidity or unenforceability of any provision or provisions of this Agreement shall not affect the validity or enforceability of any other provision hereof, which shall remain in full force and effect.

(訳):

本契約の1つまたは複数の条項が、無効または法的執行力がないものであっても、本契約の他の条項は、引き続き完全に効力を維持し、その有効性または法的執行力に影響を与えないものとする。

(注):

hereofは、of this Agreementと同じで、本契約のという意味です。

*remain in full force and effectは、引き続き完全に効力を維持するという意味です。くわしくは、in forceとin effectの意味と例文をご覧ください。

3)Severability(分離条項) ー 例文③

契約のいずれかの条項が裁判所や仲裁人により無効と判断されても、契約の他の条項の法的執行力に影響を与えません。

Should any of the provisions of this Agreement be determined to be invalid or unenforceable by a court or arbitrator of competent jurisdiction, it is agreed that such determination shall not affect the enforceability of the other provisions herein.

(訳)

本契約の条項のいずれかが、管轄権を有する裁判所または仲裁人によって無効または法的執行力がないと判断された場合は、その判断が本契約の他の条項の法的執行力に影響を与えないことに合意する。

(注):

文頭に置かれるShouldは、~の場合はを意味します。

*a court or arbitrator of competent jurisdictionは、管轄権を有する裁判所または仲裁人という意味です。

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