契約書の条項 - 個別契約

1.個別契約とは

個別契約の条項は、売買取引基本契約のような基本契約に利用される条項です。

個別契約の条項は、個別契約がどのような内容や条件なのか、個別契約はどのようにして成立するのか、について定めるものです。

2.基本契約と個別契約

基本契約では、当事者間において売買の基本的取り決めを行っておき、具体的な取引については、別に個別契約が結ばれます。

代金の支払い方法や時期などの共通項目については基本契約で定めています。 個別契約で取り決める内容は、各々の取引によって変更される可能性のある項目となります。 具体的には、品名、数量、単価や代金の総額などの内容になります。

3.個別契約の方法 ー 注文書と注文請書

個別契約は、必ずしも売買契約書を結ぶ必要はありません。

通常は、買主が売主に注文書を発行し、その注文書を受けて売主が買主に注文請書を発行することにより、個別契約が結ばれているケースが多いです。

個別契約は、買主の申込み(発注)に対する売主の承諾があれば、口頭や電話でも成立します。しかし口頭や電話での発注は、トラブルが生じやすいので、必ず注文書と注文請書にして記録を残すべきです。

4.個別契約の方法 - 企業間の電子商取引

企業間においては、電子商取引サービスが導入されているケースが増えています。

個別契約の成立は、電子商取引サービスを利用することによっても可能です。

電子商取引サービスの典型的なものが、EDIです。 EDIとは、Electronic Data Interchange(電子データ交換)の略で、企業間のオンラインス受発注システムのことです。

4.個別契約の条項の書き方

個別契約の条項について、いくつかのパターンを示しました。

個別契約を注文書と注文請書で行う場合

第○条 (個別契約)
1 本件物品の品名、数量、単価、引渡期日、引渡場所等は、甲乙協議のうえ、個別契約で定めるものとする。
2 個別契約は、乙が甲に対し前項の事項等を記載した注文書を送付し、甲がこれを承諾する旨の注文請書を送付することにより成立する。

個別契約を、注文書と注文書のやりとりでなく、ファックスや電子メールで行う場合

第○条 (個別契約)
1 本件物品の品名、数量、単価、引渡期日、引渡場所等は、甲乙協議のうえ、個別契約で定めるものとする。
2 個別契約は、乙が甲に対し前項の事項等を記載した注文書を送付し、甲がこれを承諾する旨の注文請書を送付することにより成立する。 

3 甲及び乙は、前項の注文書及び注文請書のやりとりをファックス又は電子メールによる方法で行うこととする。

③個別契約を、電子データー交換サービスで行う場合:

第○条 (個別契約)
1 本件物品の品名、数量、単価、引渡期日、引渡場所等は、甲乙協議のうえ、個別契約で定めるものとする。
2 個別契約は、乙が甲に対し前項の事項等を記載した注文書を送付し、甲がこれを承諾する旨の注文請書を送付することにより成立する。

3 甲乙間で、電子データー交換システムを利用する場合には、乙の発注データと甲の受注データの交換により行い、個別契約は、受注データが乙のメールボックスに記憶されたときに到達したものとみなし成立するものとする。 

4  前項の電子データ交換サービスについてへ、別紙記載の「EDIに関する覚書」に定めるとおりとする。

一定期間内に異議申し出がない場合に、契約が成立するとする場合

第○条 (個別契約)
1 本件物品の品名、数量、単価、引渡期日、引渡場所等は、甲乙協議のうえ、個別契約で定めるものとする。
2 個別契約は、乙が甲に対し前項の事項等を記載した注文書を送付し、甲がこれを承諾する旨の注文請書を送付することにより成立する。

 3 甲は、乙の発注内容に異議ある場合には、注文書受領後〇日以内に申し出るものとし、申し出がない場合は、乙の発注どおりに承諾したものする。